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13話 大蛇の胃袋

遅れてごめんご

「祝福とは何なんだ?」

「能力の名前はどうつけたんだ?」


 俺は気になっていることを聞いた。


 アルザの能力や実力なら、

 知っているかもしれないと思ったのだ。


 「おいおい、質問は1つずつしてくれ……」


 俺が畳み掛けたものだから、アルザは困った顔をした

 逸る気持ちを抑え、謝罪する


 「それは悪かった。でも教えてほしい」


 「まず、祝福っていうのはただの”能力”さ」

 「祝福はある国の貴族が呼び始めた”呼称”だ」

 「常時発動している能力(スキル)のことだよ」


 どうやら祝福は何かの代わりに授かる

 ”強大な力”とは違い、常時発動している

 ”能力(スキル)”だという。

 

 「そして、能力の名前についてだが……」

 「これは自ら刻むものだ」


 アルザは地面の木の棒を拾い、床に図を書きながら

 説明してくれた


 「だが、”本来の名前”もあるらしくてな……」

 「離れた名前にしてしまうと弱くなっていく」


 「”本来の名前”?」


 「ああ、例えば、緑小鬼族(ゴブリン)が自分に王赫竜族(ボス・ドラゴン)と」

 「名前をつける」

 「そんなこと世界が記録してしまったらゴブリンは」

 「注がれる王の妖気(ボスオーラ)で破裂だ」


 俺にはボス・ドラゴンとやらもいまいち分からないが

 おそらくさっき倒した蛇の上位互換的なあれだろう


 「逆に、王赫竜族(ボス・ドラゴン)緑小鬼族(ゴブリン)と名乗る」

 「そうすりゃ、王赫竜族(ボス・ドラゴン)は」

 「供給される妖気が少なすぎて”退化”する」


 アルザ画伯は地面にゴブリンらしき魔物と

 羽の生えたトカゲを書き、矢印付きで説明してくれる


 人類が理解するには到底早すぎた絵だな


 妖気、とかいうものもよくわからないが、

 名前と種族に見合った強さでないといけない

 という話らしい。


 「悪いんだけど、わからん」


 「”名前は能力を決定する”とでも覚えておけ」


 だいぶざっくりしてしまった。

 アルザの語彙力が低いのが原因であろう。


 「ああ、言い忘れていた」

 「”神”を関する名を持つ神級能力(ゴッズスキル)のことだ」

 「名の通り、他とは一線を画す……覚えておけ」


 一瞬だけ、アルザの声色が変わった。

 少し威圧的な声になったのだ。


 「あ、ああ……わかったよ、ありがとう」


 「まだまだ道は長い。気を引き締めろ」


 機嫌が悪くなってしまったようだ。

 これ以上は能力や祝福について質問は辞めておこう

 そう思いながら、歩き始めた。

 

 

 

 あれから、夜を何度か超えた頃のことだ

 楽しく話していたアルザの顔が強張った


 笑顔が無くなった顔で呟くように言われる 


 「レグオール、この道をオレ達は何回通った?」


 「は?」


 「あの木、動物の死骸、植物……」

 「同じ形、同じ生え方だ」


 そう言われれば既視感がある

 

 「そこの木に印として傷をつける」

 「レグオール、お前は空中から道を探してくれ」


 俺はその言葉にうなずき、

 両手を地面へ向け指で円を書く


 俺の足の裏から発生した風はまとわりつきながら、

 俺を空へ押し上げる。


 はずだった


 「痛った! アルザ、空中に蓋がされている!」


 「違うぜ、空中に蓋があるんじゃない……」

 「お前が地面に突っ込んでいったんだ!」

 「これは……能力 <不規則重力(アンチ・グラビダ)> 」


 「なにかに狙われているってことか……?」


 急激に地面に突っ込んだ俺はふらつく体を起こし、

 質問を投げかける


 「ああ、ここで問題を出すぜ。レグオール」


 「今じゃなくてもいいだろ」

 「相手が誰なのかすらもわかっていないんだぞ」


 急にクイズ大会が始まりそうなので俺は止めさせた


 「面白くない奴だなァ! 相手は”大長(エンペラー)”だ」

 「この道には4体の長がいる」

 「いくらか前にオレ達が食ったやつもその一体だ」


 「その食ったやつの親玉が相手ってこと?」


 脳震盪から復帰した俺はまぬけにもそう返した

 だが怯えてはいない。


 なぜなら前に戦った長があまりにも弱かったからだ


 「なに余裕な顔してんだ! オレ達が倒したあいつ」

 「生まれてから3年も経ってねぇと思うぜ」


 アルザは自分と俺に加速魔法をかける


 「ここが胃袋と呼ばれる理由、人が出ないから」

 「出てきたとしても使い物にならないから」


 いままでに見たことのないほど、アルザは焦っている


 「古くの文献の記録でここを抜けた人間は」

 「色家か神、ある種族だけなんだよ」


 この道のヤバさを熱弁された俺は少し戸惑った


 それにしても人が入った痕跡が無さ過ぎたためだ

 命知らずが入っていたとしてもおかしくはない


 「で、その大長はどこにいるんだ?」


 「オレ達の真上だ」


 その言葉に合わせたかのように

 俺達は影に飲み込まれていく


 その影の主を見ようと俺は視線を上へと飛ばす


 

 憎むべきものを射る視線は俺を貫き、俺を硬直させた

 勝てないと本能でわかる


 こちらを見ていたのはドラゴン、いや”龍”であった


 俺は慌てて <四季領域:寒> を展開。


 「せ、せめて逃げる時間だけでも!」


 「完全無詠唱ッ!? どうやって……」


 「そんなのは後! 逃げるぞ!」


 地面から氷柱が生え、森を凍らせていく

 

 ーピキッ……


 領域が音を立てて崩れ始め、青々とした緑に変わった

 <四季領域:暖>


 魔術から開放された龍はニヤリと笑って、

 アルザに一瞬目を移した。


 「レグオーっ……」


 俺の名前を呼んだ瞬間、アルザの姿は消えてしまった


 <幻獣装:白虎>


 俺は体に<四季領域:寒>を薄く張り、電撃を帯びた


 「簡単に死ぬわけにはいかないから……」

 「全力で逃げるよ」

 

 <氷山海壁>


 水と氷の壁、目眩ましを兼ねた大きな壁を作りだす


 「グカラ……グカララ……」

 

 龍は笑い声のような音を発している。


 ガラリという音に振り返った俺は目を疑った。


 水が球体となって空に浮かび、消えてしまったのだ


 一何を怯えている一

 

 一我が子の力を持っておるだろう一

 

 一貴様が殺した私の子の一


 俺の頭に言葉が響く。

 美しい女性の声のようであり、渋い男性の声でもある


 一あの子の兄が、姉が貴様に報復したいと言うー


 一……そんなのはどうでもよいがな一


 一負けるほうが悪いのだ一


 一哀れで可愛い我が子の糧となれ一


 「カタカタカタ……グカラグラカラカラ」


 不気味な笑い声が響くとともに俺は眩い光に包まれた


 

ぴかあああっ

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