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【55】楽しい打ち上げの巻

 突然変異の魔物の討伐は終わり、あたし達は首都マトラに行くことになったんだ。


 思えばマトラ王国に生まれていながら、マトラには一度も行った事がなかったな。

 リドナですら凄い大きな街なんだから、マトラはもっと栄えてるに違いない。おいしいお店だってイッパイあるだろう。既にあたしは観光モードになっていた。


 リドナに戻ったあたし達に、アンモチン大佐からすぐにその説明があった。

 でも、今回マトラに行く事になるのは、後で軍から指名があるんだとか。あれ? 話が違うじゃないか。

 じゃぁ、それに漏れたら成功報酬はどうなるんだ!? って思ってったら、書類へのサインはちゃんとここでしてくれるんだってさ。ホッ。


 って事で、組合提出用の書類へのサインと、軍が発行した業務をしっかり遂行しましたって証明書ももらっちゃった。

 うむー、だけどこの証明書って何だ? 賞状みたいなもん? 額縁に入れて飾るもんなのかな? 多分飾らないと思うけどさ。



 その後、みんなで打ち上げの食事会に出かけた。


「みんな、今日は本当によくやってくれた

 軍から指名があるのは今日の夜8時だそうだ

 それまでは各自自由にしててくれ」


 エルバは軍が指名を行う時間を皆に知らせてくれた。


「全員かと思ったらそうじゃないんだね、どうしてなのかな?」


 と、ミメットがオレンジジュースの入ったコップを両手で持って不思議そうな顔で言った。


「詳しい事はわからんが、どっちにしろ報酬は出るんだしめでたしって事だな」


 エルバはうまくまとめてくれた。彼って思ってたよりいい人なのかもしれないな。オレにまかせろな奴だとか思ってごめんよ。


「しっかし……、今回本当に面目なかった、申し訳ない……」


 エルバがテーブルに頭をぶつける程下げて謝ったら、


「あ……あたしも魔法で皆さんを巻き込んですみませんでした」


 それを見てあの爆裂魔導士が慌てた様に立ち上がるとエルバと同じように、でも勢い余ってゴツンとテーブルに頭をぶつけて謝っていたよ。

 それに対しては吹き飛ばされた当の前衛達も、ちょっと恥ずかしそうにしていた。


「オレが思うに今回の功労賞はキミ達二人だな」


 ってエルバが言った二人って、てっきりあたしとクリーダの事かと思ってたら、遅刻して来たスフェーンとシンナバーの事だった。確かに二人が来なかったらどうなってたか分からない雲行きだった。エルバは重傷だったのによく見てたんだな。


「あらぁ? あんなんで良かったのぉ?」

「やっぱ遅刻しないで来るべきだったね、何だか全然戦い足りないや……このストレスは後でスフェーンに向けるとしよう」

「アハ! お手柔らかにぃ」


 場の雰囲気がちょっと変になったのを察してか、エルバは慌てて話を続けた。


「いやぁ、キミ達の事は噂には聞いていたよ」

「えぇッ!? もう噂になっちゃってんのッ!? 誰だッ! スフェーンとあたしがラブラブだってバラしまくってるのはッ! そこのおチビか!?」

『それはあんたら二人だんにゃん』

「えーと……、そうじゃなくて……マトラ最強のってペアの噂さ」


 少し挫けそうになっているエルバ。ガンバレ今挫けたら全てが変な雰囲気に飲み込まれるぞ。


「あぁーッ! そっちかーッ! ビックリしたぁ」


 そっちってどっちだ。


「最強のソーサレスと最凶の武闘派プリーストだよな」


 二人がそう呼ばれていたってのは初耳だ、エルバってどこからそんな噂を仕入れて来たんだ。


「むっ! あたしの紹介に邪気を感じる……ッ!」


 みんなは常にシンナバーの邪気を感じてる訳なんですが。


「そりゃねぇ、シンナバーはヒーラーなのにすぐ前に出たがるからぁ

 前衛の募集にのっかっちゃって普通にこなしちゃうし、そう言われるのも当然かもねぇ」

「何言ってんのーッ!? 責任持ってちゃんとヒーラーも別に募集かけたじゃない!」


 別に募集かけたって……、そりゃ紛れもない最凶な武闘派プリーストだよ。


「まぁ、それはただの噂ねぇ、大体あたしまだランク8だよ?

