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癒しの天使の効果

投稿3日目。24位→13位になっていたので、

頑張らないとと思って3話目を投稿しました!

「高宮課長って会社のこと嫌いなんだと思ってました」


 新しく増員された1年前の新入社員である平尾くんに言われた。平尾くんは25歳。うちに入社後、研修を兼ねて各部署を3カ月ごとくらい渡り歩いて仕事を覚えてきたところだ。正式な配属は我が営業二課になった。


「ばか、俺ほど会社が好きなヤツいないだろ。ずっと残ってるし……」


「ははは……なんか……すいません」


 平尾くんが少しばつが悪そうに笑った。


 平社員は強制的に定時で帰るように会社からの指導があるからな。「残業パトロール」とかも来るし、摘発されると部長がこっぴどく怒られるのだ。そして、その部長から課長の俺がさらにこっぴどく怒られる。


「まあ、就活でなんとか会社に入りたいってアピールしてたきみらが、入社したと同時に会社のこと嫌だ嫌だって言ってしまうのは俺達のせいかもな。ついつい会社への不満とか愚痴を言ってるしさ……」


「ははは……」


 平尾くんに苦笑いは肯定だろう。


 ◇

「……ってことがってさぁ」


 絶対よくないと思ってるけど、俺はまた屋上で新入社員ちゃんに愚痴ってストレスを発散しようとしていた。


「たしかに! 会社が好きって言ってる人、見たことないです。特にうちの会社」


 そう言われれば、くらいの勢いで同意した新入社員ちゃん。彼女の場合、今年入社だろうからもう会社のことが嫌になってたら、この会社は末期状態だろう。


「だよねぇ」


「その……何が悪いんでしょう?」


「……なんだろう? 愚痴は言うけど、どこが悪いとか具体的に考えたことがなかったな」


 痛いところを突かれたな。ついつい無意識に頭を掻いてしまった。


「じゃあ、高宮さんの場合は、どんな時に会社のどこが嫌いになりますか?」


「そうだなぁ……まだ若い子に絶対残業しないと終らない量の仕事を丸投げしていく部長のやり方にムカッとするかな」


「あー、なるほどぉ」


 新入社員ちゃんは感心していた。別にカッコつけてる訳じゃなくて、俺が入社した時はもっと酷かったから、俺は絶対にそんなことはしないと思っているからなのだ。


「ははは……」


 俺は思い出して思わず笑いが出てしまった。


「どうしたんですか?」


「俺、部長がいつも無茶するから、いつも素直に話聞いてないわぁ。『また無理言い始めた』って思ってるし……」


「そうなんですか……」


「新入社員ちゃんの笑顔と初々しさを見てたら、俺も反省しないとなって……。俺が嫌えば部長も俺の事を嫌うだろうし、そしたらお互いうまくいかないし、最終的に会社が嫌いになっていくんだろうなぁ……ってね」


「それってコミュニケーションの問題でしょうか? それとも、もっとマインドセット的な問題でしょうか?」


「新入社員ちゃんは難しい言葉を知ってるなぁ」


 まだ、社内でどれだけ砕けていいのか分からないのかもしれない。新入社員だしな。


「要するに相手を思いやってないわ。俺達みんな」


「……なるほど」


「別に友達ってわけじゃないから、相手のこととか詳しく知らないしなぁ」


「じゃあ、親交を深める意味で飲み会を開くとか……」


「あー、うん。それは有効だとは思う。昔は、『ノミニケーション』とかいう言葉もあったらしいし……」


「じゃあ!」


「今は、ダメだな。若いやつとか飲み会に行きたくないみたいだし」


 そりゃあ、おっさんとの飲み会とか気を使うよなぁ。


 金も時間も使って嫌な思いをしに行くとか、普通に考えて苦行だよ。


「難しいですねぇ……」


 別の部署の事なのに一生懸命考えてくれる新入社員ちゃん。いい! とても良い! マジ天使!



「まあ、俺も頑張ってみるよ」


 俺は右手を軽く上げてその場を離れた。


「じゃあね」と「お先に」と「話聞いてくれてありがと」の複数の意味を込めての手の動きだ。


 もっとも、それが彼女に届いているかは別の話だけど。


 後ろから小さい声で「おつかれさまでーす」と新入社員ちゃんの声が聞こえた。


 ◇

「高宮課長!高宮課長ー!」


 ああ、オフィスでまた部長に呼ばれた。頭はハゲ散らかしてるおっさんで、下腹はでっぱっててカッターシャツがはち切れそうだ。


 定時は既に過ぎているから若手は残ってない。オフィスには部長と俺の二人だけ。


 どうせなら、あの新入社員ちゃんと二人でいたい。それならつらい仕事も耐えられる!


 部長が少し離れた席の俺を再度、大きな声で呼びつける。毎度の事ながら精神的に滅入る。


 ……いや! 新入社員ちゃんを見て思ったはずじゃないか!


 元気に対応してみる!


「はい! 部長! なんですか?」


 俺はできるだけ明るい声で答え、部長の席に駆け寄った。


「実はねぇ、これなんだけど。頼めるかな?」


 いやいや、すっと紙を出しただけで俺が既にその内容について熟知しているかの様な言い方!


 自分が紙を見て内容が分かっているから、こっちも分かっている前提で話しかけてくる。


 どうして他人の立場に立って考えられないのか。


 そもそも何の話だよ!


 そこに出された紙には「歓迎会開催について」と書かれていた。


「増員があった部署は歓迎会を推奨するって会社からの連絡なんだよ」


「そ、そうなんですか……」


「きみ、この件 任せていいかな? 会社からの通達だから無視もできないし」


 若手は嫌がるだろうなぁ……。部長もそれを知ってるから自分で動きたくないんだ。


 そういう大変そうなやつが俺の所に集まってくる。もうすぐ俺の胃に穴が開くぞ!?


「分かりました。自分が引き受けます。それで、部長、相談ですが……」


 俺は部長にある提案をした。





3話目までは書いていたのですが……

アクセスしていただいているので、4話目を書かないと(;´Д`A ```

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― 新着の感想 ―
[一言] 中間管理職はつらいですからね ワタクシの場合〇〇胃腸薬Kを常備です
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