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4話 異世界に危険は付き物

修正しましたぁ


 俺は長い苦しみから目を覚ました。


 あの苦しみの正体は ”昇格の儀” というもので

 身体能力と魔力量の向上。


 師の特性に合わせた贈与があるらしい。


 「うわぁ、体ん中キモいな……」


 病み上がりの気分だ……節々の痛み。


 だが、不思議なことに疲れはない。

 貫かれた肩も元通りに治っている。


 「おっ、起きたか! レグ!」  

 

 「父さん……ということは、ここは家ですね」

 

 「お、お前、い、今、俺の事。父さんって……」


 グラルが目に涙を浮かべてうろたえている。

 

 少々大げさじゃないか?

 それとも、何日も起きなかったとか? 


 「ど、どうかしました……?」

 

 「いや、いつもな。父様父様って距離があるなって」

 「いいなぁ! 父さんって親子って感じだ!」


 親子だろ。バカグラルが。

 

 でも確かに親相手に’’様’’呼びは違ったよな。

 反省しよう。

 

 グラルも、父親したかったのかもしれないしな。


 「リースから聴いたぞ」

 「お前も能力持ち(プレッサー)なんだろ?」

 

 「ぷれっさー? ってなんですか?」

 

 「能力(スキル)を持った人間のことだ」


 それがプレッサーか。

 物を押しつぶすやつみたいな名前だ。


 「父さん、さっき"お前も"って言いましたよね」

 「つまり父さんも?」

 

 「ああ、そのことか。俺も能力持ちだぜ?

 「もちろんリースもだが」


 両親揃って才能がある人なのか。


 俺も自分の能力は把握できていないから、

 わからないものなのかな。

 

 「俺の能力か? 知りたいよな。よし教えよう」


 俺は何も言っていないが

 グラルは嬉々として話し始めた。


 自分の能力の把握が出来ているのは

 長年の経験なのだろうか?

 

 「見るがいいぞ! レグ!」


 グラルの左目が赤く光った。

 

 「これが俺の能力<見通す眼>だ!」


 能力の内容を教えてほしいものだ。


 どうだと言われてもわからないのだよ……父さん。

 

 「能力の技能を教えてくれると助かるんですけど」

 

 「ん? ああ、そうだったな」

 「普通はわからないんだったな」


 癪に障る言い方をする……。

 さも”自分なら理解できます”という言い方。

 嫌味がこもってない分、たちが悪い。 


 「俺の目はな、左目が探求で右目が洞察なのだ」

 「左目は見た対象の得意な攻撃手段や守備方法」

 「能力の有無がわかる。右目は対象の弱点が」

 

 グラルのマシンガントークがえげつないが

 転生後の幼い身体にはすべて聞き取ることができた

 すごいぜ


 「相手の能力の内容はわからないんですか?」

 

 「能力を使われればわかるが」

 「使われるまではわからんな!!」

 

 いい能力持ってんじゃねーか。

 相手の有利を奪ったも同然の能力。


 近接戦を得意とするグラルには相性の良い能力である

 と言える


 「……他の技能はないんですか?」

 

 「ああ。無いな」


 ー <能力>見通す眼 ー

 左目では対象の戦闘手段、能力(スキル)の有無

 右目では対象の弱点、戦闘方法の把握が可能

 

 両目を使うことで相手の技の

 模倣(コピー)が可能な上、一人までなら追尾も可能 

 

 グラルの顔の横にテキストボックスが浮き出た。


 どうやら、見えているのは俺だけらしい。

 というか、嘘つきやがったなあの親父。


 「父さん、まだ技能ありますよね?」


 俺は低めの声でグラルに尋ねてみた。

 

 「なぜそう思う……?」


 父さんの右目が青く光った。

 警戒されてしまったのか?

 

 「勘ですよ。子供の勘ってのは鋭いんです。」

 

 「フッ……。そうかよ、良くわかったな。

 「だが、お前は俺の前で能力を使ったんだ」

 「勘だなんていわせねーさ。」

 

 使おうと思って使ったわけじゃあないが、無意識的に

 使ってしまったのか?


 自らの力の底が知れないのはいいことだ。


 「僕の能力の名前って何ていうんですかね?」

 「ついでに技能も聞きたいです」

 

 「名前? まぁ、あるのは王級能力(キングスキル)神級能力(ゴッズスキル)

 「あと覚醒能力オーバースキルくらいだぜ」

 

 「全部に名前があるわけじゃないんですね」

 

 「なければ、つければいいだろうよ」

 

 「……そんな簡単に行くんですかね?」

 

 「お前のスキルは弱くはない。

 「いい名を与えれば能力も育ちやすいしな!」

 「さぁ、どんな名前にするんだ?」

 

 「そうですね、何か思いつくかもしれないし」

 「散歩でもしてきます」

 

 「そうか……。気をつけてな」

 「決まったら教えろよー!」

 

 グラルの自慢話や名前に関して長く言われそうな気が

 したので、

 俺は足早に家を出た。


 この世界のことはあまり知らない俺は、

 街に降りてみることにしたのだ。

 

 <小国ルシル 商都イアカゾ>

  

 イアカゾは都市というには勿体ない都会田舎トカイナカだが、

 周辺国の貿易場や市場で栄えている。


 小国ルシルは街3つが合併してできた国であり、

 面積も狭い。

 

 「オイ、ボウズ! 見ない顔!」

 「俺は<魔具商>”エリオ”だ、よろしくな!」

 

