16.カジノ構想
ウンネイが判子を押していた紙は、魔族にとって害でしかないものがほとんどだった。スパイなどというレベルでは無い。国賊とか、戦犯とか、そういったレベルの行為を平然としていたらしい。
俺に語った名言の数々は本来目指していた姿で、もしかしたら騙されてああなったのかもしれない。そう考えてしまう位に利用され尽くしていた。
「バクチ様、シデス様及びソバツカ様からの伝言です。曰く、”好きにしていい”との事です。ウンネイ及びカジノに属した人間たちは極刑、後に首を他の都市、そして人間達の都市に晒すそうです。」
えげつないことをする。…そういえばロットちゃんはどうなったのだろう。彼女は生意気なところもあったが、正直可愛かった。俺のメイドとしてなら雇ってやってもいいと考えていたが…もう首だけになっているのだろうか。
「あぁ、それとロットという少女についてですが、バクチ様と仲が良かったと主張し、嘘では無いと判明した為、とりあえずは減刑されこの街の牢獄に残されるようです。」
ま、そういうことなら今じゃなくてもいいだろう。優先すべきは部下集め、そして公共事業によるこの街の建て直しだ。
魔族至上主義となったこの街では人間達の居場所などあるはずもない。ウンネイによって住むことが許されて居たもの達は追放処分され、人間領側の建物がすっからかんになってしまった。
俺は内政についてはあまり詳しい訳では無いので、上下水道なんかや土地の分配などは出来ないだろう。そういったことを任せられる部下を用意せねばならん。
つまり俺が今やることは…とりあえず求人広告かもな。
「ホトリ、誰か内政が出来そうな者はいるか?ウンネイの手の者が全て身分を失ってしまったから、この街の運営は今、実質俺とお前しかいない。このままではすぐに破綻してしまう。」
「内政…そういったことであれば記述にあった異世界人ではいかがでしょうか?引き抜ければ大きな戦力になるかと。」
「うーん、人間をこっち側に雇い入れるのはあまり賛成できない。何よりこの街はもう既に、魔族至上主義を取り入れて運営している。手遅れだな。
元の職に戻れたものは良かったが、そういった者以外は未だに無職で食い扶持もないんだ。そういう者から誰か連れて来れないか?」
「やってはみますが…内政となると流石に厳しいかと。専門分野ですし、何より知識が多く必要です。流石に都合よくは…」
「失礼します!バクチ様に憧れて来ました、シュセキと申します。以前は内政官をしておりました。」
「…」
来たわ。
――――――
シュセキは活発、白髪ショートに巨乳な内政官として俺が採用した。なんでもこの街で運営補佐官に任命される所で襲撃に会ってしまい、人間の街に身を隠していたとか。俺が華麗にグロウゴ組を検挙して解決した事が人の街にまで伝わったらしく、その情報を頼みにこちらに来たんだとか。
調査によれば俺が来る前に任命される予定だったようで、ウンネイへの報告書にも記載があった。運営補佐官という名目が俺一人だけなんて、どこかおかしいと思ったんだよな。だいたいこういうのは二人くらいいるもんだ。
成績は優秀で、内政官としてもかなり期待されていたようだ。まぁ、この街に派遣されて来るやつなんて俺みたいに魔王から直々に言い渡される奴か、よっぽど優秀な奴だけなんだろう。
「それではバクチ様…アタシは今土地関連の内政をすればいいんですね?」
「ああ。ホトリと協力してなんとかしてくれ。俺は公共事業の手配だ。人間達から差し押さえたこの金額…こいつらをこの街にばら撒く。そうすれば多少活気も戻るだろう。人間に流れていた分も多からず戻るわけだしな。」
「わかりました。じゃあホトリン、よろしくね!」
そう言ってホトリに抱きつくシュセキ。しめしめ。
「よ、よろしくお願いします。」
「あー、言っておくがホトリは男だからな。あまりそういうスキンシップはやりすぎるなよ。」
「え、えぇぇぇ!?」
この下りは娯楽になるな。定期的にしよう。
――――――
西地区中央。例のカジノがあった場所に来ている。
あれ以来ここは封鎖状態で、ホトリの部下たちが更なる情報を集めている所だ。
このカジノは捨てるには惜しいが…このまま使う訳にもいかない。しかし俺が運営長として就任した記念に、民衆へのプレゼントとして娯楽施設を贈りたいと思っているのだ。そしてそこで雇う人々をもって公共事業とする。
このカジノを参考にして作っていく予定だ。まぁ、カジノと言っても…VIPルームには色々あったが民衆に提供していたのは結局ブラックジャックだののトランプゲームのみ。俺から言わせればまだまだ地味だぜ!もっとスロット置くとかさ。
という訳でこいつをデカくした施設を南側に置くことにしたのだ。この街は金がない為道が暗い。カジノのように夜でも明るい施設を多く設置することで犯罪も防ごうという思考だ。まぁ、カジノなんて犯罪の巣窟みたいなもんだから、犯罪が増えても文句は言えんがな。衛兵が多くて助かったぜ。
という訳でこのネオンライト…これを研究しに来たのだ。
俺の覚醒魔法、これは制限時間がある魔法だ。魔力が多いため常に使い続けることは容易だが、俺は一人しかいない。あの日ネオンライトを見た瞬間から、この光源には魔力が通りやすいと分かったのだ。
つまりこれを娯楽施設の周りに設置、俺のいる事務室、はたまた何かしらの道具から魔力の導線を繋げることさえ出来れば、定期的に魔法を流す事が出来るだろう。
「用事って…もしかしてこの事でしょうか。」
このミル君を研究に採用し、娯楽を更なる高みへと昇華させようと言う話だ。
「いいかい?この役割は君にしか頼まないし、頼めない。他人に伝えることも禁止だ。この仕事が成功したら…君の給料は跳ね上がるだろうね。」
「ほ、ほんとですか!?頼みますよ!?」
ホトリに依頼した調査により、この街に住む人々の素性は大体分かっている。ホトリより後に会ったが、実質部下一号のこのミル君。彼は親が両方死んでしまい、幼い弟と妹を養う長男だ。その為金に困っている。ここを利用しない手は無い。
「もしかしたら…君の兄弟達をシデスの外の学校に通わせることも出来るかもしれないぞ?それだけの仕事がこれなんだ。理解したかい?」
「分かりました!頑張ります!フンヌッ!」
意気込み十分。彼は優秀なのでどうにかするだろう。シデス外周南にカジノを作り、俺の魔法で来るものを依存、洗脳していく。人間が来ることも多い街だ。彼らはいい養分として俺が土に埋めてやろう。
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誤字、脱字、表現のおかしい所など、何かあれば報告よろしくお願いします。見返して色々直してるのですが、やはり個人の活動では限界が見えてきました汗
読者のあなた様、気が向きましたらよろしくお願いします。




