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【38】怪力ファイター

 クリーダとの共同生活で、あたしのこれからも大きく変わってゆく気がした。


 一緒に暮らすという事は、いい面も悪い面も見ていく事になるんだ。

 お互いガンバれる時もあれば、ガンバれない時もあるって事を理解していないといけないんだ。

 と、覚悟してたけどまだ二日しか経ってないからか、今は全く気になる事はない。これっていつも一緒に仕事をしてるからなのかな? それともこれから見えてくるのかな?



~~~~~~


 さて、今日はいよいよリドナへと出発する日だよ、不思議な事に不安と言うよりワクワクする様な気持ちの方が強いんだよね。

 こんな胡散臭い依頼なのに「やってやる」って気持ちしか起こらないし、不思議と失敗する気がしない。

 どんな根拠かと言われるとすっごく困るんだけどね、何かピンと来た……ただそれだけなんだけどさ。


 荷物を乗り物にささっと載せて出発だ。あたし達が乗る白い花の様な形をした乗り物は、朝もやが出ているベイカの街並みを走り出した。

 今から行けば二日余裕あるから、今日の夜中に到着したら丸一日は準備が出来るね。


 嬉しいことにリドナの場所は大体分かる上、マトラの首都の方向だから道がちゃんとしてるんだ。

 つまり今回は地図と磁石で方向を確かめながら進む必要がないの、方向音痴のあたしには非情に助かるよ。

 ついでに言うとクリーダも方向に関してはさっぱりらしい、あたし達ってとても素敵なパーティーだ。



『クリーダは何読んでるの?』


 あたしが乗り物を運転している横で、クリーダは熱心に書類を読んでいた。


「一年前の討伐記録の資料です、組合から参考資料として頂いて来ました

 作戦参加人数は108人も居たそうです」

『えーーーッ!? なんて大人数なんだ』

「参加者のクラス一覧も書いてありますよ

 ランク10のバーサーカーも載ってます」

『ふむ、それだけ居て失敗するって原因とか書いてないの?

 反省会とかしなかったのかなぁ』

「そういう事は書いてないですね、

 この資料には参加した者のクラスとランクだけで名前もありません」

『随分といい加減だよねー、到着してから聞くしかないのかー……

 注意点位は教えてくれるんだろうし』


 予定通りあたし達はその日の夜にリドナに到着する事が出来た。

 リドナの街は首都に近いだけあって街の建物が綺麗で大きい、首都との行き来の宿場なので宿泊所もきっと多いはずだ。

 街に入ると思った通り軍の車両をあちらこちらで見かけた、まずは軍にどうすべきなのかを聞いてみるか。


『と、その前に……ッ!』

「どうしました?」

『今回のキャラを決定します!』

「やっぱり作るんですか‥」

『前回かなり好評だったから、今回も”んにゃん”で行くですんにゃん!』

「まぁ……一部には好評だったかもしれないですね……、小さい子には特に」

『名づけてミミとシッポの大冒険! リベンジ!』

「なるほど、今回の作戦もリベンジらしいですものね」

『おぉー! クリーダはうまい事言うんにゃん!』


 あたしは又ミミとシッポを生やし、シッポをネジネジして見せた。

 前回と違うのは服の色を白くしたから、ミミとシッポの色も合わせて白くした事。


「今回は白ネコさんですか?」

『うん、クリーダの服装が黒だからあたしは真逆にした方がいいんにゃん』

「念のために聞きますが、わたしはこのままですよね、十分特徴は作れてると思いますし」

『うん、そのままで後はオプション付けるだけんにゃん』


 あたしは両手を両手を頭の上に掲げ、マンガで魔法使いがする様なポーズと共にクリーダに小細工魔法をかけた。


「オプションって、あの……ただでさえ目立つ服装なのに、これはかなり抵抗があるのですが」


 クリーダにかけた魔法で作ったものがナニカって? ミミとシッポの大冒険で、今のクリーダに足りないものと言ったら。


『ミミとシッポだんにゃん!

 あたしが白にゃおん、クリーダが黒にゃおん、設定はやたら仲がいいネコ達なのだ!

 注意点は本物の耳が出ない様に気をつけるべし!』

「シッポが勝手に動いてますけど、これってどういう仕組みですか?」


 クリーダに付けたシッポは、パタパタと椅子の上でリズムを取っている。


『仕組み? 動くように作ったから動くんだんにゃん

 だからそのおミミも動くのだ』


 クリーダに付けたネコミミは、あたしの声の方向に向けている。

 手で確かめようとクリーダが耳を触ったら、丁度指が耳入ったせいでバサッとミミが動いてクリーダがビックリしてた。よし、本物そっくりだ。


