ep.7 休日の過ごし方
今日は土曜日だ。俺はというとキッチンで鼻歌を歌いながら、朝ごはんを作っている。今日の朝ごはんは、古き良き日本の定番メニューである。炊き立てのご飯、鮭の塩焼き、卵焼き、そして味噌汁という和食のフルコースである。
ピンポーン……ピンポーン
っと、そこで玄関のチャイムが鳴った。
「拓海くん、おはようございます」
俺は、インタホーンを通話モードにして言った。
「おはよう、甘音。玄関空いてるから入ってきてくれ」
「わかりました、お邪魔します」
そういうと、俺はインターホンを切ってキッチンに戻った。
「う〜ん、とてもいい匂いがします。今日は和食ですか?」
甘音は、上はタンクトップにメッシュカーディガンで下はスラックスという服装でやってきた。
「あぁ、今日は古き良き日本食にしようと思ってな」
「いいですね。私、和食大好きなんですよ」
そう言う甘音の顔はキラキラしていた。
「悪い、甘音。食器を並べてくれないか?」
「わかりました。食器はあの棚でよろしかったですか?」
「あぁ、その棚だ」
それから、十分ほどして料理をテーブルに並び終えた。
「では、食べるとするか」
「「いただきます」」
俺は、まず自信作である卵焼きを口に入れた。(結構、上手くできたな)と俺が考えてると目の前ではとても幸せそうにご飯を食べている甘音がいた。
「拓海くん、この卵焼きとても美味しいです」
「それはよかった。結構これ自信作だったんだ」
そう言うと、甘音は美味しそうにひとつ、またひとつと卵焼きを食べていく。
「拓海くんが、この提案してくれて本当助かりました。私ではこんな料理は作れませんから」
そう甘音は苦笑いで言い放った。
「そうだ、甘音。料理を覚える気はないか?」
そう言うと、甘音はキョトンした顔でこっちを見つめてきた。
「料理ができないなら、俺でよければ料理を教えてあげようかなと思って」
そう言うと、甘音の顔がキラキラし始めた。
「いいんですか、教えていただいても。それは拓海くんの負担になりませんか?」
甘音はとても申し訳なさそうな顔して聞いてきた。
「大丈夫だ。毎朝、毎晩一緒に食べるんだから、せっかくなら一緒に作った方が楽しいだろ?」
せっかく一緒に食事しているなら、甘音に料理を教えながらやった方が甘音も自分で料理できるようになって喜ぶだろうと考えたのだ。
「拓海くん、何から何までありがとうございます」
「別に、俺が好きでやっているだけだから気にするな」
そうして俺たちは、朝ごはんを食べ終えソファの上で二人並んで座っていた。
「それで、俺に告白してから告白される回数は減ったのか?」
ふと疑問に思い、俺は更紗に聞いてみた。
「結論から言いますと、全然減って無いですね。むしろ、タチが悪くなった気がします。」
「どう言う感じにタチが悪くなったんだ?」
「今までは、付き合ってくださいや一目惚れですとかが多かったんですけど、あの一件以来、僕は冴咲なんかよりもずっと優秀ですよとか冴咲よりも僕の方がかっこいいですよとか冴咲くんを下げて告白してくる人が増えました。そんな、人を貶すような人に告白されても嫌なだけですよ」
甘音は怪訝そうな顔をして話した。
「そうか、あの行動は逆にデバフになっていたんだな」
「そうですよ‼︎あそこで拓海くんが承諾してくれたらこんなことにはならなかったかもしれないんですよ?」
頬をぷくっと膨らましてこっちを見つめる甘音を見て、正直可愛いと思ったが、
「それでも、唐突しすぎて戸惑うのが普通だろう?」
「それはそうなんですが……そうですね。あれは、唐突に言いすぎました」
なんとか、甘音のボルテージは下がったようでよかった。
「話は変わるんだが、今日は土曜日だから甘音は何かしたいことはないのか?」
そうやって、甘音に聞くと甘音は考え込んだ。
「そうですね……今まで、暇な時はとりあえず勉強をしていたので娯楽やしたいことというのが思いつきませんね」
「それならさ、ゲームやるか?俺swatch2とかパリステ6とか持ってるからさ」
俺も、特にこれぞというものが思いつかなかったからとりあえずゲームを提案してみたが、更紗はゲームとかしないか。
「いや、ゲームじゃなくてもいいん…」
「ゲーム⁉︎私、父がゲームを禁止してまして友達の家でしかできなかったので久しぶりで楽しみです」
そして、俺たちは二人で日中はゲームをしていて、気づけば日も落ちてきた。