1.俺召喚
よろしくお願いします。不定期更新になると思いますが、頑張って完結させます。
「召喚!
うわぁなんだこりゃ気持ちわりぃ!芋虫みたいにもぞもぞ動いてやがる。それなら名前はモゾリーくんにしちゃお~っと。
もういっちょ召喚!あらら、大変なの出て来ちゃったね!名前はもう、一択だねぇ〜!君の名はうんk」
「魔王様、もうこれ以上雑魚を量産するの、やめて頂けませんか。我々魔族には既に余裕がありません。人間共がこぞって勇者を召喚し始めたのです。このままでは魔族そのものが滅ぼされていしまいます。」
「うるさいよ〜ソバツカくぅん。んな事は幹部達が何とかするに決まってるでしょうが!あいつらはパパちんが起用したんだから大丈夫大丈夫!
パパちんもとい前魔王と言ったら歴代最高…ってもう、耳タコだからねぇ!」
「はぁ…」
「不敬だなぁ全くぅ。いくらソバツカくんと言えど立場は理解してもらわなきゃ困るなぁ?」
「魔王様がそのような状態でさえ無ければ、私も立場に相応しい立ち振る舞いというものが出来たはずです。
少し、ほんの少しだけそのお力使用して頂き、皆のために強者を生み出してくれるだけで良いのです。
何卒お願い致します。」
「…まったく君という堅物は全ッ然引かないんだから困っちゃうよぉ。
しょうがないなぁ、1回だけだよもぅ~。ちょこ~っとだけ本気出しちゃお~っと!」
そう言うと魔王は魔力を解き放ち、角を顕現させ翼を広げた。そして大気が震え玉座の間が赤く染まっていく。
「フハハハハ!これが魔王の力ぁ!ひれ伏せぃ!」
「流石は魔王様!素晴らしい魔力でございます!さぁ!そのお力で異界の門をお開きください!」
「良いおべっかだよソバツカちゃん!本気の本気出しちゃうぞぉ〜!
我輩は第五代魔王シデス!初代魔王ハデスの力を辿り異界の門の扉を叩き壊ぁぁす!
来たれぇぇえい!道を外れし至高の魂ぃぃぃぃい!
最強暗黒絶望魔天門召喚!」
「最強暗黒…?ま、魔天門!?それはまずい!魔王様、おやめください!!し、城が!城がぁぁぁぁぁあ!」
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時は王暦200年。
この王とは人族の王を指す。
魔王軍及び魔族はここ200年で考えられない程衰退してしまっていた。
本来であればこの王暦という呼称自体も許される事では無い。今は魔王暦7777年。前魔王が退位するまではこれが世界の年数の単位だった。
人は魔に従い、魔が人を支配する世の中であったのだが…現魔王が玉座に着いてから全てが狂い始めた。
第5代魔王、シデス。
前魔王曰く「ポテンシャルとカリスマはあるんだけどねぇ〜…いやしっかしやる気が無いからなぁ。まともに統治出来るのは500年目位からだと思うよ?」との事。
圧倒的なドラ息子っぷりを見せ付けつつも、その戦闘力の高さから一応は魔王として認められている状況だ。
「これより魔王幹部会議を始める!」
暗がりに青い炎が灯り、縦に長い食卓に黄金の食器が並ぶ。
号令と共に始まったのは魔王幹部会議だ。現魔王がまともに統治をしない為、魔族としては幹部たちが意見を集め統治しているのである。
ここに集まるのは四天王、通称魔天四皇。そしてそれに連なるもの達のみだ。
「議長を務める魔天四皇のダンロである。魔侍女長ソバツカ殿の報告によれば…魔王様は未だ木っ端のような魔物をお作りになっているようだ。」
「四皇ウチワじゃ。強大な魔力を持っているにも関わらず、魔王様は相も変わらずか…」
「グガ、同じくジベタ。やはり我々幹部が諌言を!」
「同じくイズミ。今我々が魔王様に何を言っても無意味だと判断します。結局のところやる気が関わってくる問題でしょう。ここは大人しく、ソバツカ殿に発破を掛けてもらうのが妥当なのではありませんか。
幼少期に甘やかし過ぎたのか、我々の言葉はあまりに無力です。」
魔王の最高幹部、魔天四皇。前魔王に抜擢され、現魔王を実の子のように育てた者たちだ。
しかし息子のように思いすぎてなかなか厳しいことを言えないため、甘やかすだけ甘やかして側仕えのソバツカに叱られる光景がよく見られる。
「…いずれにせよこのままでは、本当に魔族が滅びてしまうだろう。ソバツカ殿には話すとして、その他打開案はないか。」
「グゴゴ…無駄…。魔王様をやる気にしなければ結局のところ意味が無い…それは我々には不可能…」
「「「「…………」」」」
会議は毎回この始末だ。
今日も何も無くお開きかに思われた…が、城が揺れ石造りの壁や天井から砂が落ちてくる。
ただ事ではない雰囲気と揺れである。
「なんじゃ!天門が開かれておるのか!」
「城を離れろ!この波動は魔王様だ!」
「グガガガガ!魔王様の力!」
「ダンロ、ウチワ、ジベタ!我々で向かいましょう!!」
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「ここは…城…?」
「ハッハッハ!ソバツカ!異界より最高の魂を取り寄せてやったぞ!これで我輩も父上のよう…に…」
「ま、魔王様ッ!」
「これは一体どういう状況なんだ…」
こうして俺は魔王に召喚され、異世界に転生した。
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