11話 魔神散策”零”
出した魔術が多すぎる……
「魔神等級ってなんだ……?」
俺は口をついて出た言葉に答えを出そうとして、
記憶を振り返ってみる。
俺が受けた試験といえば母であるリースから
受けた試験だ。
「関係あるかは分からないが、ここより東方の国」
「センギには”魔神を祀る民”がいるな」
俺が思考をしている間に口を挟んだのは
タウィルだった
タウィルによると、現在地の”ゴーセ”より
東方の国”センギ”に手がかりがあるのではとのことだ
「魔神を祀る民? そういう宗派ということかな」
「いやぁ、人間の国かどうかも怪しくてなぁ」
「赤子の一人までもが強いらしい」
つまり危険な族ということらしい。
「そっか。センギとかいう国まで」
「ここからどのくらいかかる?」
「普通の人間が行って半年くらい、手練れでも」
「3ヶ月はかかるだろうな」
結構な距離があるらしく、俺単体で冒険するには
5ヶ月はかかりそうだ。
「道が2つあってな、それによって距離も変わる」
タウィルはどこからか地図を持ってくると、広げて
俺に見せてくれた
片方の道はえらく遠回りで大きく迂回した道、
もう片方は直線距離で突っ切っている。
タウィルは直線の道を指差す。
「大蛇の胃袋、日によって」
「出現する魔物が違う道……」
「運が良くないと出れない博徒の道さ」
「その道を通る、俺にはあまり時間がないんだよ」
タウィルは俺の言葉に驚きながら、
もう一度説明しだした。
「兄貴、ここに入った手練れで」
「出てこれるのは50組に1組だ」
「中で出現する魔物は完全不規則出現」
「ランクは C+〜S だろうな」
通訳すると ”危険だからおすすめはしない” だそうだ
でも高ランクの出現は珍しいし、
Aランクなら処理はできる。
「なおさら俺は大蛇の胃袋を選ぶ」
「俺には得しか無い」
「Bランクが出るってだけで俺には荷が重い」
「ついてこいって言っているわけじゃないし」
「国には一人で行くよ」
無関係の人を巻き込むわけにも行かないし
”魔神を祀る民” が敵対していた場合、
タウィルを守り切る自信もない。
「そんな寂しいこと言わねーでくださいよ」
「まぁ、同行はしねーがよォ」
「うおぁ!!」
俺はタウィルから地図を奪い取り、足早に
冒険者ギルドを後にした。
寂しいと思うなら同行しろや……
旅というものを俺はしたことがなかった。
前世と違い、ここは交通の便が良くない……
家から街に降りるのは <跳躍葉風> という魔術で
効率を測っているが、知らない道ではそうも行かない
長距離の旅となると、相応の食料や飲水が必要となる
そこで俺は旅専門雑貨店に入ってみる
「いらっしゃい……東に出るなら安くするよ」
「西なら高くするけど」
「3ヶ月分の飲食、それと装備が欲しい」
「目的地は?」
「東の方。センギって所だ」
店主はニヤリと笑った後
乾燥した肉の束と短剣、宝石の付いた指輪を持つ
「あなた大蛇の胃袋を通るのだろう?」
「サービスさせてもらいますよ」
「優秀な魔術師なのでしょう? 用立ててください」
「あ、ありがとう。料金はいつか払うよ……」
俺は強引に押し付けられた装備を持って店から出た。
ありがたくはある。
ベルトのナイフホルダーに短剣を差し、
魔術、<寒冷極小空間>に肉を入れた
分かれ道へとたどり着く頃には
すっかり正午に近くなっている
俺は貰った肉を少しかじり、魔術を使う。
「<強化><気配察知>」
「念には念を、だ」
一応危険な場所ということで、
念のために強化と領域のようなものを張っておいた
センギという国に向けて出発である。
ー 生体反応:斜左に2体、斜右に1体。
道に足を踏み入れ少ししたころ、不意に脳に声が響く
自分の声にノイズが混じったような声は、
俺に生体反応があると言った。
気配察知の効果なのか分からないが、ありがたい
「<氷牙突刺>。まずは左側かな」
俺は左の人差し指で狙いを定め指先に
大氷柱を作り、撃ち出した。
「助かった。オレは運がいいみたいだな」
「俺はかっこよくそうつぶやいた!」
左側の生物反応が消えたと同時に、深緑の髪をした
陽気な男が顔を出した。
俺が攻撃時に右を優先していたらコイツは死んでいた
などと思ってもないようだ。
「なんで人間がこんなとこにいる!?」
俺は動揺して、自分が人間では無いような
ことを言ってしまった。
「そりゃ、道なんだから人間はいるだろ」
「オレは変な人間に出会ったのだ!」
「オレはアルザ。アルザ・エメルという!」
「自己紹介である!」
自らをアルザと名乗った男は、語尾にナレーション
のようなものを折り込みながら会話をしてくる。
エメルという姓に覚えがあるような気がするが、
思い出すことが出来ないのもコイツのキャラのせいだ
「あー……えっと、レグオール・シルヴという」
「自己紹介だ。」
「なんだ? その語尾は、ギャグか?」
「なんでもいいんだがな! 本当に助かったぞ」
「人を探していたのだが、」
「迷ってもうすぐ5ヶ月だったんだ!」
なぜ生きていられたのかが不思議である。
語尾について言われた時は氷漬けにしてやろうとも
思ったが、苦労人だったようだ。
「わかった。ここを抜けるまで同行してやる」「目的地は?」
俺は親切にそう言い放つ。
帰ってきたのは意外な答えだった。
「それはありがたい!」
「目的地はこの先の国、センギだ!」
センギへの旅、始動。
新キャラ:アルザ・エメル




