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閑話.シュセキ、ギャンブルデビュー。

 少し筆が止まりそうになったので、ここらで息抜きを入れました。シュセキちゃんにはどんどんとスロットを打って欲しいものですね。後書きにて少しスロットの解説をしていきたいと思います。

「いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、本日も早朝よりご来店ありがとうございます。駆け引きでも、幸運でも!ジャンジャンバリバリとあなたの腕で、勝ち取ってくださいませ。

 いらっしゃいませ、いらっしゃいませ、本日よりグランドオープン、カジノ・オオバクチ、カジノ・オオバクチでございます。未だかつて無い遊戯を提供致します、都市シデス市民の皆様、そしてシデス観光の皆様に向けた娯楽施設、カジノ・オオバクチでございます。

 ご来店の皆様に遊技場の案内をさせて頂きます。一階、テーブルコーナーはブラックジャック、バカラ、ルーレット、景品交換カウンターがございまして、二階スロットコーナーにはスロット及び高額景品交換カウンターがございます。また、頭上に案内板がございますので、そちらもご覧下さい。

 いらっしゃいませ、いらっしゃいませ…」


 このアタシ、シュセキが運営補佐官に就任してから一年、バクチさんのカジノ一号店がついに開店した。

 バクチさんは内政が全然出来なくて、この一年アタシとホトリンは本当に苦労した。それでも、みるみる良くなっていく街の様子と明るくなった子供たち、道行く人々を見ていると達成感があった。

「投資額より回収額が上回ればそれは勝ちだ。どんどん金を回せ。」とバクチさん。最初は都市運営をギャンブルと勘違いしているのかって怒ったりしたけど、結局お金を回せば回すほど上手く行った。

 やっぱりセンスがあるのかな?指示があった所を改修すれば、その付近で回収する税金が…大幅に増加。どこか様子のおかしい人が多かった気もするけど、復興意欲が高いとああいう風になるのかもしれない。

 そしてこのカジノだ。ここもまた少しだけ変な人がいるけど売上は絶好調。一風変わった娯楽施設なのに、規模が大きくて不安だった。それでも公営だから安全安心、といった感じでお客さんの足も全然途絶えない。

 いけないいけない!仕事の事なんて考えないで今日はカジノを楽しまなくちゃ。せっかくバクチさんがくれた休日だ。娯楽休日とかいう、よく分からない休日だけど…せっかく遊べるならどんどん遊ばなきゃ!


 ――――――


 確かバクチさんは

「スロットを遊んでくれ。自信作だ。そのブレスレットを見せてくれば俺の金で遊べる。なに、気にするな。」

 とか言ってたなぁ。

 そんなことを思い出しながら店員さんにブレスレットを見せる。


「し、失礼いたしました。ただいまご遊戯の準備をさせて頂きます。」


 あんまりビックリしながら対応するんだもんな。バクチさんは店員さんにどんな教育をしちゃったんだろう。

 たしかおすすめ台は…このマジックカーペットって言ってたなぁ、角から二番目の席に着くようにも。

 でも、これってどう遊ぶんだろう?店員さんに聞かなきゃ。


「これってどうやるんですか?聞けばわかるって言われてきたので…」


「ああ、かしこまりました。それではこちらがバクチ様の貯チップでございます。貯金のようなものですね。こちらの席は最高レートの台ですので、金貨と同価値のチップを右上の”サンド”に入れるんです。

 そうすると50枚程コインが出てきますので、1ゲームにつき3枚以上入れて頂きます。そしてそちらのレバーを下に叩いて頂いて、左から順番にボタンを押していきます。最大50枚まで入りますので、先に入れて頂いてMAXベッドボタンを押していただくとやりやすくなります。ゲーム性につきましては台ごとに異なりますので、台の横にあります冊子よりご覧下さい。」


 説明が長い上に専門用語ばっかりだ。すごく分かり辛いけど何とかやってみよう。

 確か金色のチップをこの変なところに入れて…おぉ、コインがいっぱい出てきた。金貨1枚でコイン50枚ってことだから…コイン1枚でいいご飯をいっぱい食べられるってこと!?


