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2/13

改善か、改悪か、専務の配慮

日間ランキング50位でした。ありがとうございます!

2話目を公開します。

あ、投稿したときに見たら、50位→24位でした。

これまたありがとうございます!

「あうーーー」


「なんかお疲れですね」


 俺の悲鳴というか、うめき声を聞いてか聞かずか、新入社員ちゃんがいつものように屋上に現れた。


「あ、新入社員ちゃん。おつかれー」


 いつもの様に屋上の立ち上がりの壁に肘をついて、新入社員ちゃんと横並びになる。


「お疲れ様です、高宮課長」


 横に並んだ状態で彼女は笑顔でこちらを向いて挨拶してくれた。ああ……この笑顔だ。俺の癒しの天使……。


「ここでは課長はやめてよ。『高宮さん』くらいで……」


 せっかくの社内の秘密のオアシスだ。現実に引き戻されるのは嬉しくない。


「はい、すいません。じゃあ、高宮さん……で」


 ちょっと慌てる新入社員ちゃん。可愛いなぁ。でも、今日も彼女のスーツはびしっと決まっている。さすが秘書。


「あれ? 今日も残業ですか?」


「そうなんだよ。いや、参ったね……」


「でも、風の噂で営業二課に増員があったって聞いたんですけど……」


「さすが、秘書課。情報が早いね。多分、専務だと思うんだけど急に増員してくれてさ。それには感謝だよ。いや~、見てくれてる人は見てくれてるのかも~」


「そ、それは良いんですけど、なんで高宮さんがまだそんなに忙しいんですか?」


「新卒くんが2人だから色々教えないとね。面倒みないといけないけど、過干渉も良くないし……あと、それとは別に自分の仕事もある」


「課長さんって大変なんですね!」


「はは、ありがと。誰かにそう言ってもらえると報われた気がして気が楽になるよ」


「そんな、私なんて……」


「あ、専務には新入社員ちゃんが言ってくれたんじゃないの? この人手不足の時に2人も融通してくれてさ。うちの部長も頭を捻ってたよ」


「いえ、私は何にも……」


「そうなの? じゃあ、新しい専務って相当な切れ者って噂は本当なのかなぁ」


 俺は無意識に顎を触りながらポツリと言った。


「そっ、そんな噂があるんですか!?」


「そりゃあね。入社してすぐに専務だもの。まだ若いって話だよ?」


「へ、へぇ」


「あ、そうだ! 新入社員ちゃんは専務付きの秘書でしょ!? どんな感じ?」


「えっと、んと、えと……」


「あれ〜、守秘義務的な? だとしたら、無理に聞こうとしてすまん」


 同じ社内だしざっくり聞こうとしたんだけど、まだ社会人経験が少ない新入社員ちゃんだとどこまで答えていいか難しいかもだよな。


「あ、いえ、別にそんな……」


「あ、そうだ! 忘れてた。ほらこれ」


 俺は缶コーヒーを1本取り出し、この子に手渡す。


「ごめん、しばらく持ってたからぬるくなってるけど。」


「ありがとうございます」


 すんなり受け取ってくれた。こんな時はすんなり受け取ってくれた方が嬉しいよなあ。


「でも、なんでですか?」


「この間のお礼と……」


「お礼と?」


 しまった。「お礼」で止めておけばよかった。でも、言いかけてしまったので何か言わないと……。


「いつも話し相手になってもらってるお礼」


 きみは俺の心の癒やしですなんて言える訳がない。若い子にこんなこと言ったら気持ち悪がられてしまう。


 新入社員ちゃんの方をチラリと見たら、顔が赤かった。これもまずかったかも。今度から気をつけよう。


「あ、じゃあ俺もう戻るよ」


「あ、はい。私はこれをいただいてから」


 俺は「ごゆっくり」の意味を込めて笑顔を返してオフィスに戻って仕事の続きを始めた。


 ◇しばらく後の屋上


「あ!専務!こんなとこにいた!」


 屋上に全身スーツで身を固めた若い男性が出てきた。


「あ、大橋さん。よくここが分かりましたね」


 それに答えたのは、高宮が言うところの「新入社員ちゃん」こと、天神百々奏(ももか)。彼女はこの会社の専務だった。


 会社によっては「副社長」と言う役職名で呼ばれる事もある「専務」。彼女はそのポジションの人間。この若さから考えたらあり得ないポジション。


「専務は時々ふらりといなくなるからスマホにGPSアプリ入れてますから!」


「ちょっ! それはプライバシーの侵害では!?」


 頬を膨らせて講義する天神ももか。


「それは会社携帯なのでプライバシーとかないです」


「今度から休憩の時は机にスマホを置いてから行きます!」


「いや、席を外すとき一言 言ってくれたらそれだけでいいんで」


「色々あるんです!」


「おじさん……じゃなかった会長がお呼びでしたよ」


「もー、何か用事なら私じゃなくて、社長に言ってくれればいいのにぃっ!」


「だから、会社の用事にかこつけて娘と話したいんでしょ。行ってあげてくださいよ」


「はーい、分かりましたーーー」


 辺りを見渡すスーツの若い男、大橋。


「専務、こんなとこに何があるんですか?」


「ひみつです♪」


 そう言って会議室に向かう天神ももかだった。

学生読者さんが多いという噂もあり、リーマン世代が多いという噂もあり……

「俺はリーマン世代だ!」と思われたらいいねや★での応援をお願いします。

人数は少なくても「続きを読むぞ!」って方がおられたら3話目を公開します!


あまり需要が無ければ静かにフェードアウトしていきます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 続きが楽しみ。
[一言] ばりばりの同族会社でしたか…/w 会長が親、となるとよほど年が行ってからできた子なのかなあ。感覚的には、祖父の方がありそうかな、とも思ったりします。 そんな彼女がなぜ彼を気に掛けているか、で…
[気になる点] GPSアプリだと位置しか計測出来ないためビルの1階でも最上階でも同じ位置となりフロア判断が出来ないような… (2022年11月くらいに、フロアまで高さ判定出来る気圧センサーを利用したア…
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