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伝説の冒険の旅  作者: ご主人さま
第一章 冒険の始まり
8/68

ノンビ村を出た後


「……」


「……」


「……、狭いい」


「やっぱり、無理がありますね5人も乗るのは。メヒウスも辛そうですし」


馭者席まで飛び出た足を避けて首を曲げながら、アルアが言う。


「あはは。だから私は歩くってばあ」

「わ、私もこんな状態でいるなら外で歩く方がずっとマシだ」


新たに一緒に行動する事になった2人は一度俺たちに付き合って荷台に乗ったが、やはり無理があると気付く。


女戦士ケットはちょっと強引に俺たちを押し退け、動く馬車の荷台から飛び降りた。


「いて!」

その拍子に俺は顎を蹴られて声を上げた。


ノンビを出て、馬車はまた旧街道を走っていた。走ってるといっても人数オーバーだったらしく歩いているのと殆ど変わらない速度だった。

重過ぎたと言うよりは馬車の安定を保つためにゆっくり走らせる他無かったみたい。


「よっ、と!」

リディも身軽に馬車から降りる。


「………」

元よりそこまで広い荷台では無いが、2人減ってすごく広くなった気がする。

でも、それは申し訳なさからくるものかも知れない。


「何だか私たちだけ荷台に乗ってたら、悪い気分するよね」

ティイが俺に言う。

「そうだね」

俺は賛同する。まあ頃合いを見て、交代するか。


「ねえ、リディはどこの出身なの?」


すぐに気持ちをコロッと変えて、ティイが荷台の幌から顔を出してリディに聞く。

リディは歩きながら答える。


「私? 私はねえ、北のジェナ大陸のノキンスって国で生まれたのよ。知ってる?」


「知らない~。リックスは知ってる?」

「うん。知ってる」

「あら、勉強家なのね。えらいわ!」


リディが褒めてくれる。


俺はここが地球とどう関係あるのか調べるために一時期色んな知識を求めていた。

結果としては全く見当が付かなかったので、今はもうあんまり調べていない。


「ティイ姉さんも主な国の名前くらい覚えてください」

話を聞いていた馬を操るアルアが、荷台のティイに言う。


「アルアが覚えていれば十分よー。いつも一緒なんだから」

でも彼女は全く意に介さない様子で軽口を叩く。


「ふふ。仲良しなのね。羨ましいわ」

リディは楽しそうに笑う。


リディはここいらでは見慣れない服を着ている。顔立ちも美人だがティイ達とは違う異国の顔立ちだ。

逞しいと言っては失礼かもしれないが戦士のケットとは違う筋肉の付き方で、しなやかさと力強さを兼ねそろえている印象を受ける。特に足腰が強靭さが目立った。


荷物に武器らしいものは見えないけど、どんな戦い方をするのかな。





そうこうしてる内に夜が近付いて来た。徒歩だとやはりスピードは落ちる。この調子だとロドイまで1週間くらいかかるかも知れないな。


俺は別段目的のある旅ではないが、ティイとアルアは内心やきもきしてるのかも……。


そして今日の野営地を決め、俺たちは各々夜の準備を始めた。


「腹が減った。飯はまだか?」

女戦士が横柄に言う。


「何もせずに食べ物は出て来ませんよ。手伝ってください」


「戦士たるものが家事など出来ん!」

「そうですか。じゃあケットさんはお夕飯抜きでいいですね」


今日のキャンプ地にて、何やらアルアとケットがやりとりしている。


「じゃ、じゃあ私、何か野草でも取ってこようかな~」

リディが慌てて仕事を申し出る。


「あ、俺も手伝うよ。薪も少ないし」

火を点けていた俺は丁度手が空いたのでそう言った。


「ええ!? リックスは私と水くみに行こうよ~!」

「駄目です姉さん! 一人で行きなさい!」

「ううう、はぁい…」


俺はリディと一緒に近くの山に入って行った。


俺は適度に枯れた木を見付けては拾っていく。リディも周りをきょろきょろ見て食べれる野草を探しているようだ。だが、


「ねえ、これ食べれる??」

彼女は事あるごとに、見付けた草を指してそう聞いて来た。


「それはただの雑草だよ」

俺は教える。


「ふうん…。…じゃあこれは?」

「それは、捻挫には使えるけど、食べたことはないなあ」

「そうなんだ」


もしかして彼女は、この土地の野草とかにまだあんまり詳しくないんじゃないかな……。


「俺が探そうか? リディはまだこの土地の植物に詳しくないんでしょ?」

俺は申し出る。


「まあまだちょっと慣れてないわねえ…。で、でも大丈夫よ!? 食べれるかどうかくらい、自分で判断出来るから! 任せて!」


明らかに彼女は強がって、俺から離れて一人で探し出した。

負けず嫌いなのかな。まあ彼女の方が経験豊富だろうし任せよう。





―――――――――



「リックスー!! リディ!!」

ティイが俺たちを探して叫ぶ声がする。さすがに時間が立ち過ぎて心配になって探しに来たんだろう。

俺はまだ足がおぼつか無いものの触っても大丈夫なくらいに回復したリディを担いで、キャンプに戻ろうとしていた。


そして、探しに来ていたティイ達と再会する。

彼女らは様子のおかしいリディを心配した。


「ど、どうしたんですか!? 大丈夫ですか、リディさん!?」

アルアが動揺しながら声を掛ける。


「ら、らいじょーびゅよ、しんぴゃいないで、ちょっと、悪いむひにしゃしゃれただけだから……。!!? ん、んぐっ!!」

リディが自身で説明する。


これでもかなり良くなってるんだけど、時々体が痙攣してるのは彼女らには秘密にしておこう……。




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