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【50】突然変異の魔物との遭遇

 魔物から伸びる無数のムチがエルバの体を貫いた。


「うがぁぁぁーーーッ!」


 苦痛の叫を上げるエルバの声が響き、その直後にオブシディアンともう一人のヒーラーが悲鳴を上げていた。

 その横で精霊魔法使いが頭を抱えて苦悩していた、さっきコンプレッション・エクスプロージョンを撃ったのはこの魔導士か。


 あたしはすぐに魔法発動の準備に入ったけど恐らく間に合わない……今からあたしが魔法を出すまでの間にエルバは八つ裂きにされてしまうだろう。

 崩れ落ちようとしているエルバに魔物はトドメをさそうとしている。

 ダメだ……、この状況で近くでそれを止められる者はいない。さっきの魔法の爆発で前衛達は皆吹き飛ばされ、ミメットのエキドナもそこへ向かってはいるけど「一瞬で」とは行かない距離がある。


 その時、紫に煌く見覚えのある光が魔物目がけて放たれたんだ。

 フォンと言う音と共にその魔物は一瞬で飛び上がって回避した、そのお陰でエルバの体を貫通していたムチも抜かれたよ。

 その光が放たれた方向は見るまでもなく、誰のものかは分かる。


『クリーダ!』

「やっとわたしの出番が回ってきましたね」


 人が密集していてはなかなか魔法が使えない、丁度エルバが地面に倒れかけたお陰で指向性の魔法だけは使える様になったって訳だ。

 魔物が回避した先へミメットのエキドナが突進し、巨大な尻尾で魔物を遠くへと弾き飛ばすとエキドナは尚も猛進撃を続けた。

 全長30メートル程はあろうかと言うスケールのエキドナは、人より少し大きい程度のその魔物を軽く圧倒している様に見える。


「今のうちに負傷者を後方へ運べ! ヒーラーは重傷者から回復をかけろ!」


 あたしはその適切な指示を聞き、今何をすべきなのかが明確となった為、速やかに小細工魔法で負傷者達を後方のヒーラー達の前へ運ぶ事が出来た。

 ヒーラー達は即座に回復魔法をかけ始めた、その周囲に優しい緑の光を発するヒーリングフィールドが形成されている。

 ともかく今の状況は、前衛達はほぼ戦闘不能に近く、リーダーであるエルバは重傷、となれば最悪なケースの召喚チームが盾とならなければならない。

 あたしも魔物をそこに留める為、小細工魔法を発動させて魔物の動作を鈍らせるべく、地面の素材をツタの様に細く伸ばしたものを多数発生させ魔物にからめた。


 ……ん?


 今って誰が指示をしたんだ!?


「精霊チーム準備! カウント5の後にエキドナを退く! 強力な一撃を撃ち込め!

 それと足かせはもっと強化しろ!」


 その声の主はあの気弱そうなメガネの本大好き少女のミメットだった。驚いたよ……人ってこんな にも変わるものなんだね。


「カウント開始! 5、4、3、2、1!」


 そして0になる直前、ミメットはエキドナを後退させた。

 そのタイミングで精霊魔法


「ゼロッ! 撃てェェッ!」

「エレクトリック・バースト!」

「を完全電離プラズマ化します!」


 目の前に紫色に煌く巨大な光の柱が天空から落ちて来た、その直後に天井が破れたかの様なけたたましい音が轟いた。

 この魔法……前に見たことあるぞ!? 前にナボラ湖でスフェーンが使た魔法だ。それを今二人がかりで出してるって事だね。

 それでも光の柱の太さはスフェーンが使った時の方がずっと太い、やっぱスフェーンって凄い魔法使いだったのかも……。


 やがて光の柱が消滅し、そこには決定的なダメージを受けた魔物が灰にでもなっているかと思われた。

 だけど、そこに横たわっていたのは何故か後退したはずのエキドナだったんだ。


「な……!?」

『何でーーーッ!?』


 あれだけの魔法を受けてエキドナが無傷だったのは確かに凄いんだけど、一体何があったと言うんだ!?