 軍が集まっている場所を探していたあたし達は、街のはずれに軍のものらしいテントが見付けた。そこには大きなテントが3つ、結構な人数が居そうだ。


 テントの手前に乗り物を停めて、あたし達は見張りの兵に宿泊の状況など聞いてみた。

 見張りの兵は白と黒のミミとシッポが近づくと、一瞬「正気か?」って顔をした、全く反応ナシだったらその方が残念だからいい反応だ。


「泊まる場所ならば、組合員用のテントがあるからそれを使ってくれ

 街の宿屋は極力使わない様に、一般人の泊まれる場所がなくなるからな」


 見張りの兵が指差したテントには、魔戦士組合の旗が付いていた。魔戦士組合用のテントなんてものが軍に存在するんだ。

 せっかくだし用意してくれてるなら使わせてもらおう。快適さは期待出来ないけど、なければ乗り物で寝ようかと思ってた位だし、平らな所で足を伸ばせるだけマシだろう。


「お前達の格好」

『んにゃん?』

「……かわいいな……」

『ありがとんにゃん』


 あたしは片足を下げスカートを軽くつまみ、少し腰を落とすと少し頭を下げながらお礼を言った。

 この兵隊、ほにゃーって言う様な表情の顔したよ。兵隊にもこのセンスが分かる奴はいるんだね。

 あたし達は魔戦士組合用のテントに入って中を見渡してみた。

 中には10人位の組合員が居て、あたし達が入っても全く気にせずそれぞれ自由にしていたよ。


「失礼します、ベイカの組合から来ました

 よろしくお願いします」


 クリーダがペコリと挨拶したので、あたしもペコリと頭を下げた。

 他の組合員達は片手を上げたり、一言「やぁ」とか「よろしく」と言ってくれたりして返してくれたよ。

 でも、この格好をスルー出来るなんて、組合員位しか居ないだろう。やっぱ失敬な連中だ。


『特に場所は決まってないのかんにゃん?

 適当に陣取って寝るかー』

「そうですね、明日詳しく聞いてみましょう」


 あたしは隅っこに山になっている、布団と毛布とマクラを取って敷いた。


「わたしはマクラだけあればいいんですけど」


 小声でクリーダが言ったけど、人目のある所じゃマズイでしょ。具体的に言うと他の人が気まずいって意味だけど。


『クリーダもちゃんと自分の取って来なきゃダメだんにゃん』


 そう言ったらクリーダは不満そうな顔をしながら布団を敷いてたよ、でも不自然な位あたしの布団にくっつけてますけどね。


「お前らベイカから来たんだ」

『うひゃ!?』


 突然真後ろから声がして驚いた、と言うか気配が全くなかったぞ!?


「お? 驚かしてゴメンな」

『ビックリしたーーッ! ベイカがどうかしたんにゃん?』

「いやなに、オレもベイカ出身だからさ、同じ出身同士仲良くしてくれよな」


 ベイカ出身だというこの男、細身の長身の体格に動きやすそうな軽装備、そして巨大な両手剣を背負っていた。

 こんな大きな剣を振り回せる程のマッチョには見えないけど、もしかすると脱いだら凄いのかもしれない。確かにボディーラインはとても美しい。

 その美しいシルエットから想像してはみたけど、やっぱりそんなものを隠してそうは見えない。どうやってあの巨大な剣を振り回すのか見てみたいもんだ。


 その男は、「ヘリオ・ブラッド」と言う名前らしい。クラスはごく無難なファイター。

 ファイターって言うのは、魔法に頼らないその戦闘スタイルはシンプルだけど、強力な技を使う戦闘のスペシャリストだ。

 きっと、この男も技の強力さを求めていったせいで剣があのサイズになったんだろうな。脳が筋肉じゃないといいけど。


「そんなにオレの体が気になるか?」


 やば……つい気になってチラチラ見てしまっていた。しかも気づかれていたとは何たる不覚ッ!


『んと、その大きな剣を、その細身の体で振るえるのか気になったんにゃん』

「あぁ、オレってちょっと人より筋肉の質がいいらしくてさ」


 その男、人差し指と親指の二本の指だけで、その巨大な剣を軽々と持ち上げて見せたんだ。


『は?』

「驚きました」


 どんだけ重いのか剣を置いて触らせてもらったけど、クリーダと二人でもビクともしなかったよ。


 巨大な両手剣を背負った長身の男は、信じられない位の怪力ファイターだったんだ。


物理攻撃系のクラスも輝ける内容にしたいです、うまく書けるといいのですが。。


あれから考えてたのですが、これが終わった後もう1つ別の主人公の話を挟みたくなりました。

2010.05.25 おかしい文を修正


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