Mothers
Mothers(baseball team)
「君は私のタカラモノ」
「君たちは私たちのタカラモノ」
野球部に入った頃から
ずっと見続けた背中。
背番号。
小さい背中が、大きくなる。広くなる。
ずっと追い続けた。
視線の先に、君が投げるボール。
真っ直ぐに。
ずっと追い続けた。
カメラの先に、その空の先に、君が打つボール。
晴れやかに。
伸びやかに。
ヒットが入る度にワクワクする。
塁に君が走り出る度にドキドキする。
ツーアウト満塁でハラハラする。
まるで自分の事のように。
君の動きに一喜一憂する。
何かしたかった。
君が、君たちが楽しそうに野球をする姿をずっと見ていたくて。
悔しさに涙する姿を、笑顔に変えたくて。
私たちは、飛び込んだ。
私たちも チーム。
練習で、試合で、家の中で。
君たちを応援する。
支える。
試合の結果を考察する。
励まし合う。
話し合う。
メールのやり取りで数時間経過する。
私たちも一喜一憂する。
君たちと同じ視線で、野球を教えたくて、初めてのママコーチになる。
その、楽しさや悔しさ、一瞬を残すためにカメラのシャッターを押す。
試合を応援しながら、スコアボードをつける。
少しでも、上手くなって欲しくて、朝も夕方も、公園で練習に付き合う。
休みの度にバッティングセンターに連れて行って、思いっきり打たせる。
涙する君を、立ち上がって欲しくて、叱咤する。
君たちの喜ぶ姿が見たくて、プレゼントやイベントを考える。
最後のセレモニーを考える。
悔いが残らないように。
思い出に残るように。
同じように君たちを支え、導いてくれた監督や指導者に感謝しながら。
仕事をしながら、家事をしながら、毎日考える。
想いを馳せる。
暑い日だって。寒い日だって。
君たちがたくさん試合をしたように、私たちもたくさん試合を観てきた。
どんな形でもいい。
君たちが楽しいと思えるものを掴んで欲しい。
グラウンドで、君たちの声が聴こえなくなった時。
思わず。構わず。声が出る。
君たちの代わりに声が張り上がる。
声の途切れたグラウンドに、その立ち尽くす君たちに、マウンドに向けて。
昨日も今日も、声を上げて応援する。
エールを送る。
明日も、明後日も…
エールを贈る。
楽しませてくれて、ありがとう。
ワクワクさせてくれて、ありがとう。
キラキラした思い出と楽しい時間をもらったから。
今も、昔も、そしてこれからも。
自信を持って言える。
私たちは、君たちの一番のファン。
そして、母なんだよ。
「君は私のタカラモノ」
「君たちは私たちのタカラモノ」