 よく見ると、エキドナの首にあのムチの様なものが絡まって締め上げられ、その下にあの魔物が居るのが見えた。

 そうか、あの魔物は魔法発動の瞬間エキドナを引き寄せ、盾にする事で魔法を凌いだんだ。

 のた打ち回るエキドナの巨体で辺りの地面が激しく揺れていた。

 その暴れる巨体に魔物のムチがどんどん絡まってゆき、やがてエキドナの体が赤く変色した。

 赤く変色したエキドナは、徐々にそのスケールを縮めて行き最後には消滅してしまったんだ。


「まさか……エキドナが食われた!?」

『食われたって……魔力の続く限りやられないんじゃなかったんだんにゃん!?』

「わからない……そのはずなのに」


 ミメットは愕然とした表情をしていた。


 今魔物を捕らえれているものは、あたしが仕掛けた足かせのみになっている。今これを外される訳には行かない、あたしは足かせの強化に専念した。


 今目の前にいる魔物の姿がよく見える、人よりも一回り大きな人形の魔物だった。

 それは右手から生える無数のムチを持ち、全体的にイカツい鎧を着た様な容姿をしていた。


「少し堪えてて! 次を呼ぶ!」


 そう言うと、ミメットは即座に詠唱に入りその目の前に巨大な魔方陣がぼんやりとした光として現れ始めた。

 それを見て魔物は足かせを外そうともがき始めたけど、あたしは次々と新しく素材を固めて補強してやった。

 やがて魔方陣が強く光り、今まさに新しい獣が召喚されると思われた時、魔物の右手のムチが激しく動きあたしたち目がけてそのムチを飛ばして来た。

 そのムチの1つはあたしに向かって飛んで来ている、あたしはとっさに足元の土を移動させてそれを避けた。

 避けつつも他のムチのターゲットが気になりムチを元から辿ると、その殆どはミメットに向けられていたんだ。

 目前に迫るムチに気が付いたミメットが詠唱を中断して回避しようとしていたけど、もはや間に合いそうもなかった。


 またやられてしまうと思った直後、ミメットの目の前に黒く透き通った丸い玉が現れた。

 その丸い玉にムチが突入した瞬間、黒く透き通っていた玉の色が真っ黒に変色し、次の瞬間消滅した。消滅の直後、あの耳元で大きく手を叩いた様な痛々しい音が響いた。

 これは超重力で光の速度を超えるって言っていた魔法だ。

 黒い玉に突入したムチはきれいな切り口で寸断され、残りの部分は魔物の元に戻っていった。


「わたしも援護します、今のうちに召喚を!」


 クリーダがそう言ってミメットに微笑んだ。


「ふぅ……ありがとう」


 そしてミメットは再び閉じかけの魔方陣に光を与え始めたんだ。


今回は特に分かりにくい内容になってしまったかもしれません><

量少ないのにすっごく難しい・・もっともっと勉強しなくては。



本文が少なめなので、今回出てきた魔法について説明を入れさせて頂きます。


この世界の詠唱とは、魔法を発動する為のきっかけ(を手がかりとして魔法を思い出す様な感じ)を言います。手馴れていれば詠唱は不要なのですが、魔法学校の授業で教わった事を忠実に守っている魔法使いは魔法の名前を口に出す事をきっかけにしています。


コンプレッション・エクスプロージョン:空間を圧縮した後に大爆発を起こす精霊魔法。精霊魔法使いの使うメジャーな魔法。


エレクトリック・バースト:雷属性でピンポイントに大ダメージを与える精霊魔法でも非常に威力のある魔法。


エクスプロージョンは、火の玉を出す魔法のファイアボール並に色んな作品に出てくるメジャーな魔法や技になってますよね。

エレクトリック・バーストは、天空高くから真っ直ぐビームが落ちているイメージです。

その名前は某有名ゲームの古代魔法から頂きました、もちろんそれの属性も雷ですw^^w

6つの根本属性とその法則も同ゲーム+科学(についてはWikiPedia)です。

アインシュタインの相対性理論や余剰次元理論なども何度も出てきて、一通り読んだのですがやっぱり全く分かりませんでした^^;

と、言う事で都合の良さそうな箇所をかいをつまんで取り入れたご都合主義の内容となっております。


クリーダさんの使った魔法や、スフェーンさんが核融合の爆発を避けるのに使っていた魔法も元はちゃんとした文献からヒントを得ています。


ちゃんと理解していないので多少違ったりもしそうですが。

他にもたくさんのヒントがあるので、今後ともエセ化学魔法を開発して行きたいと思っています(ぇ


今回はこんなとこで、長々とすみません(><)

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