「普通はこのレートで遊ぶお客様は一握りなんですよ?

 シュセキ様のような方にしか教えられませんが、特別なことがない限り私達はバクチ様の作ったマニュアル通りやっています。

 ”あくまでも”細かいところではバクチ様の主導権を離れた上で、分かりにくく良い台を用意しているんです。それなのにあの方は毎回勝って帰るんです。これは裏情報です。

 ですのでこのカジノではたまたま勝って帰るお客様と、バクチ様以外には営業上赤字になることはありません。まぁ、バクチ様のせいで赤字になる日もあるのですが…」


 娯楽休日は罪滅ぼしの為だったのかな…と思わざるを得ない。バクチさんは自分で作ったカジノで荒稼ぎしているようだ。

 そんなのありなの?

 でもバクチさんがそこまでして通うカジノだ。きっと楽しいに違いない。絶対勝てるって言ってたし信じて打ってみよう。


 コインを3枚入れて…レバーを軽く叩く。動く絵柄を狙って、確かBARを狙うといいんだっけ?左にBARを狙う。ポン。

 なんだかイケないことをしているのが分かって興奮しちゃうな。真ん中は適当に押して…右はこの場合は適当。月?とチェリー?が左に出たら右側に7を狙う…。

 やることが多くて大変だ。楽しめるまでに時間がかかるって言ってたのはこういうことだったのかな。

 バクチさんはやらなくても良いよって言ってたから今回は許してもらおう。損するけど初心者なら少しだって言ってたし。


 ――――――


 暫く打っていると右側のライト板が主張をし始めた。赤い柄が動いて何かをしている。と思ったら変な動物?が通り過ぎるだけだったり、顔を出しただけだったり。なにか法則があるみたい。

 そんなことを考えながら打っているとやっと気付いた。この動物、冊子曰くラクダさんは、何かの絵柄が揃った時に変な行動をして、何も揃わなかった時に帰っていくみたいだ。

 そう確信した次のゲーム、何も絵柄が揃っていないのにラクダさんは変な行動をした。あれ?私の推理間違ってたかな…そう思った次の瞬間、今まで出たことの無い演出が起こった。

 変な帽子を被った男がランプを出したのだ。ランプから出てくる正体不明の…魔族?がビームを放つ。すると7、3、× 、A、チェリーが横に動く。止まったのは…3だ。7が良いって言ってたはずだからこれはダメなのか。

 でもコインがまとまって150枚程出てきた。入れたコインより多いから今は多少勝ってるみたい。このまま帰ればお金が手に入る。でもバクチさんは店を赤字にするくらい稼いでいたはずだ。私もこの台を信じてもう少し打ってみよう!

 そう信じて打ち続けていると…赤の柄が何度も現れるようになった。あれ?なんかおかしいぞ?そう思った瞬間、またあの時の変な帽子の男が出現した。しかも異国の剣を構えている。

 7を切る、3を切る、× を切る、チェリーを切る。その場に残ったのは…A(エース)だ。

 察しに書いていたことが正しければこれは大当たり?でも7が揃うのが当たりのはず。

 そんな考えの元、MAXボタンを押した。

 キュイン!キュインキュイン!台の周りからけたたましい音が鳴って左上の当たりの円が発光。右に出るエースチャンスの文字。

 左、右、真ん中と指示される通りにボタンを打ち続けるけど、コインが止まらない。ジャラジャラとコインが止まらない。

 脳に直接響くようなコインの払い出し音と、異国情緒漂う音楽が私をダメにしていく。

 夢中になりながらも連チャン、連チャンの嵐が止まらない。結局2000枚近くのコインを出してしまった。このコインは私のボーナスだってバクチさん言ってたけど、ほんとにいいのかな?当たりが終わったあとも手の震えが止まらなかった。

