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伝説の冒険の旅  作者: ご主人さま
第二章 新たな大地へ
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新しい仲間……? タイカウへの道中




日差しはそれほどきつくも無く、寒々しい風が吹き込んで来る。


空気はそれなりに乾燥してそうだが、長時間歩いてもそれほど喉は乾かない。


灰色の土の荒野が広がり、所々に緑が顔を覗かせる。まるでこの世の果て一歩手前の様な光景だ。


俺たち5人は黙々と歩く。大きな港のあると言うタイカウと言う町へは、歩いて5日ほどらしい。


でもこの灰色の風景は、正直面白みに欠ける。風景を眺めながら歩くのが旅の醍醐味の一つなのに、こう同じ様に退屈な景色が続くと、飽きるなあ。


俺がそんなことを考えながら歩いている頃、近くで少女たちが話をしている。


「だ、大丈夫ですか? ラローナさん?」


「ぜー、ぜー、こ、こんなに歩くなら、あのボロ船に乗っていた方がまだ楽でしたわ……。ど、どうして馬車か何かを使って移動しませんのよ……!」


「すみません、ポルポロスには馬車は週に一度しか来ませんので……」


「じゃ、じゃあ、馬車が来た日に出発すれば良かったんじゃないですの!」


「あー、えっと……ナムネ。ラローナにそんな敬語使わないでいいよ。もっとフランクに話してあげてね。さんも付けなくていいから」


「あ、はい。分かりました。リックスさん」


「何勝手に決めてますのよ!! ご自分への話し方も訂正させなさいよ!!」


ラローナは少女2人に介添えされながらなんとか歩いている。漂流船で少しは根性付いたと思ってたのに、やっぱりまだまだだな。


…………。

それにしても…………。


聖歌隊の少女らは身長も年齢もバラバラな感じだった。

ナムネと言う子は俺より何歳か年下の感じで、身長も年齢相応の平均くらいだ。顔立ちとか髪形とかは純朴と言うか清純な雰囲気で、すごくかわいい顔しているのに言葉使いがちょっと田舎っぽい。

オリミスって子は身長が結構高くてスタイルが良くスラっとしている。落ち着いた雰囲気があり、言葉遣いが朴訥としてる。かわいいより綺麗って方が似合う。でも顔立ちからは多分俺と同じくらいの年齢か少し下くらいだと思う。


そして、もう一人のミルキーと呼ばれてる子は、ナムネより更に背が低くて、服装も態度も子供っぽい。まあ、多分本当に子供なんだろうけど、今一つ判断に迷う要素が彼女にはあった……。

それは……、


「……ねえ、えっと、オリミス?」


俺は先を歩くオリミスという少女に声を掛ける。

彼女は常にみんなより先行して、なにか危険が無いかと辺りを探りながら歩いていた。まるで、犬やのようなものみたいだな。


「あん……? なんだ?」


呼ばれて、オリミスは気を許してない目で俺を見る。

まだ俺を信じてもらえてないみたいだ……。


「……あの、ミルキーって子……いつもアレ被ってるの?」


ミルキーと言う少女の頭には、町で歌ってるのを見た時からずーーーーっと、なにか動物の頭の様な形の被り物がかぶさっているのだ。

フルフェイスで、生身の頭が見えてる部分は一切無い。

こちらに実在する動物なのか判りにくいけど、そっちで言うなら、アライグマと言うか狸というか猫というか、まあそんな類の丸っこい動物みたいな被り物だ。


「……ああ、いつもだ」

オリミスは、面倒くさそうに答える。


「寝てる時はさすがに脱いでるんだよね?」


「寝てる時も被ってる」


「え? じゃ、じゃあお風呂の時はさすがに脱ぐよね?」


「風呂の時も被ってる」


「あはは。ま、まさかご飯を食べる時は……」


「飯を食う時も被ってる」

俺が言い終わる前に彼女は言う。


「ど、どうやって食べるのさ!? あれ、穴なんか開いてるように見えないよ!??」

俺はつい興奮して聞く。


「知らん。気付いたら食ってる。どうやってるかは私も知らない」


気付いたらって、見てたら分かるでしょ……。


「きみやナムネは、あの子の顔見た事あるんだろ??」


「無いな。会った時からあのままだ、別に何の問題も無い。それともお前は詮索したいのか?」

彼女は俺を鋭い目で睨む。

「ご、ごめん」


俺はそれ以上聞くことも出来ず、黙って歩く。

でも、やっぱり気になり、その事で頭がいっぱいだった。


ミルキーと言う子は、全然声を発しない。

でも、こちらの言う事は聞こえているようだ。声を掛ければそれに応じてくれる。


ナムネやオリミスは、言葉を交わさないと言う事を感じさせないほど普通に接している。きっと長年一緒に居て話さなくても通じる様になっているのだろうな。


何故かラローナはミルキーの被り物をそんなに気にしてる感じはない。

……ラローナが直接ミルキーと言う子に、いつものように無遠慮に聞いてくれればはっきりするのに……。


い、いやいかん、詮索するなと釘を刺されたばっかりだろ、俺のばか!


