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⑦蒼暦745年7月24日

月明かりの下、敵兵は各々小声で立ち話をしたり、何人かが車座に座り込み、俺たちの基地への進軍の時間まで、時間を潰している様だ。

「使える、、、嫌、お前名前は?」

「ははっ、やっと名前を覚えて戴ける迄、信頼して貰えましたか?」

「バーカ!未だ何にもして無いだろうが!取り敢えず惚け名で呼ぶのに飽きたんだよ。

多分さぁ、彼奴らも夜明け前に進軍し始めるだろう?

ただな、絶対おかしい点が一つある。」

「敵兵力ですか?」

「そうだ、いくら奇襲が成功するとしても、200程度で内の基地を落とそうなんて正気の沙汰じゃない。」

「そりゃそうですよ、基地には、騎馬中隊1つ歩兵大隊も1つ、その他各部隊の先遣隊や連絡将校の従卒等、多分4,000名に届かない程度はいますからねぇ。幾ら何でも200やそこらの数では、落とせるとは思わないでしょう。」

「て事は、ここだけじゃ無いって事だよな?」

「そう思いますね。夜明けと同時に森からコイツらが奇襲。こっちに俺たちを引きつけておいて、先ず北から子爵軍、次に東から男爵その他の軍と最後に手薄となっているだろう西から伯爵軍本隊がと四方から攻めてくるんじゃ無いですか。」

「うーん、最悪そうなるかもな、て事はここの敵を如何に早く壊滅して基地に戻るかと言う事か。」

「そうです。じゃあ始めましょう。丁度月が雲に隠れて暗くなりました。」

「お前暗くなる迄のオシャベリタイムだったみたいな言い方するなよな?、、、、良し!」

俺変てこりんな箱型矢を受け取り今迄弾いた事の無い長く弾きがいのある弓に番える。天高く弓を掲げギリギリと音を出しながら思い切り弾いた後、押し気味に弓を放つ。放つと同時に矢に付いていた紐がシュルシュルと音をさせながら、蛇の滝登りの様に空に舞う。

放って数秒後、紐を手繰っていた、若い兵隊2人が

思っ切り紐を引っ張った。

矢の行方を追っていた、俺は矢に刺さる様に有った箱の底が、抜けるのが見て取れた。あーなる程ね、こうゆう仕掛けか、暗くて良く分からないが多分ダルマイトの粉が敵のど真ん中に降り注がれているんだろう。

その10秒位経った後、あっ結局名前聞き忘れちゃった

な、奴さんが火矢を放って全員に「伏せろ!」と怒鳴る。敵の今の声には気が付いた様で、一斉にこちらを見る。しかし全員体全部を地面に預けた為、多分見つかる事は無いだろう。

と、考えていると目の前で物凄い量の光が溢れ、視界か青に染まる。即ドドドドーンと耳を劈く音が、数10秒目を瞑り耳を塞ぎ、身体を地面に預けた姿勢をとり続けた。静寂と月光の下、窪地の中は、、、、、、

阿鼻叫喚の地獄絵図、、、だ。

千切れた腕や足そして頭蓋がそこら中に散乱。

ドス赤黒い血と肉塊が地面を埋め尽くす。

人間の形をした物体は見当たらない。

首から上の無い土色に赤暗く染められた肉塊。

顔の右側がぐちゃぐちゃとなり脳髄が肩口に滴り落ちたいる。ただ動ける物体は何処にも無いようにも見えるが、未だ息がありピクピクと反射で動いている者、数体に被さられ人の下敷きになって身動きぐ取れずジタバタしている者。未だ数10匹蠢いている。

只見回すと窪地左奥には爆風が届き難かったと見え数人が蹲り震えている。

俺はそれを認めると窪地に直ちに降り立ち、先ず命の火が消えかかっていた者を、そこらにあった槍を拾い上げ一突き一突きして回る。

全部突き終わった後、左奥で蹲っている数人を眺める

そろそろ正気を取り戻しそうな奴もいるなと観て素早く走り寄り、槍を捨て剣に持替え未だ蹲っている者、立ち上がり俺に刃向かおうとする者、全て順に斬り殺していく。

最後に残った奴は将校の様で俺に走り寄って来る、早や剣は上段に構えており、怒りに任せた怒号を叫びながら猛然と駆ける。俺は1歩だけ踏み込み左から横薙ぎにて対する。まぁね?俺の方が速いけどね、

右脇腹から剣が食い込ませそのまんま左脇腹迄振り切った。切り口から腸が溢れ出し血飛沫が撒き散らされ俺の顔は又も赤黒く染まり、人血の匂いにむせ返る。


「中尉、終わりましたね。」

名前分からない君が俺の背後から声を掛けて来た。

「終わったね。」

「終わりましたね。で、この後はどうします?」

「まずは、基地に戻ろう。取り敢えず南からの奇襲はこれで無くなった。お前の考えどうり北から来るか若しくは東から来るか?まぁどっちにしても、基地に戻ろう!、、、後さ、お前名前は?」

「えっ、と、さっき言いそびれてましたね。ハイ

私はルーカス トライゼル伍長です。

よろしくお願いします。」

ルーカスね?普通だね。普通。

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