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【40】手合わせトライアングル

 あたし達がテントに戻るとヘリオがテントの前に立っていた。


「よぉ」


 それは朝の騒動を全く気にしない屈託のない笑顔だったよ。


『おんや? ヘリオは何してるんにゃん?』

「剣の練習をしようって思って相手探してるんだけどさぁ、お前達暇なら相手してくれないか?」

『剣の相手ってあたし達剣使わないんにゃん』

「あぁ、それで構わない」

『でもさぁ……そんな剣が当たったら死んじゃうんにゃん』

「ちゃんと止めるから心配するな」

『うーん、どうする?』


 あたしは後ろに居るクリーダに回答を求めた。


「わたしならお相手します、

 ただしわたしは止めませんがそれでもいいですか?」

「それでいい、じゃぁ街の外まで乗っけてってくれないか? あの乗り物お前達のだろ?」


 ヘリオとあたし達は、街の外の適当な広場になっている所を見つけると乗り物から降りた。

 今思い出したんだけど、あたしって戦闘経験って殆どないんだったっけ。

 小細工魔法を戦闘にどう使えばいいかは大体分かるけど、ファイター相手にどんな風に戦えばいいのかはよく分からない。


『一人っつかんにゃん?』

「ん? 二人でかかって来ていいぞ」

「ずいぶんと自信があるんですね」

『なに、それだけ今回の仕事は生半可な気持ちじゃ出来ないって事だ

 とりあえず順番に行こうか』


 カッコ付けて置いて結局生半可な気持ちらしい。

 ヘリオはスラリと両手剣を片手で抜き身構えた。彼が持つとあの剣が凄く軽そうに見えるけど、あれってクリーダと二人がかりでもビクともしなかった剣なんだよね。

 身構えたヘリオを見てクリーダも身構えたよ、あたしも今回は勉強させてもらうつもりで頑張ろう。


「いつでもいいぞ」

「行きますッ!」


 クリーダは手を前にかざし、ヘリオに向かってプラズマを放った。紫色に煌く光の帯が凄い速さでヘリオへと向かって伸びる。

 しかし、ヘリオはそれを素早く左に避け、体を目一杯下げた状態から一気に前に飛び、クリーダとの間合いを詰めた。

 すると、ヘリオの目の前に黒く透き通った大きな玉が現れた。すかさず後ろに飛ぶヘリオ。その丸い玉は、耳元で思いきり手を叩いた様な鋭い音を立ててはじけた。

 あの魔法って初めて見たけど随分と凄い音がするなぁ、耳が痛いや。


「うほぉー、今のはヤバかったな」

「超重力の魔法です

 触れると光速を超えたスピードで、あらゆるものを押し潰しますので気をつけてください」

「上等! ……む……なにぃ!?」


 ヘリオが声を上げて驚いた理由、それは彼の足はぬかるんだ沼にはまっている様に動きを封じられているからなんだ。

 さっき後ろに飛んだ時、あたしはヘリオの着地した地面の素材をやわらかく変化させておいた。


『それなら飛べないんにゃん?』

「お前って面白い魔法を使うな」

「行きますよ」


 その声と同時にクリーダがプラズマを放った、しかしヘリオは剣を振り回した遠心力で沼を抜け出した。

 凄く軽そうに持っているけど、その重さはヘリオの体重よりもずっと重いのだ。


「そんじゃ今度はこっちから行かせてもらう」


 ヘリオは低く構えた姿勢から一直線にあたしに向かって来た、あたしも負けてはいられない。だって全ての物質はあたしの味方なんだから。

 この広場には既に小細工魔法が広範囲にかかっている、つまりこの広場はあたしの意のままに操ることが出来るんだ。

 更にそれらのおかれている情報も知ることが出来る。もしその範囲にトラップが仕込まれていたらそれを知る事が出来るし、同時にあたしのトラップに変わるって事にもなる。

 今の状況を簡単に言えば、ヘリオはあたしの手のひらの上に立ってる状態。あたしは圧倒的に有利なんだ。

 ヘリオが物凄い勢いで近づいている、その速さは目で追うことが難しいけど地面からの情報で補う事が出来そうだ。


『あれ!?』


 突然、ヘリオの反応が消えた……地面には居ない、と言う事はッ!


『上ッ!』

「バレたか」


 上空から何故か両手を広げ、にこやかに落ちてくるヘリオから素早く避け、ついでにヘリオの着地地点に細工をしてやった。

 ニヤけるあたしを見てかヘリオは剣を振って着地地点をずらした。ちぇっ……せっかく底なし沼にしてやったのになぁ。

 ヘリオは近くの石を拾うと着地予定地点に向かってそれを投げ込んだ、石は「ボッチャン!」と言う音を立てて深く沈んでいった。


「しかし、お前の攻撃は優しすぎるな

 もっと本気で攻めて行かないと相手にダメージを与えられないぞ」

『う……、わかったんにゃん』


 ヘリオの言う通りだね、確かにあたしは相手を傷つける攻撃をしてなかった。そういう攻撃だって使えたのに何故か使わなかった。


「次わたしに向かって来てもらえますか?」

「いいぞぉ」


 トン! と言う音を残し、ヘリオがクリーダに向かって飛んでいった。その様子を地面からの情報を加算して観察するあたし。

 ヘリオはプラズマや複数の丸い玉を次々と避け、ついにはクリーダの間合いに入る事に成功したんだ。


「こうなったらもうオレの勝ちだな」

「どうでしょう」


 そしたら、クリーダの周囲に光のもやがかかったよ。何だろうあの光は。

 ヘリオの勢い余った両手剣がもやに軽く触れた瞬間、剣は眩い光を放ち先端から燃えてしまった。


「ウナァァァーーーッ!?」

『ウナ!? (ごくり)』

「よく踏みとどまりましたね、こう見えてもこのもやはプラズマ化していて一億度以上あります

 鉄であれば問題なく蒸発してくれる温度です」

「してくれる……じゃねェェェッ!

 オレの大事な大剣がァァーーーッ!」


 見るも無残にヘリオの両手剣は半分位になってしまったよ。


『むしろ丁度いい大きさになったんじゃないかんにゃん』

「お前、本気で思ってないだろ」

『うひ』


 大切なヘリオの巨大な両手剣はハーフサイズになってしまったんだ。


複雑な動きの表現はとても無理なのでやめておきました。

せめてもっと分かりやすく書けるといいのですが、と言う事で練習みたいな感じになってしまいましたとさ。めでたしめでたし。


「めでたしめでたし」と最後に付けると、どんな話でも良い話に思えるのが不思議ですね。


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