 「よろしくお願いします」

 「僕はレグオール・シルヴと申します」

 

 「へぇ、シルヴか。ざっと三ヶ月分ってこったな」


 俺の名を聞くなり、エリオは顔を明るくしながら

 笑みをこぼした。

 

 「あの? 三ヶ月というのは……?」

 

 「お? なんだ、ボウズには関係ない話よ」

 「今月はラッキーだったぜ」

 

 「シr……レグオールだっけか? 記念だ!」

 「首にでもつけとけ」

 

 銀か白金か元の世界にはない鉱石でできているのか

 金属光沢を放っている可憐で小さき首飾りだ。


 「ありがとうございます。エリオさん」

 

 「こちらこそだぜ! ボウズ!」


 なぜか感謝された。


 その後俺は図書館に行ったり商店街を徘徊してみたり


 空が黄赤(きあか)に染まるまで時間を潰した。


 俺が帰路へと歩みを進めていると、すれ違いざまに

 気だるそうな男が俺に声をかける


 「……君ぃかなぁ? シルヴの子は……」

 

 「…? どなたですか?」


 「あー……えーっとぉ……」

 「名乗ってよかったんでしたっけぇ、あれぇ?」


 滅紫(けしむらさき)銀鼠(ぎんねず)メッシュの髪が

 風になびいている。


 男は誰かに指示されたと言わんばかりに思考を始める

 

 「どうして俺の名前を知っているんですか?」

 

 「やっぱり……シルヴの子なんじゃぁないですかぁ」

 「あー……君のこと貴族に売る……らしいので」

 「攫われてほしいんですよ」

 「抵抗するなら無理やりだけどいいですよね?」

 

 「その提案、拒否します。 <水煙幕(ミストステルス)>」


 殺し合い(バトル)は避けたいし、人を殺した経験もない。

 ここは逃げるのが得策だな。


 「はぁ……。 ”捌けよ” 」


 俺が発生させた濃い霧が消えていった。


 式だけ知っていても使用ができなかった魔術が

 目が覚めてからは長年やってきたことの

 ように感じられた!のに

 

 「だから嫌なんですよ……」

 「子供をいじめてるみたいに見えてしまう……」

 

 「実際嫌がっていますよ!」

 「俺は! <獄炎槍(クリムゾンランス)>」 


 火槍(レッドランス)に拘束の効果と火力を付与した魔術


 あいつはなんなんだ?

 霧が一瞬で晴れるとは……。


 獄炎の槍でやられてくれるといいが……。

 

 「これだから色付き家系(パレット)の子は……」

 「大人しく捕まってほしいものですよ……」

 

 「はは……無傷、ですか」


 無傷の上に小言を言って出てくるとかマジか……

 あいつもなにかの能力者なのだろうか。


 「あなたは魔術に長けているようですね……」

 「私も魔術、使ってみたかったです……」

 

 ここまで来られると逃げるしかないな……

 逃げられるかだが。


 あいつの口ぶりからして、魔術は使えないだろうし

 そうなれば勝機はあるかもしれない。


 ー 風魔法の学習 ー

 炎魔法から熱を削ぐことにより、風魔法を習得。


 いいタイミングで”風系統魔術”を本当の意味での

 ”習得”が終わった。


 これは問題なく風系統魔術を使用できるようになった

 という、「世界からの実績」である。


 「僕は逃げさせてもらいます。<跳躍突風(トリップウィング)>」

 

 男を吹き飛ばしながら、俺は勢いよく飛んだ。

 周辺の空気を操り、家まで帰れるといいが……。


 「はぁ……、疲れるんですよ……まったく」

 「……疲労が取れない…… ”停止せよ” 」


 操っていた魔力の流れが乱れ、空中にいた俺の

 制御が効かななくなり真っ逆さまに落下した。


 「……うぐっ……ぐはっ」

 

 「痛いですよねぇ……ですがねぇ……」

 「私は魔法、使えないんですよ……運びが来るまで」

 「耐えてくださいねぇ、死なないでくださいよ」

 「それでは、また会いましょうねぇ」


 それから何分、何十分たっただろうか。

 周辺が漆黒へと染まり、星が出てきてしまっていた。


 「お前だな。シルヴのガキは」

 

 「っ……ぁあ……ぐっ」

 

 「ジルにこっぴどくやられたなぁ? すげぇ負傷だ」

 「しょうがねぇ。 <錠前(ロック)> <回復(ヒール)>」


 おそらく折れていた骨が治ったのか、急激に

 呼吸がしやすくなった。


 まだ、体が痛むのだが……。


 「……あ、あなた達の…目的はなんですか……?」

 

 「まずは礼をしろ馬鹿が。運びが俺で良かったな」

 「俺はお前らを拐うような連中は嫌いだ」

 

 拐いに来ておいて何だその言い草は、とも思ったが

 傷も直してもらえた事だし良しとする。


 「でもあなた、加担してるじゃないですか」

 

 「無茶いうな。俺だって命は惜しい」

 

 「脅されてるってことですか?」

 

 「何でもかんでも聞くもんじゃねー」

 「はぁ、荷台に入っとれ」


 こういうときは大人しく従う。

 前世で学んだことだ。

登場人物

レグオール・シルヴ(主人公)

グラル・シルヴ(父)

エリオ(闇魔具商のおっさん)

ジル(疲れた顔してた敵)


次回:出会いと救助


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