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【32】お返し

 ベイカの街に戻って来た次の日、目が覚めたのは既に太陽が真上に見える昼だった。


『め……めむい』


 自然に目が覚めたものの、まだ物凄く眠かった……。

 それと言うのも全ては例の罰のせいなんだけど、最近よく罰を受けるのは何故だろう。


 ここは見慣れない部屋、シンプルで必要なもの以外殆どない部屋。それがクリーダの部屋だ。

 あたしは昨日クリーダの部屋に泊まったんだ、もちろん来るのは今回が初めて。


 この部屋にはアーチ型の窓があって、その前に小さなテーブルと椅子が置いてある。そしてテーブルの上には布がかけられた何かが乗っていた。

 あたしはその窓から外を眺めてみた、見える景色は真っ直ぐ前が丁度道になっているんだな。

 クリーダはここに座って外の景色を眺めていたんだろうね、テーブルの上の何かの布をめくったら小さなスタンドに設置された遠眼鏡が出てきたよ。

 遠眼鏡を覗いてみたら予想通りだけど、丁度あたしの家がターゲットになっていたよ。

 気持ちよさそうに日向ぼっこしてる飼い猫のダイヤまで見つけちゃった。


 クリーダって一年もの間、ずっとここからあたしを見てたのかな?

 あたしは遠眼鏡に布をかけ元通りに直した。


 後ろを振り返るとベッドにまだ寝てるクリーダが見える。寝顔もやっぱり美しい。

 こんな美しい人が、遠眼鏡でわざわざあたしなんかを見てたのって不思議だなぁ。

 クリーダは今までどんな人生を歩んできたのかな、昔の事を聞いたら教えてくれるだろうか?


 壁にクリーダの着てた服がかかってる、かなり血が付いてるけどその部分を切り取れば何か作れそうな気がした。

 シャツなら間違いなく作れそう、ちょっとおしゃれなブラウスを作ってあげよう。


 あたしは構想を練りつつ、服に小細工魔法をかけた。

 首の周りは広めにカット、鎖骨を出してオトナの雰囲気を出しちゃおう。

 次に甘くなりすぎない様に気をつけながら、首周りそして前と後ろに2ラインづつエッヂの効いたフリルを付ける。

 袖口も広めにして甘さとシャープさのコラボレーションの味付け。

 ウェストはキュッとしめて、そこから花の様に開く感じで裾を広げ、蝶を思わせる様なフィニッシュで決める。


 うん、我ながらいい出来の白いブラウスが作れたかも。これならちょっとオシャレな普段着として着れるよ。


 下は色つきのスカートで合わせてもいいし、アクティブにパンツをはいてもいいかも。



「あ、起きてたんですね、おはようございます」


 後ろでクリーダの声がした、目が覚めたみたいだね。


『おはよークリーダ、あたしも少し前に起きたとこ

 もうすっかりお昼時だけどね』


 あたしは早速、今リフォームしたてのブラウスをクリーダに当ててみた。


『よっしゃ、いい感じだ』

「これは?」

『氷女のローブを仕立て直したんだよ、上しかないから下は合わせないといけないけど

 合わせられそうな服って持ってる?』

「スカートとかでいいでしょうか? 余りたくさんはないですけど」


 クリーダが洋服ダンスを開けてくれたので、あたしはその中で合いそうなものを物色した。

 パンツは持ってないらしい、クリーダならラフな格好でも似合いそうなのにな。


『これなんかどうかな? 青のスカート』


 あたしはシンプルな青いスカートを選びクリーダに手渡した。


「合わせてみますね」


 思ったとおり、白のブラウスとシンプルな青いスカートはいい感じだったよ。

 後は、白いロングブーツの色を黒っぽくしてあげればコーディネート完成だ。


「どうでしょう?」

『すっごくいいよーッ! 元がいいから尚更ね』

「ありがとうございます、とてもうれしいです」


 クリーダは少し照れてた、タンスを見る限りいつもシンプルな服を着てたみたい。

 もったいないなぁ、あたしがクリーダだったらあたしが着れない領域のものまでどんどんチャレンジしただろうに。


『さーて、遅い朝食でも食べに出かけよっか』


 あたしが窓から外を眺めてたら、クリーダは机の上の布の被った遠眼鏡を少し慌てて片付けてるよ。

 アハハ、やっぱ見られたくないものだったんだー! よーし、少しいじわるしちゃおうかな。


『それは何?』

「えッ!? た、ただのガラクタです

 邪魔なので閉まって置きます」

『ほむぅ』


 クリーダは近くの戸棚に遠眼鏡っぽいガラクタをしまった。

 なるほど、ただのガラクタだったのか。あたしは決して相手を追い詰める事はしない主義だし、ただのガラクタって事にしておこうかな。


「それじゃ、食事に出ましょうか」

『よしきた、何を食べようかー』


 あたしが部屋のドアを開けようとしたら、クリーダはあたしの肩を掴んでそのまま引き寄せた。

 両手であたしの体を包むようにしてギュッとすると、くるりと体を回転させてやさしくキスしてくれたんだ。


「今日はまだしてませんでしたから」


 そのお返しに、あたしからもクリーダをギュッとしてあげてキスをしてあげた。

 クリーダが目をつむるのを初めて見たよ、いつもあたしってされる側だったんだって事に初めて気が付いた。


ちょっと短めでした。

誰しも少なからず知られたくない隠し事って持ってるもんですよね^^


今更ですが、キャラの名前は宝石や鉱石の名前からとってます。

もしかすると、ルビー・サファイヤで分かったかもしれませんが、クリーダ・ヴァナディンも同じく鉱石(2種類)の名称です。

多分、今ミネラルウォーターで流行ってるバナジウムとかそういう類だと思います。

スフェーンやシンナバーも名前のあるキャラはみんな例外ではないですが、テン市長のテンの部分だけは違います。

察しの通りのただの駄洒落です(=天使長)

テンという鉱石が存在すればと思ってなりません(ノ∀`)後付サクサクじゃー


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