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【53】心を一つにしたその時に

練りこむタイミングを無くした話も多少はありますが、大体は入れる事が出来たと思います。もっとうまく練り込められればいいんですけど。。

 スフェーンとシンナバーが戦闘に加わり、それまでの流れが一変した。


「ミメットさんは大丈夫でしょうか?」


 クリーダは心配そうな顔であたしに言った。クリーダはヒーラーが危険に晒されようとしていたからすぐに魔物を追いかけて行ったけど、やっぱ心配だったんだね。


『シンナバーのくれた再生魔法の玉使って、今乗り物で軍の待機してる所に魔法で運んでる途中だけど……わかんないんにゃん』


「他にも重傷者がいるの?」

『うん……副隊長のミメットがやられた

 シンナバーが来てるの知ってたら送るんじゃなかったんにゃん』

「いやぁー、あの玉使ったなら助かるか助からないかのどっちかだから同じだよ

 再生魔法って本人のしぶとさ次第だからねッ!」


 そりゃ、100%助かるか助からないかのどっちかだろうけどさ……。それでもシンナバーはあたしの判断を気づかって言ってくれたんだろう。


「あたしは半身になっても復活したぜぇ!

 だからきっと大丈夫でしょ」


 スフェーンはグーにした手の親指だけをビッと立てると、ウィンクして自慢げに言った。


「とりあえず、さっさとコイツを退治しちゃおうよ」


 ヨロヨロと立ち上がる魔物をスフェーンが指差した。

 魔物の体はボロボロの状態から徐々に回復している、これもエキドナの能力だろうか? かなりの再生能力があるらしい。

 この再生能力はかなりやっかいなんだ、火力が弱いと再生のスピードに負けてしまう場合があって戦闘が長引くからね。

 それでも永久に再生し続ける事は絶対にない、どんな化け物であってもその能力には底があるんだ。


「《何故だ……?》」


 魔物が口を開いて言ったこの言葉は意外だった。


「うん?」


「《何故このバーサーカーのスピードを捉えられるのだ》」

「バーサーカー? ってあんたが?」

「《この能力は最強の能力だと聞いている……》」

「アハッ! 聞いてるって……情報が間違ってたんじゃなーい? そんな話誰に聞いて来たのぉ?」

「《間違いだと……? それはありえぬ》」


 納得が行かない様子の魔物にクリーダが答えた。


「バーサーカーの能力が最強だという話は間違っていませんよ?」

「《ならば何故だと言うのだ……何故我を捉えられる》」

「それはごく単純な話です、それはあなたがバーサーカーではないからです」

「《そんなはずはない……この本体は確実にバーサーカーの能力を持っている》」

「言葉が的確に伝わっていない様ですね、あなた自身がバーサーカーの能力を持っていないからと言ったつもりなのですが」


 この魔物は本体がバーサーカーだと言った。

 それはつまり、魔物とは別にバーサーカーの能力を持つ本体があって、魔物はその能力を支配していると言う意味なのだろう。


 あたしは小細工魔法を使って魔物の体を慎重に探っていた、魔物を構成している物質やその質量を探る。そして遂にはその内深くに封印されているものへとたどり着いたんだ。


『ヘリオ!?』

「え!?」

『この魔物……ヘリオだ!』

「そのヘリオって誰?」


 ヘリオと会っていないスフェーンが説明を求めた。


「ヘリオさんは魔戦士組合員の1人で、この作戦に参加していたはずなのですが

 どいういう訳か今は魔物に体を奪われてしまっている様です」


 あたしは魔物の体の本体の奥底に封印されている、本体の記憶にアクセスする事に成功したんだ。あたしが見たその記憶の持ち主、それは紛れもなくヘリオの記憶だったよ。

 こんな事は普通に意識を持っている人間とはする事は出来ない、魔物に意識を封じ込まれて思考が停止している状態だからこそ出来たのだろう。


「ふーん、つまりこの魔物はヘリオって組合員の体を乗っ取ってるって訳ね

 だとすると魔物を倒すには、ヘリオも殺さないといけなくなっちゃうか……ちょっとやっかいねー」


「《ククク……そういう事だ

 そして我の次のターゲットはコイツらしい》」

『うなッ!?』


 魔物はあたしを指差した。しかも「らしい」ってどういう事だ!?


「《これはこの本体が望んでいる事だ、本体はお前と一つになりたいと思っているぞ

 お前を吸収してしまえばコイツ等も手を出せなくなり、我にとっても好都合だ》」


 魔物がまた低い姿勢になった、また戦闘態勢に入ったのだ。


「そんな事はさせません!」


 そう言ってあたしの前に立ちはだかるクリーダ。でもその時魔物は既にあたしの目の前に居た。


『は……え!?』


 そして魔物はあたしを両手でギュッと抱きしめたんだ。

 さっきも思ったんだけど、この魔物があたしの目の前に立っても全く恐怖心を感じなかった。それは直感的に魔物がヘリオだと感じていたのかもしれない。


「今の動き……さっきまでと全然違う!」

「クッ……その子を離しなさい!」


 クリーダが反転して魔物の肩を掴もうとした瞬間、魔物は一瞬であたしと一緒に10メートル程も移動していた。誰も居なくなった空中をクリーダの手が空振りしているのが見えたよ。


「《ククク……もう遅い、そこで黙って見ていろ》」


 魔物の右手が赤く光ると、あたしの意識が薄れて魔物に引き込まれて行った。

 そしたら色々と分かったんだ、魔物が吸収した人達の色んな事や、ヘリオの考えていた事も。

 ヘリオは本当にあたしと一緒になりたいって思っていた。そういう気持ちを持ってくれている人が居る事は確かに嬉しい事でもあるんだけど。

 あたしは引き込まれて行く意識の中、不意にクリーダの顔が浮かびあの誓いの言葉を思い出したんだ。


 <あたしは今後、クリーダ・ヴァナディンと、一生の人生全てを共有する事を誓います

  身も心も魂までの全てを共有する事を誓います>


 そしたらヘリオがある事を教えてくれたよ。


「《ぬ!?》」


 それは奇跡だったかどうかも分かんない、あたしの意識が突然元に戻り、その時あたしの左手は魔物の右手に触れていたんだ。


 そして、あたしが魔物の右手を掴んだまま発した言葉は


『解体!』


 だった。


「《な……に……!?》」


 あたしは小細工魔法の一つである物質の解体を発動した、その瞬間に魔物の体は光に包まれて行ったんだ。


ご都合主義に小細工魔法っていい魔法だと思います。


先が見え見えになってしまっていたのを反省したりしなかったりしつつ、後は何とかうまくまとめられます様に。

これからシリーズ全体に関わる伏線を仕込んでみます。

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