3話 魔術の試験は獣から <後編>
まだ起承転結の’’起’’でも超序盤です。
早く人に見てもらいたい。私の物語を
アドバイスを受けて少々改良しました。
2回目の死を迎えようとしている
恐らくリースも助けてはくれないだろうな
助けてくれても重症患者になってから
治療する気だろう。
「強すぎる……」
動けなくなった俺はただ死を待っていた。
死ぬ直前は全てがスローに見えるというが、
こんなに遅いものなのか。
一周回って興味が湧いてきた俺は、勇気を出して
氷柱を見てみた。
「は?」
俺は目を疑った。
無意識に"水魔術:防御系" 水宝石の壁で
氷柱を防御し、"水魔術:拘束系" 海壺の檻で
雪狼を閉じ込めていたからである。
「対象を見てないのに、ピンポイントで!?」
「流石私の息子!」
外でリースが何か言ってるが、
ひとまずは雪狼を仕留める。
トカゲが向かってきているが狼はやれるだろうな。
俺は捕まっている狼の胸めがけて
さっき開発した電撃を放った。
狼は黒い霧となって散った。
「よし。後は2体だな」
突っ込んできた雪蜥蜴に<火球>を
放ってみる。
失敗。
防がれたのか、効いてないのか。
お構い無しで突っ込んできている。
上司のツッコミみたい。
「ならば! <業火>!」
また防がれた。
氷属性のなのに炎に耐性があるのか?
どうやら蜥蜴、魔術の属性を変える力があるっぽい
トカゲのことを知ってるみたいに攻略法がわかった
なんでわかったんだろうか? でもそれは後でいい
「 <水流弾> 」
まただ。
習っていない魔術を何度も使ったことがあるように
当たり前のように使った。
なんなら水魔法は <小涙弾> しか
使ったことがなかったのに……
蜥蜴は水の刃を浴びて、悶え苦しんでいる。
蜥蜴は消滅し、敵は残り1匹。
「あとはお前だけだな」
「グルルルル……」
1対1で向き合うとやっぱり怖いな。
リースは <召獣使>であり、日頃聞いていたので
魔物については知っているつもりだったのだが、
調子に乗りすぎた。
「そうだな、こいつはどう対処すればいいんだ?」
水弾とか火球を打ってみる。
やっぱり効果がない。
ー 氷猪 ー
背中の氷が溶けるとダメージを
負うようになってしまう。
氷猪の持つ毛皮や氷は市場価値が高く、
装備としても性能がいい。
背中の氷…ねぇ? やってみるか
炎の塊を細長くするように……伸ばしていく。
「<火槍>。とでもいうか」
背中めがけて尖った炎を飛ばしてみる。
「ブギッィ」
ちょっと効いたっぽい? これなら……
キィィィン。ピキッ
機械音のような音をたてながら再生する背中の氷。
こんな短期間で氷が再生するのか……
知らなかったよね。
「グルルルグル」
<氷河領域>が展開される。
地面が凍りはじめ、一帯を覆った。
氷塊が生成され、猪を中心に雪原が展開されている
ー 氷河領域 ー
雪猪系統の魔物が使用する固有の領域。
雪原を展開し、自らの再生力と氷魔術の
威力を向上させる。
術者により領域の広さが変わり、広さに比例し
効果も上がる。
さっきからこの説明文は何なのだろうか?
俺の役に立つのだから別にいいのだが。
「グルオオオ」
<氷塊処突>が4つ飛んでくる
負けじと<火槍>を4つ迎えうたせる。
氷属性に炎属性は相性がいい。
相性がいいはずが、飛んでくる氷柱は勢いを殺さない
<氷塊処突>は消えず、
<火槍>は<氷塊処突>を小さくしただけとなった
幸いにもサイズが小さくなったことで、俺の負傷は
肩を貫かれただけに終わったので良しとする。
領域のバフが高すぎる……
リースもわかっているからこんなことを
「ほらほら〜負けちゃうわよ〜?」
「助けないからねー?」
「母様! 黙っててください!!!」
「……」
少し言い過ぎた気もするが、
リースの顔が幸せそうなのでいいだろう。
ー 領域の習得 ー
<海洋領域>、<火山領域>を習得。
さっきから俺を補助してくれているコレは、便利だ。
この世界にはこんなものもあるのか……結構な新発見
かもしれない。
なんにせよ、だ。<火山領域>を展開する。
氷河領域は上書きされ、敵も弱ったように見えた。
火槍を出してみる。
「うわっ、大きさが全然違うな。バフってすげぇ」
火槍の大きさは二周りほど大きくなっていた。
猪に向かって放つ。
猪は炎に包まれ爆発した。爆発効果があったのだろう
何にせよ勝利だ。
「言いたいことがたくさんあるんだけど」
「まぁ合格でいいでしょう。こっちに来て」
リースはなぜかドヤ顔をしながら俺に手招きをする。
俺はそれに応じ、差し出された手を握った。
「魂よ。自らの主体へ階級を刻め、定着せよ」
リースの言葉を聴いた俺は壮絶な苦しみに襲われた
ブラック勤務以来の痛み。
「ぐああああああ」
「ごめんね、レグ」
「1時間位苦しむことになるだろうけど頑張って」
「がんば……って……じゃな……いです……よ」
そこで俺の意識は体から逃げていった。
次回 目覚めから始まります(多分)