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【23】誓いの言葉

 スフェーンが天を指差すと怪物全体を包む程の紫色に輝く巨大な光の柱が発生し、少し遅れて音速を超えた印である衝撃波による轟きが鳴り響いた。


『ぎぇッ!?』


 目の前に落ちた光の柱を中心に、激しい衝撃波があたし達にも直撃した。あたしはまんまと吹っ飛ばされて一回転してしまったよ。


「プラズマはあなただけの芸当だとでも思ってた?」

「お、驚きました!

 まさか天然の精霊魔法から、完全電離プラズマを高密度で作り出せる精霊魔法使いがいるなんて……

 これ程ならば2億度は確実でしょう」

「あはッ! あたしだって苦労したんだよー? 炎系の魔法だけじゃ限界があるって知ってからはね

 それから色々と研究してたどり着いた結果がコレって訳

 あたしが本気を出したら、まだまだこんなもんじゃないんだからッ!」

「えぇ、その様ですね

 今は水と雷と風の魔法を同時に使っているのでしょうか?」

「へぇー、クリーダはさすがに詳しいなぁ

 その通りッ! 風単体と水雷のセットね」

「水を電気分解などの工程を得て、重水素等と酸素を抽出して……」


 さっぱり分からないので、あたしはこれ以上二人の会話を聞くのを辞めた。


 1つだけ分かる事と言えば、クリーダが驚いたって事は、スフェーンって本当は凄い精霊魔法使いなんだって事。

 それにしても、クリーダにしてもスフェーンにしても、魔法のスケールがあたしの常識とかけ離れ過ぎてる。

 おかげで、こういうの見た後で小細工魔法使うと、あれ? って、その地味さに落ち込むんだよね。

 だからあたしは魔法を使う前にモーションを作ってるんだけどさ。


 あたしももっと自分の魔法を研究しないといけないな。どう研究したらいいか分かんないけどしないといけないんだな。


「そこの暇そうなおチビッ!」


 シンナバーがビシッと指さして言った。


『うん?』

「しっかりと見ててあげてね」

『うん、スフェーンがこんなにカッコ良かったなんて知らなかったよ』

「ねーカッコイイよねー! あ……だからっておチビは惚れたりしたらダメなんだからねッ!」

『あ、あはは……』


 巨大な光の柱の落ちたその場所にあの怪物の姿は既になく、代わりにぽっかりと深い穴が開いていた。

 クリーダの話だとこの穴は衝撃波で掘られた穴じゃなくて、超高温のプラズマによって地面が蒸発して出来た穴らしい。

 というか、地面が蒸発するって一体どんな火力なんだーーッ!?


 今回圧倒的な火力のお陰でとっても簡単に終わった気がするけど、この仕事の難易度ってやっぱりAなんだよね。

 きっとクリーダやスフェーンみたいにとんでもない火力を持たない、普通の精霊魔法使いには無理な仕事なんだろう。


 ――待てよ?


 クリーダとならあたしも難易度Aの仕事が出来たって事だよね? 次はもっと難易度の高い仕事をやってみようかな。

 何たって難易度Aの報酬は100万丸だ! あたしももっと役に立てる様に小細工魔法を磨こう。思ったより意外と早く目的が出来たじゃないか。


 それからあたし達は湖から撤収し、テン市長に完了報告をもらいに行った。


「よくやってくれたね、既に報告はもらっているよ

 何しろ今回のキミ達の勇士は、町中の者が見学してたらしいからね」

「そ、そうなんですかッ!?」


 テン市長はサラリと完了のサインを書き終えると、その書類をシンナバーに手渡した。

 うっへぇー、ずっと見られてたのかーッ! どこまで知られているんだろうな。


「あぁそうだ、シンナバー」

「はい?」

「キミ達は今日はまだ帰らないだろう?」

「えぇ、そのつもりですが」

「なら、久しぶりな事だし皆さんを夕食に誘いたいんだがどうだね?

 もちろん休む所もこちらで用意させてもらおう」


 教会の食事と言えばアレだよね、仕事の後だしあたしはコッテリしたものが食べたいなぁ。例えばウナみたいなのとか。


「あー……せっかくですが」

「そうかそうかッ! では部屋を案内させよう

 夕食まで時間があるしそれまで自由にしていてくれ

 いやぁ楽しみだ!!」


 どう聞いても断わりの出だしなのに、承諾したと思うなんてテン市長もポジティブ思考だな。まるで選択肢は最初から1つだったみたいだ。

 あたし達は教会の子達に部屋へと案内された。部屋はもの凄ーくこちらの事情に詳しいかの様に2人部屋を2つだ。ただの偶然なんだろうけどさ。

 まー、ペアをどう分けるかなんてのは、今更説明の必要はないので割愛させてもらおう。

 あたし達が通された部屋は、質素なベッドと机と椅子が2つずつある、全く持ってシンプルな作りだった。


 クリーダとあたしが部屋に入り、ドアをパタンと閉めた瞬間にクリーダはあたしの手をグッと掴んでベッドに座らせた。

 あたしの前に椅子を置いてクリーダが座り、真っ直ぐあたしの目を見て言った。


「何か忘れてはいませんか?」

『えっ? ……あ……』


 あたしは一昨日魔戦士組合で、クリーダが先に帰ってしまった事を思い出した。やっぱりクリーダは怒ってたんだ。


『ご……ごめんなさい……』

「声が小さいです」

『ごめんなさいッ!』


 あたしはクリーダに深く頭を下げて謝った。


「それじゃ、罰として神様に誓ってください」

『えぇーッ!? でもあたし、信仰心って全くないよ?』

「そうなのですか? でしたら信頼している方に誓ってください」

『えーと……じゃぁお婆ちゃんでいいかな?』

「はい、ではわたしがこれから言う誓いの言葉を、お婆さまを思い浮かべながら復唱して下さいね」

『わかった』


 クリーダは咳払いをすると、誓いの言葉を言い始めた。


「わたしは今後」

『あたしは今後』


「クリーダ・ヴァナディンと」

『クリーダ・ヴァナディンと』


「一生の人生全てを」

『一生の人生全てを』


「共有する事を誓います」

『共有する事を誓います』


「身も心も魂までの全てを」

『身も心も魂までの全てを』


「共有する事を誓います」

『共有する事を誓います』


「はい、誓いましたね?」

『はい、誓いましたね?』


「もう終わってますから……」

『もう……あぁ』


「いいですか?

 わたしとあなたは今、その全てを共有する事を誓いました

 お婆さまに誓って絶対に忘れないで下さい」


『うん、お婆ちゃんに誓って絶対に忘れないよ』


 こうしてあたしはお婆ちゃんに誓った、クリーダも誓ってくれたのかな?

 クリーダはにっこり微笑んであたしの右に座り、そっとあたしの手を取って彼女の膝の上に乗せて両手でしっかりと握った。


 聖なる教会の一室で、あたしは誓いの言葉を言ったんだ。


思っていたより結構続いてる小細工魔法士のお話ですが、まだ先を続けるか続けないか少し悩んでます。

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