自己紹介とおかしな話? 3ページ目
差し込む日差し、時折流れてくる涼しい風とサワサワと心地良い音色。これだけだったら「癒されるわ〜」って、大の字になって寝転んでいたいと思うが……ところがどっこい! 談話室には気不味い空気が漂っている。
空気に耐え切れなくなった俺は、態とらしく一つ咳をすると今回の件を切り出した。
「えっと、急にすいません。自分は桐ヶ谷 悠人と申しますが、今回お伺……」
「桐ヶ谷? おお! もしかしてお主は悠一郎の倅か! 大きくなったの〜」
ちょっと! 用件言おうと思ったのに、食い気味に被せてこないで!
「覚えておらんか? 幼少の頃は遊んでやったんだぞ〜」
「はぁ、子供の頃の記憶が曖昧な……」
「なら、しょうがないな! 改めて自己紹介といこうか!」
また食い気味に……ってか、何でこの人テンション高くなってんの?
「私のなはやもり! このアパート「朝霧荘」の保守をしている、かれこれ百年はなるかな!」
「は?」と、俺の口から零れると「ん?」と、首を傾げながらやもりも言葉を漏らす。
「お主、親父殿から何も聞かされてないのか?」
「ええ……そんな感じです」
何だろな、心底飽きられた感じで言われたぞ。これって俺が悪いのか?