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【33】位置づけ

 そう言えばスフェーンとシンナバーって今頃どの辺りだろう。

 サヨナラすら言わなかったけどまぁいいか、嫌でもその内また会いそうな気もするし。


 食事を済ました後、あたし達は魔戦士組合に来ていた。



『今度は絶対難易度Aの仕事を受けるんにゃん』

 なになに悪魔祓い? これはちょっと無理だんにゃん』

「また……んにゃん……ですか」

『へ? あたしそんな事言ってた?』

「言ってましたよ」

『うー、次のキャラ考えないと……』

「今のままでいいんじゃないですか? 今のが素ですよね?」

『うーん、今はそうかもしれないし、本当は違うかもしれない……かな』


 そう言ったのはウソじゃないんだ、生まれてからこんな喋り方なんかしてなかったし。

 いつも目立たず隅っこの方にいて、喋らないといけない時だけ俯いたまま気弱そうに小さい声で話してた。

 だから誰にも期待されない子、あえて言うならそれがあたしの素だったんだと思う。でもその素はあたしは好きじゃなかった。

 この喋り方はあたしが理想を組み立てて使ってるに過ぎないけど、今にこれが自分だと言える素を手に入れたいと思ってる。


『じゃぁさ、クリーダも考えてよ

 次のあたしの口調』

「そういうのは全く分からなくて」

『ねぇ、クリーダのそのですます調、それってクリーダの素?

 なんであたしに敬語で話すの?』

「わたしはこれがごく普通です、特に敬語という認識はありませんでしたが、

 いけませんでしたか?」

『認識なかったんだ……

 まー、キャラに合ってるしいいんじゃない?』


 ホントに驚いたよ、クリーダってあの喋り方が日常会話の口調だったんだね。

 周りの人は丁寧に喋られて恐縮したり、優越感感じたりしたんだろうけど。


 クリーダのご両親ってどんな人なんだろ。

 今に会う事になるかもしれないし、気になるナァ。

 その時に「娘さんを下さい!」なんて言ったらどんな親でも普通に卒倒するだろうなぁ。


 それでその先で子供が欲しくなったらどうしよう。この場合、どっかから種をもらうしかないか。

 どうすればいいんだろ、「種くださーい!」とか街角で言うもんじゃないしナァ。言われた方もビックリだろうけど、花の種とかじゃないんだし。

 そんでもって、どっちが産むんだ? あたし? クリーダ? それとも二人で仲良く?


 横道にそれてどんどん想像してたら楽しくなってきた。



「どうしました?」

『クリーダはさ、もしあたし達の子供が産まれたらうれしい?』

「……えッ!?」


 クリーダが凄く驚いてあたしを見んだ。あれ? もしかしてそういう事じゃないのかな?

 一生共にするって誓わせたから、あたしはそういう事って思ってたんだけど。


「もしかして、またですか?」

『また?』

「えと、産まれる様な事をしたって事でしょうか

 あッ! まさかとは思いますがあの人ですか!?」

『えぇぇッ!? なになに?

 産まれる様な事なんてしてないから……もし授かれたらうれしい? って聞いただけで』

「そうですか、安心しました」


 クリーダはフゥーっと息を吐いてた、そんなに驚く事に思えたとは。

 それにしても「またですか」って、何か目を離すとそこらでしちゃう人みたいな言われ方じゃないのさ。


『大体過去のは全部事故だし、

 男の子はあたしに興味持ったりしないから安心していいと思うけど?』

「わかりました、万が一の時はわたしが駆逐するので呼んでください」


 駆逐とか……!

 あ、さっき言ってた「あの人ですか」ってまさかね。そんなはずないよね。うん、きっと気のせいだよ。


「それで、さっきの答えですけど」

『うん、子供が産まれたらうれしいかってのね』

「とてもうれしいです……」


 そう言って少し俯くクリーダは、顔を真っ赤にしていた。


『なッ! 何故そこで真っ赤になるぅーーーッ!』

「どちらが母役で、どちらが父役をするか考えてしまって……」

『それは随分と未来に行っちゃってますねー

 と、言うか何でそこで赤くなるかが不思議なんだけど』

「わたしの希望としては、父役がいいですけど」

『そうなんだー、なんでなんで?』

「命にかけて家族を守るうれしさが得られるからですよ」


 クリーダのその満足そうな顔を見ただけで、あたしは全てを納得出来た。

 多分、クリーダはあたしなんかよりも、ずっと先まで考えてるんだろう。


『そしたら、男の子がいいかな? 女の子がいいかな?』

「もちろん女の子ですよ」

『ふーん、クリーダはあくまで女の子スキーなんだね』

「いえ、二人目で男の子です」

『ふっ2人目!?』

「出来れば3人欲しいですね」

『産むのってあたしだよね?』

「あ、産むのはどちらでも大丈夫です

 家族の位置づけとしてわたしが父親役って事で」


『そ、そかそか』

「がんばりましょう」

『お……、おぉッ!』


 あたし達は思いもよらず、将来のかなり先の事と思える事を語ってしまった。


ストーリーの進み具合は、まったりペースですが今回実は少し重要なお話だったりします。

具体的には別ストーリーの科学魔導士編(先に書きましたが小細工魔法士編よりも未来の話です)への繋がりの伏線を1本作れた感じがします、と言ってもただの偶然なのですが、結果オーライと思う事にしたいと思います(;´・ω・)


今後の構想ですが、この小細工魔法士編が終わった後、やっと本編へと入って行きたいと思ってます。

適当なシリーズ名(仮)を付けたのはそのせいですが、はたしてそんなうまく続くかは本人も想像出来ません・・。


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