ep.13 ショッピングモール・続
第十三話 ショッピングモール・続
それから、俺は更紗の代わりに新筐体でデカぬいぐるみを取ろうとしていた。
「くっ…これむずいなぁ」
あれからもう2000円は使っているだろう。いまだ取れる気配はない。
「あの〜、なかなか手こずっていらっしゃるようなのでお手伝いしましょうか?」
「あっ、はい。お願いします」
相当手こずっていると思われたのか店員さんがヘルプを出してくれた。
「こちらの筐体は、掴む位置を考えてもらうんですけどこのパンダのぬいぐるみでしたら、この脇の部分を挟んでもらうと取りやすいですよ」
店員さんはとても丁寧に取り方をレクチャーしてくれた。今のゲーセンはこうやって店員さんが取り方を細かく教えてくれるからとても助かる。
「ありがとうございます。もう一度やってみます」
俺は、店員さんにお礼を言いもう一度やってみることにした。そこからまた500円ほどお金を投入して600円目で遂に取ることができた。
「拓海くん‼︎ 持ち上げましたよ!」
「そうだな。やっと取れた」
俺はやっとこのパンダが取れたことで心底安堵した。あのままでは、何千円この機械に吸われていたか。以前、魁斗がフィギュアを取るのに5000円近くかけていたのを見て俺もそうなるんじゃないかとひやひやしていた。
「はいこれ、甘音にあげる」
「え!? でもこれって拓海くんが頑張って取ったやつじゃ?」
「甘音が欲しそうにしてたから…」
「拓海くん…ありがとうございます!ずっと大事にしますね」
「お…おう。大切にしてくれ」
さすが、学園一の美少女。笑顔の破壊力が凄すぎる。正直言うと、可愛い。
「じゃ…じゃー行こうか」
「はい! 拓海くん、私やりたいことがありまして」
「ん?何がしたいんだ?」
「私、プリクラを撮ってみたいです‼ 友達と話していてプリクラの話を聞いていてとても楽しそうだったので一度やってみたかったのです」
「そう言うのは、女の子同士でやるもんじゃないのか?」
「いえ、私の友達も男の子と撮っていたのを見せてもらったのでそうとも限りません」
「今はそういうものなのか、わかった撮ろう」
俺もプリクラを撮るのは初めてだが、更紗がそういうなら別に断る理由はない。
「拓海くん、ありがとうございます」
「いや、別に。俺も面白かったよ」
俺たちはゲーセンを後にして、結構遊んだのでカフェで休憩することにした。