ep.4 過去
古典の授業中、俺は窓側の一番後ろの席でお日様がいい感じに当たり昼ごはんの後ということもあって俺は気づけば眠っていた。
俺は小学校の頃、魁斗や愛美と出会う前は一人でずっと本を読んでいて今よりもずっと根暗だった。それもあってよくいじめにも遭っていた。
「お前っていっつも何か読んでるよな。そんなんして楽しいの?」
「う・・・うん、楽しいよ」
「ちょっと貸せよ」
いじめっ子たちのリーダーが僕の本を無理やり奪った。
「なんだこれ、文字ばっかでおもんねぇの」
「や・・・やめてよ、返してよ」
「ふん、それなら返してやるよ」
そうして、いじっめっ子たちのリーダーは窓から僕の本を投げ捨てたのだ。
「何するんだよ‼︎」
「あっ、ごめーん手が滑っちゃった」
「おい、それはやりすぎだろ」
そう言ってやってきたのが魁斗である。
「はぁ? なんだよお前に関係ないだろ」
「関係あるなし以前に人としておかしいと思うのは当然だろう」
「な、なんだよこの野郎〜‼︎」
そうしてリーダーは魁斗に殴りかかった。だが魁斗はそれをいとも容易に避けてしまった。そうして避けられたリーダーはそのまま魁斗の後ろでコケてしまった。
「そういうところだ、自分が不利になった瞬間すぐ暴力に語りかける。そういうところが悪いんだよ」
魁斗はいじめっ子達相手に忠告をした。
「もう、こいつをいじめるなよ」
「ク、クソォ〜」
いじめっ子達はそそくさと逃げていった。そして魁斗は俺に話しかけてきた。
「大丈夫か?」
「あぁ、大丈夫」
「それは良かった。あんたの本は今妹に取りに行かせてるから安心してくれ。あと、失礼を承知で聞きたいのだがあんたいつもひとりだけど友達とかいねぇのか?」
「う、うん・・・僕ってこういう性格だから友達も全然作れなくて」
俺は下に俯いて答えた。
「そうか、なら俺が友達第一号になれるな。俺はあんたと友達になりたい。ダメか?」
「ダメじゃない、でも、僕なんかと一緒にいると君に迷惑をかけない?自分で言うのもなんだけど僕といても何も楽しくないよ」
「そんなことないさ。それを決めるのは俺だし、俺は俺が友だちと思ったやつと仲良くするだけだ。」
そう言って魁斗は僕と肩を組んで来た。
「かい兄〜、落ちてる本ってこれのこと〜?」
そう言ってやってきたのは愛美である。
「おう、それそれありがとな愛美」
「でも、かい兄こんな本持ってたっけ?」
「いや、俺のじゃねぇよ。それはこいつのだ。」
魁斗はそうして僕を指してくる。
「あぁ、あなたの本なのねはい!どうぞ」
「ありがとう」
僕は愛美から本を受け取った。
「でも、なんで外に本が落ちていたの?」
確かに本が外に落ちてるとか普通ない話だもんね。
「あぁ、それはこいつえーと名前聞いてなかったな」
「僕の名前は冴咲拓海」
「拓海かよろしくな。俺は天堂魁斗、こっちは双子の妹の愛美だ」
「よろしくね、拓海くん」
「こちらこそよろしく、魁斗、愛美ちゃん」
「それで拓海がいじめられてて本を外に捨てられたんだよ。」
「ひどい・・・そんなことするなんて」
愛美はその事実にとても驚いたようだ。
この時から魁斗達とはよくいるようになった。
「おーい、拓海〜今からみんなでサッカーするけどお前も来るか〜?」
「うん、今行くわ」
それからというもの、クラスの子達とも仲良くなれたしこうやってみんなと遊ぶほどに俺は社交的になった。あの時に魁斗に出会わなかったらこうはならなかっただろう。俺は本当に魁斗には感謝している。
「たっくん、かい兄一緒に帰ろ〜」
「わかった、今行く〜」
そして、一緒に帰るようになってから知ったが俺の家と魁斗たちの家は意外と近かった。
「そろそろ私達も中学生だね」
「もう中学生か〜時の流れは早いな〜」
「拓海、何おじさんみたいなこと言ってんだよ。中学生になっても俺たちは何も変わんねぇよ」
「そうだね、中学生になったからって何も変わらないね」
「・・・ぃ・・・ぉぃ・・・おい!冴咲何寝とるんじゃ‼︎」
そうやって、古典のおじいちゃん先生に叩き起こされた。
「お前ってやつはわしの授業で寝るとはいい度胸じゃな、そんなお前には教科書p65の本文を読んでもらおうかの〜」
そうして俺は間違えながら本文を読まされて古典の授業は終わった。