でもやはり俺の頭からこの疑問が離れることは無く、下を向き考えながら歩いていた。

…………。




そして、夜になった。


キャンプを作り、教会の少女たちが用意していた保存食を調理する。


湯を沸かして干し肉や野菜を煮込み、味付けした固形剤を溶かし入れる。まあ簡単に言えばシチューだ。


1時間ほどいい匂いをさせて完成したそれを、木製の深めのプレート皿に入れて分けてくれる。

「ありがとう」

俺は受け取ったそれの匂いを嗅ぐ。なんとも言えず食欲を掻き立てるな。


早速一口木のスプーンですくって、少し冷ましてから口に入れる。


……うん、いけるな! 保存食だと言うのに昨日町の食堂で食べた料理より美味しいくらいだ。


「わたくし、このお野菜苦手ですわ~。捨ててよろしい~?」

ラローナが、シチューに入っていた俺たちの居た土地では食べた事の無い野菜を取り出して、文句を垂れる。

「ダメだべよラローナ? ノッコピの果肉は栄養あるんだから、食べれば今日の疲れも吹っ飛ぶだよ」

「うう~~、わ、分かりましたわよ~~」

ナムネが注意すると、ラローナはしぶしぶ目を瞑ってその野菜を口に入れる。少し癖のある味の野菜だけど、慣れれば大丈夫だろう。


…………さて、少し空腹を満たしたのも束の間、俺はやはりミルキーの被り物が気になり、そちらを周りに勘付かれない様に横目で注視する。


…………。

ミルキーは地面に座り膝の上に料理の入ったプレートを乗せ、手にはスプーンを持っている。子供の握り持ちみたいな不器用な持ち方だ。


ミルキーの被り物のその口元は、何故か人間のように朗らかな笑みを蓄えている。

なのにその目と思われる部位は虚ろに何もない中空を見ている。その目をじっと見ていると、突然こちらを向きそうなのが怖くなって俺はあまり見ないようにしている。


いや、今は食べ物の行方のことだけを考えろ……!

俺は改めて集中し直し、彼女を見る(横目で)。


スプーンでシチューをすくい、それを口へと持っていく。


……く、食うぞ……、


!!


あ、あれ!?


口元へ料理を持って行き、料理が被り物にくっつきそうになって俺が息を飲んだその一瞬あと、何故か料理はスプーンの上から消えていた! 

ミルキーは何事も無かったように、またプレートの料理をすくおうとする。


な、なにが起こったんだ!!?


俺の目には何も捉えられなかった。被り物にはやはり穴らしきものは何も無い。

い、いったいあの料理はどこに消えたんだ……!!?


「……おい」


絶対何か仕掛けがあるはずなんだ。どこだ、どこに入って行ったんだ……?

俺は更に集中しミルキーがスプーンを口に運ぶのを食い入るように見る……!


「おい!」


誰かが注意しているのに俺はやっと気付く。顔を上げると、みんなが俺を可哀そうな目で見ていた。

俺は、ミルキーの被り物に夢中になり過ぎて、いつの間にか彼女の顔面に引っ付くほど近付いてしまっていた。


オリミスは誤解とは言え前科がある俺に、怒りが再燃していた。


「この変質者ぁ~~!! 今度はミルキーを毒牙に掛ける気か~~!!!」


ボコオ!

「へぶあっ!!」

俺はまたしても彼女に殴り飛ばされた。

 





その後、寝る時間になり、


「みんな、テントに入れ! ラローナってあんたもだ!」


オリミスが女子全員に鋭く指示する。


それから、キッと俺を睨む。


「おい! お前はテント50ラン以内(10メートルくらい)に決して近付くなよ!? 一歩でも近付けば、明日の朝日は拝めないと思え!!!」


そ、そんな~!

みんなは少し俺に申し訳なさそうにしながらもテントの中に入って行く。

オリミスも最後に俺を一睨みして中に入る。


俺は一人野外に取り残された。



………ううう。

焚火の火も弱まっていく中、俺だけ徐々に気温が低くなっていく中で野ざらしで横になる。


な、何故こんな事になったんだ……。

フィオルディア(前に冒険していた国)を旅していた時は、みんな優しくしてくれたのに……。


これも全部お前のせいだぞ!? 俺は中のマゾクに言う。マゾクはナムネの魔力を吸ってから、また何の反応も見せない様になった。勝手なやつだ!


文句を言う相手もおらず、俺は膝を抱えて我慢して眠る事にした。


うう、寒い…………。

朝まで持つか分からない。俺の最後は凍死か…………。


ファサァ


? そんな俺の体に、突然暖かい毛布が掛けられる。

俺は驚いてその相手を見る。


それは、ミルキーだった。もちろん被り物は脱いでおらず、その表情は窺えない。でも、なんとなくその時は優し気な目(被り物の)をしている様に見えた。


ミルキーは、かわいらしいジェスチャーで何か伝えようとしているが、俺はうまく汲み取れない。

でも、まあ元気付けてくれてるのかな?


「ありがとうね」


俺がそうお礼を言うと、嬉しそうにちょっとぴょんぴょんと跳ねて、彼女はテントに戻って行った。


…………。


彼女たちとも、フィオルディアの仲間みたいに、段々と仲間になれればいいかな。

うん。


ああ、あったかいんだ~~。俺は毛布に包まって眠りに落ちた。




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