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緑の泡から生まれ出たるもの

作者: 星野☆明美

青木ヶ原樹海を彷徨っている男がいた。

仕事三昧の毎日に嫌気がさして、いっそのこと死んでやろう、とここにきたのだが、死ぬことに対して肝が座っておらず、青木ヶ原樹海の周辺にうろうろして、畑の大根をとってきて食べたり、他の自殺志願者が持ち込んだと見られる布団一式を盗んで、雨風の凌げる場所にいた。

何もしないでいると、以前聞いた音楽が頭に浮かんだ。

ホルストの組曲惑星。火星、金星、水星、木星、土星。天王星のところで、はたと、気づく。

ボッコボッコボッコボッコ。

イメージでは、人知れず、森の奥に不時着した宇宙船から、緑の液体が流れ出て、泡がぼこぼこ出てくる感じ。

それは人型をとり、森を彷徨う。

天王星のテーマは魔法使いだっただろうか?なぜそんなイメージが湧いたのか、自分でも不思議だった。

がさがさがさ。

びくう。男は縮みあがった。

人と遭遇する確率が低いこの地で、誰かが現れたからだ。

ぎゃー。

わー。

お互いに叫ぶ。

なんだ?全身緑色の人だ。

「あんた、こんなところにいるのは自殺志願者かね?」

「ああ、いえ、はい」

どっちつかずの返事を返す。

「この辺はまだ方位磁針も効くし、テレビの取材もくるんだよ。わるいことはいわねえ、とっとと死んじまうか、元の場所に帰ってくらすか、決めな」

男は緑の男に言われてはじめて、元の生活に戻ろうか、と思った。

今更どんな顔をして戻ればいいものやら。

深いため息を吐いた。

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