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【37】鼓動

 クリーダとあたしは今日から一緒に住む事になった。


 あたしの住んでる家は中途半端に余ってて、誰も家を建てない様なちんまりした空き地を借りて、そこに色んな素材を寄せ集めて建てた一部屋しかない小さな家。

 小さいけど色々と手はかけててね、外見はちょっとおいしそうなスイーツに見える。何度も作っては分解しを繰り返して作った自信作だよ。


 でも、この家は一人用に作られてるから、クリーダの荷物を収納出来る余裕がないんだ。なので取り急ぎ収納スペースをごそっと増築してみた。こういう時って小細工魔法が使えて本当に良かったと思う。

 片側の壁一面を全て収納にした事で、クリーダの荷物をキッチリ収める事が出来たよ。

 もちろん、あの遠眼鏡っぽいガラクタもちゃんと引越しされて来たんだ、でももう使う事なんてあるのかな?

 そしてクリーダの表札をくっつけてハイ出来上がり。


 この家は入り口入ってすぐに小さなキッチンや洗い場などがあって、そのまま奥に進むと1つしかない部屋になる。

 部屋は片側が窓以外は全て収納で、反対側の壁にベッドが設置されてる。

 ベッドが部屋の半分近くを占領してる所に、クリーダの椅子とテーブルを持ち込んだから通路程度しか隙間がなくなってはいるけどね。


 片付けが一段落して部屋着に着替えたクリーダは、ベッドに腰掛けてるあたしの前に椅子を置いて座った。



「今日からお世話になります、よろしくお願いします」

『こちらこそよろしく、その……狭くてごめんね』

「いえ、この位の方がわたしは落ち着きます」

『ここは今日からクリーダの家だから全部好きにしてね』


 そう言ったらクリーダがベッドを見つめたよ、これだけは2つも入んないからクリーダには置いて来てもらったけどちょっと考えないといけないな。


『ベッドは二段にしてみようか?』

「それもいいですが」

『わわっ』


 クリーダはスックと立ち上がり、あたしをベッドの奥に倒すと手前に寝そべってあたしの手を取って自分のお腹の上に乗せた。


「これでどうですか? わたしはいいアイデアだと思いますが」

『た、確かにいいアイデアだけど……』


 あたしはクリーダの手を引いて、胸にあてがって胸の鼓動を伝えた。


 今更こんなドキドキするのもおかしいけど、といかく今すっごくドキドキしてるんだ。もしかして何かを期待してるのかな?


「凄い事になってますね、一体どうしたのでしょう」

『わかんないけど、急になっちゃった……目が回りそう』

「それは困りましたね、いい治療法を知ってますが……」


 クリーダはあたしを引き寄せて、心臓の鼓動をあたしに聞かせる様に抱え込んだ。トクトクと脈打ってる音と呼吸する音が聞こえる。

 その音はとても心地よくて安心出来る感じがしたんだ、暫く聞いてたら段々ドキドキが治まってきたみたい。


「赤ちゃんはお母さんの心臓の音を聞くと安心するそうですよ

 きっと人間は根本的に心臓の音が好きなんですね」


 大きな声がクリーダの胸に付けている耳から直接聞こえて来た。


『へぇー、クリーダはお父さん役なのにお母さんみたいな事知ってるんだね』


 それから少ししてあたしは目が覚めた。いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

 クリーダを見ると彼女も眠ってたよ、ここにクリーダが居るってやっぱ新鮮な光景だな。あたしは触れるか触れないかの加減で、クリーダをゆっくりとなぞりながらその様子を楽しんだ。


「ハッ!?」

『おや、起きたッ! おはよーッ!』

「おはようございます……、夢まで見てしまいました」

『へぇー、どんな夢だったの?』

「え……、それはちょっと……言えないです」


 クリーダは俯いて少し赤くなっていた。ふふーん。


『ププッ』

「な、何ですか?」

『こんな夢だったりして』


 あたしはさっきまでやってた様に、触れるか触れないかの加減でクリーダをなぞった。


「……あなたでしたか」

『楽しかった?』

「えぇ、とっても」


 薄暗くなった窓の外を見ると、飼い猫のダイヤがふて腐れた顔で顔を上げて見ていた。


『ダイヤー、居たんだごめーん』


 窓を開けるとダイヤが跳ねて飛び込んできた。


「その猫、ダイヤって言うんですか、雪みたいに真っ白ですね」

『うん、白くて綺麗だったからそう名付けたんだ

 他に牛乳っていう候補もあって悩んだけど』

「ぎゅ、牛乳ですか‥

 ダイヤにして良かったと思います」

『そぉ? 褒められてよかったねー、ダイヤ』


 ダイヤは何日も家を空けたのに全く痩せてない所を見ると、どっかで何かしらは食べてるんだろうな。

 餌をねだる様子もなくベッドの上に乗って、嬉しそうにゴロゴロ喉を鳴らして足踏み運動してる。


『あんたはいつもどこで食べてるんだろうね』

「わたしが撫でても平気でしょうか?」

『うん、全然警戒してないし平気だと思うよ

 よかった、クリーダも猫が好きなんだーッ!』

「えぇ、小さい頃に飼ってましたよ」


 クリーダは猫慣れした手つきでダイヤを撫で、ダイヤも嬉しそうに擦り寄ってた。なるほど、猫好きな人は猫には分かるんだ。

 それにしても、クリーダの小さい頃ってどんな子だったんだろ。やっぱり丁寧な言葉を話す子だったんだろうか。

 ちょっと興味あるな。


 クリーダがやって来たおかげで、少し華やかになった様な気がした。


今回の仕事でうまくまとめられるといいなと思っています。

現在、今後のストーリー展開をいくつかを考えてて、どれにしようかそれともこうしようか・・などと色々と楽しんでます。


今更なのですが、小細工魔法って錬金術っぽいですよね。

全くそういう事は意識してなかったのですが、随分と似てる様な事をしています。

確か、錬金術師は科学者で、元素とか構造とかちゃんと理解してないと使えないとか難しい設定があった気がしますが、小細工魔法士はご都合主義な魔法使いです(ノω`*)

その仕様について、今後の話で段々と触れて行きたいと思っています。


それでは、今少しgdgdな話にお付き合い下さいm(_ _)m


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