 そのコインを変わったケースに入れて交換に持っていくと…謎の板を渡されてしまった。


「あの、この板はなんですか?ちょっと意味が分かりません。私の金貨はどこにあるんですか!?」


「えー私達にはあまり分からないんですけども、皆様そちら側からお帰りになられます。」


「誤魔化しても無駄です!金貨を返してください!私の金貨!」


「お客様困ります。そちらが私たちの渡せる景品でございます。」


「こんなゴミみたいな板なんか要りません!金貨を返してください!」


「シュセキ?何をしてるんだ?」


 店員さんと揉めに揉めているとバクチ様が来てしまった。金貨を返してくれない店もこれなら返してくれるだろう。良かった。


「あぁ、その板ね。ちょっとこっち来てくれる?」


「ば、バクチ様…?」


 期待はずれも良いとこだ。私のボーナスという話は騙すための嘘だったのだ。バクチ様はこういうことをする人だったんだな。


「もう知りません!私の事は放って置いてください!」


「いやその…まぁいいから着いてこい。」


 心の中で今まで信じていたバクチ様が崩れていく中、当の本人はカジノを出て左にある、小さな店に入っていった。


「ここは…?」


「まぁいいから。ちょっと見てなって。」


 そういうバクチ様は、どうなっているのかよく分からない箱にさっきの板を置いて押し込んだ。

 ガラガラと音を立てて中に入っていった板は、戻ってきた時に金貨に変わっていた。


「こ、これは!?」


「あーカジノの中にお金を全額置くのは怖いだろ?スロットエリアの換金だけはこっちの建物を通すようにしているんだ。まぁ、慣れているやり方が良かったってのもあるんだけど、スロットの金の移動はバレないように且つ自分の手元で分かるようにしたかったからさ。」


「なるほど、さすがはバクチ様です!」


 安堵と共にこの仕組みについて私は衝撃を受けた。ひとつにまとめないことでこちら側の金貨の移動を、人間に知られないようにも出来るという事だ。

 浅はかだった自分が嫌になる。それでも…こんなこと一回やってしまったら忘れられない。この手から溢れる金貨は私があのスロットを打って稼いだんだ。また打ちにこよう。次は別の台を打ってみよう。


 シュセキの嬉しそうな表情に対し、バクチは隣でおぞましいにやけ面を浮かべていたそうな…。


 続く…?

 お読みいただきありがとうございました。よろしければ感想、評価、お願い致します。


 この度書かせて頂いたマジックカーペットAについてですが、わかる方もいらっしゃるのでは無いでしょうか?例のアレです。アレェイジンの4号機でございます。

 私自身今大学生ということもあり、現行の機種では無いのですが、スロッターを名乗るならのであればゲームセンターで打つくらいはしなければならない台だと思っています。

 今来ている最新の6号機の方はもちろん打たせて頂きました。恐ろしさも楽しさも昔の方が何倍も…とよく聞きます。私の表現力と経験程度ではギャンブルの良さも悪さも伝わり辛いこと間違いなし!w

 それでも、少しでも何か感じるものがあってくれれば嬉しいです。

 他の台につきましても皆様お分かりになられる方も多いのでは?という有名どころのピックアップです。

 番、G、大花、獣です。これ以上は言わない方が良さそうと思うので言いません。…この作品にギャンブルを推奨する意図は、一切ないことだけ明記させて頂きます。まぁ、この回を境に、負けるもの達ばかり書くことになるかもしれませんので…ここらで書いておきたかったんです!!!

 ということで次回から、人間は愚かという話になります。勇者パーティの皆様方も当カジノにご来店との事で、私自身どう書くのか、彼らは何をするのかという楽しみに胸を踊らせています。皆様も彼らを見て何か感じていただければ幸いです。長々と書かせて頂きましたが、また次回の更新でお会い出来れば嬉しいです。それでは。

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