【28】神の制裁
あたしはシンナバーと、今日初めてちゃんと話をしたかもしれない。
シンナバーは相変わらずスーハースーハーしておりますが。
『もういいでしょ?』
「いやいやぁ、これはヤバイかも
何かずっと嗅いでたい気がして来るよ」
『一体あたしの体から何が出てんだ……』
「ヘッヘッヘッーッ! さぁ鬼が出るか蛇が出るか」
シンナバーがあたしの服をめくりはじめたよ。
どっちが出てもダメだろうと思いつつ、あたしはそれを拒んだ。
『あ、やめッ!』
だって、アレだけは見せたくないからね、本気で抵抗させてもらうよ。
「おチビはバカだなぁー、そんな事したら絶対何かあるって事が確定されるじゃない
あたしは鬼と蛇のセットだとおもうんだけど
次回おチビの秘密! 見てくれよなッ!」
『ダメダメダメダメッ!!』
「あぁーッ! もうそんな暴れないッ! しょうがないなぁ無駄なのに」
『あれ?』
突然手足の力が抜けた。
シンナバーの顔や手をぐーっと押し返してた手がパタンと床に落ちたんだ。
「麻痺の魔法かけた
おチビがわからず屋だから悪いんだよ!?」
『うぬーッ!』
シンナバーって弱体魔法も使えるんだった、麻痺させたり、動きを遅くしたり、眠らせたり、沈黙させたり。
神は凶悪な魔法を絶対与えてはいけない人物に与えてしまったのかッ! と、あたしは神を初めて恨んだ。
「これってさー、戦闘以外の方が使えそうな魔法だよね」
『ねぇ、どうしても?』
「さっき言ったでしょ? あたしはスフェーンが興味を持ったものが知りたいって
探究心なんだよッ!? 探究心を持っていたからこそ人は成長出来たんだよ!?」
バサーッ! と言う音と共に、まくり上げた服は関連製品と共に剥ぎ取られてしまった。
『うひぁーーーッ!』
「な……なんじゃこりゃァァーーーッ!」
抱え起こされ強制的にバンザイの形をしていたあたしは、そのまま乗り物の床に自由落下して頭をゴチンと打ち付けた。
『痛ッ!! 頭ッ! 打ったッ!』
追加更新されたクリーダの印と……、スフェーンに噛み付かれた痕。それらを見てシンナバーが驚いた。
「えぇーーーッ!? 何よこれーーーッ!」
『うわあぁぁぁッ! 見るなァァァーーーッ!!』
とんでもないものを見られてしまったよ、まさか全員でこの情報を共有する事になるとは。
「……ごい……すごいよおチビッ!」
だけどシンナバーの反応は想像と違ったんだ。印の数々を見てフムフムと言うような、教科書を見ている様な真面目な顔をしていた。
「あの二人にここまでさせたって事に心底感心するよッ! 全く羨ましいッ!」
『え……?』
「これがどういうものか分かってる?
ついに制覇したぞーッ! って言う記念の証なんだよッ!
しかも他人が見た時にも効果を発揮するものなんだよッ!?」
『そんなご大層な意味があるものなの?』
「あるある! おおアリクイだよッ! 実際にはアリクイは関係ないけどねッ!
だって、こういう印を付けないと不安って心理があったって事だから、すっごい真剣に思われてたって事なんだよッ!?」
「ところで一番重要な事を聞きたいんだけど……」
『重要って? なに?』
「…………えっと」
『……? だからなに?』
ためらいつつ、あたしのおなかに丸をいくつか書いた後で言った。
「こ、これ……スフェーンにも付けちゃった?」
『だからあたしはしてないって言ったじゃない』
「そっかぁーッ! それならスフェーンはまだ新品だねッ! おチビは中古だけどねッ!」
何もしてない事を言ったら、シンナバーの顔が一気に明るくなったよ。それにしても、とんだ毒を吐きやがったもんだ。
『失礼な事言うな!』
「だって本当じゃない、それについての異論ありますか? 数秒間だけ募集中です!」
『あのね……』
「ブブゥーーッ! ただ今を持って受付は終了しました!」
『ふぅ……もう何でもいいや』
「それにしてもすっごい事したよねー……
何この噛み付かれたみたいな痕ッ!」
『それはスフェ……』
「……!!」
スフェーンがと言いかけで止めたけど、言った瞬間シンナバーの表情が強張ったんだ。
しまった……適当に受け流しておくべきだったか。シンナバーは俯き、あたしのおなかの上に乗せていた両手をグッと握りしめた。
「……くしょう……ちくしょうッ!
ちくしょう! ちくしょうッ!」
シンナバーは握り締めた拳に額を近づけて震えていた。シンナバーのストレートの髪がおなかの上にさらっと広がってこそばゆい。
『それね、クリーダが付けた印を見られた時にスフェーンが怒って噛み付いた痕なんだ
あたしはスフェーンの気持ちは受け入れられないから』
「正直に話してくれてありがとう、でもあたしはやっぱり悔しいよ」
『ごめんね、あたしどうしたらいいか分かんなくて』
そう言うと、シンナバーはゆっくりと首を振り、やがて顔を上げた。
「その様な迷える子羊に、今から神の制裁を下す事にします」
『ちょッ! 神の制裁って!?』
「罪には罰を、積み荷は馬車へ」
積み荷がサッパリわからんちんッ!
大体、神の制裁ってさっき神様を信用してないって言った者が使う言葉なんだろうか!?
「そして……、スフェーンが噛み付いたなら、あたしも噛み付くッ!」
シンナバーは標的をぺろりと舐め、勢いよく噛み付いた。
二人しか居ない乗り物に、あたしの絶叫だけが響いた。
何となく一通りに絡ませてみたのですが、絡みの部分のさじ加減が自己判断なので消極的かやりすぎかがよく分かりません。
ちょっと少し足りてない程度が理想なのですが、どうにもこうにもわからんちんです、、
マンガやアニメだと文字にしないで絵でさらっと表現出来る部分でも、文字だと書かざるおえない部分とかをどうやるもんか悩まれます。
いい方法や参考などありましたら是非ともご教授下さりm(_ _)m