 それにそこに居るクリーダとこないだ戦ったけどぉ

 睨まれた時なんて体がブルブル震えて怖かったんだから

 最後なんか半身になって死にかけちゃったわぁ」


 その、スフェーンの言葉にみんな「えッ!?」と驚き一斉にクリーダを注目した。その目はまさかって顔だったよ、冗談じゃない! そんな大物だったのか!? 大物気取りすらした事ないスフェーンが!?


「スフェーンが噂だけって事は絶対ないです……ソーサラーとして最強なのは間違いないです……あたしずっと研究してたから

 それなのに……クリーダって……一体何者なの……?」


 研究ねぇ……、どんな研究してたんだろ。爆裂魔導士とスフェーンは同じクラスだしきっとスフェーンを目標としてるんだろうなぁ。


「わたしはただの科学魔導士です

 あの時はわたしが魔法キャンセルを使える事を知らなかったからです

 次やったら絶対敵わないでしょう、魔法の展開速度は圧倒的にスフェーンさんの方が上ですから」


 この二人……ニコニコしながら見つめあってるけどすごい殺気を放っている……。きっと次は完封だって思ってるよ本気で。


『で、爆裂魔導士はさぁ、一体どんな研究してたのかんにゃん?』

「爆裂魔導士……オプテーゼです……

 研究はもちろんスフェーンの使った魔法の研究よ」

『ふーん、だから光の柱みたいな魔法使ってたんだ』

「エレクトリック・バーストの事? そう……能力が足りなくて不完全だけどね」


 それにしても、スフェーンのファンみたいなのが居たなんて知らなかったなぁ。当のスフェーンは特に気にする様子もないって事は案外珍しくないんだろうか。ソーサラー達の頂点にいるって言うのも本当なのかも。


「科学魔導士とか小細工魔法……だっけ? って聞いたことないクラスだよな」

「よく言われますが、精霊魔法に科学を組み合わせた魔法を使うクラスです」

「カガク? それも初めて聞く言葉だな、でもまぁ精霊魔法の一種って訳か」

「はい、根本にあるのは精霊魔法です」


 カガク……それはあたしも未だに全くわからない謎のキーワードだった。魔法を料理と考えてそれにカガクで一味足してるって言ってたけど、あの大爆発は一味どころじゃないと思うんだけどなぁ。


「そんで、キミの小細工魔法って言うのはどこで習ったんだ?」


 物珍しそうなものを見る顔でエルバがあたしに聞いてきた。


『んー……これは習ったのかんにゃん?』

「それがねー、おチビたんとあたしとシンナバーって魔法学校の同級生なんだけど

 驚く事におチビたんは最初から魔法使えたのよ

 何故か学校で習う魔法はイマイチな感じだったけど」


 スフェーンがすかさず解説してくれたけど、魔法学校では一通り簡易魔法を教えてくれるんだ。

 習うのは実戦では殆ど役に立たない程の原始的な魔法だけど、それをきっかけにして上位の魔法を覚えて行ける訳。

 だから、あたしも一応原始的な精霊魔法や回復魔法を使えたりするんだ、原始的な魔法だから効果はかなり残念な感じだけどね。


『うん、この魔法はね

 あたしのお婆ちゃんも使えるんだけど、特に習った訳じゃないんだんにゃん』

「へぇ、生まれつきって訳か

 そういう事もなくはないけど、かなり希だよな」

「わたしは小細工魔法の素晴らしさをよく理解しています

 本当にいい魔法を持って生まれましたね」


 さすがクリーダはいい事言ってくれるね。


 でも実はさ、今になってこの魔法は大好きだけど、魔法学校の頃は大嫌いだったんだ。

 その理由は、みんなが将来どんな魔法使いになろうか話してる時、既にあたしは小細工魔法士だったから。将来何になろうかって選択する自由すらなかったのさ。

 それでもあたしは一応他の可能性を試してはみたんだ、でも原始的な魔法以上は使える様にはならなかったよ。

 学校も辞めちゃおうかとも何度も思ったよ。本当にバカだったなぁ。こんな素敵な魔法を使えるって言うのに。


 楽しい打ち上げは、その後出てきたおいしい料理やお酒によって更に盛り上がったんだ。


ここで、すこしまったりしてみました。もう1つまったりしてみたい様な。

マトラにすぐ行ってしまいたいけど、今のうちに仲間と交流して(色んな解説して)おかないと^^;

今回は説明で、次回はバカンスの予定です。そこでルビーさんがもらったもう1つのものが分かるかもしれません(と言うあくまでな予定…)。


本当はこんなにモタモタせず、もっとサクサク進めていかないといけないですよね;


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