表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/60

【29】脳内マップ

 あたしは「スフェーンが興味を持ったものを知りたい」って言う、シンナバーのとばっちりを受けていた。


「なるほど、こんな感じなのか」

『うぅ……なんでこんな目にばっか遭うんだ』

「多分ねー、素質かな?

 おチビは男の子には全然モテないけど、オンナには妙にモテる特殊体質なんだよ」

『さりげなく酷い事言われた気がする』

「えー? じゃぁおチビは男の子と付き合った事あるの?」

『えーと、えーと』

「あたしが知ってる情報にはないから、この3年間の間になるけどさ」

『フッ……』


 どうせね、あたしは遠くを見る目をするしかなかったさ。


「なしっと……メモメモ」

『メモるなッ!』

「まぁ、おチビって男の子の免疫が全然ないもんねー、ナボラの広場でドーナツ食べてた時もさ

 まさかの興味0?」

『そんなの、興味なくはないけど』

「バイか、守備範囲広いなぁ

 なら相手が振り向いてくれないジレンマも多少は分かるよね?」


 男の子かぁ、そりゃー今まで好意を持った人なんていっぱいいたさ。

 だけど、みんなあたしなんかを見る事なんてなかったよ。


 それが、半年位前にたった一人だけ仲良くしてくれた人が居てね、食事とか誘ってくれたり「もしかして」とか思ったんだ。

 結構いい雰囲気になってデートの約束までしてくれたのに、直前で「ごめん」とか言われて……アレは呆然としたな。

 理由聞いたけど「命に関わる事」とか意味分からない事言って走ってっちゃった。

 何かの組織に狙われててあたしに迷惑がかかるからとか、不死の伝染病とかアレコレ想像してたけど、たまに見かける限りはそんな感じはなかった。

 でも、あたしを見つけると真っ青な顔して辺りをキョロキョロし出して、近付こうものなら凄い勢いでどっかに逃げて行くんだ。未だにその理由は謎。


「ねぇ、あたしが噛み付いた痕どうする? 消す? 記念に残す?」

『消して下さい……

 スフェーンのはそのままでいいよ、消したらまためんどうな事になるし』

「そうだよね、今度はあたしがクリーダと戦うはめになっちゃうし」


 シンナバーが片手でスッと撫でると、ズキンズキンしていた痛みは一瞬で消えた。やれやれだ。

 あの二人って今頃どうなってるのかな? 無茶してないといいけど。


「じゃぁ最後に、ちょっと仲良くしちゃおうか」

『うなッ!?』


 ビックリしたよ、何とシンナバーのやたら健康そうな体が目の前にッ!

 スフェーンのトレースって言っても、そこまでする必要があるのかな?


「ギャハハ! おチビたんッ! ちゅきちゅきーーッ! ってこんな感じかぁ?」


 シンナバーがあたしをギューっと抱きしめた。

 やっぱギューっていいねぇー。別に特別な気持ちがなくてもギューってするのって気持ちいいもんなんだ。


 あ、麻痺の効果が切れてたみたいだ、それとも解除してくれたのかな?

 シンナバーの指先はあたしをやさしく撫でてくれた。くれたって思うって事は実際嫌じゃないんだろうね。

 どうやら別に好意を持ってなくても、あたしの体はそれなりに受け入れるものらしい。


 そして、じきに体が反応し出すとあたしは声をもらし始めたんだ。気が付いた時にはシンナバーの背中に手を回してしっかりしがみ付いてたよ。

 シンナバーの口元は少し甘い味がする、さっき食べてたドーナツの砂糖が付いてるみたい。あたしはそれらをペロペロと舐めてあげたんだ。


 あたしの手が勝手にシンナバーの体をなぞって、色々な情報を得ようとしてる。肌触りとか筋肉や骨、脂肪の付き具合、そしてどんな反応をするかとかまで。

 その情報は少しずつ脳に蓄積されて行って、マップの様なものを作って行くの。それはきっとシンナバーも同じだと思うんだ。


 二人の弾む息や、時折かすかに漏らす声がお互いの気分を盛り上げて行き、徐々に行為そのものに集中して行ったよ。



 暫くして、乗り物の中で息を整えてるあたし達は、仰向けに並んで手を繋いでた。


『シンナバーの味がする』


 指を舐めて見せたあたしを見て、シンナバーが少し笑って言ったんだ


「えーーッ!? やっぱおチビって変態だよね」


 ってね。

 でも、シンナバーも舐めてくれたんだ。それを見て不思議と充実感が沸き起こったよ。


 むくっと起き上がったあたしは、窓の外にとんでもない物を見つけた。

 それはクリーダとスフェーンが歩いていった方向に出来た、得体の知れない真っ赤に光る大きな玉だ。


『な、何あれ……』

「さぁ……、あたしは見たことないよ、あんなの」


 スフェーンじゃないって事はクリーダがやったのかな?


 赤い玉は中心にどんどん光が集まって行き、それはやがて強烈な閃光をほとぼらせ大爆発を起こした。

 あたし達の乗り物を衝撃波らしきものが通り過ぎて行き、地の底から響くような振動と、雷の様なけたたましい音が鳴り響いたよ。


『これってちょっとヤバイんじゃ……』

「行かなきゃ」


 シンナバーは血相を変えて服を中途半端に纏うと、空高く立ち上った巨大な炎の柱に向かって乗り物を走らせた。


いつも見て下さり感謝の極みであります。


少し具体的に書いてみたつもりですが、うーん、どんなもんしょね。思った様には書けないのは確かなんですが。

それと、理性と欲望の優劣を織り込んでみたつもりですが、それも少々ままなりませんね。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