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⑥蒼暦745年7月24日

しっかし、何とも変てこな矢を作ったもんだね。

矢って言うよりも箱?長方形の箱の両端に棒が付いてる感じ?一応矢羽根らしきものは先には着いているけど矢尻と言うほど尖っては無い。

んっ?箱の下には紐が付いていて手繰ると凄え長え!

「銀縁眼鏡君?」

「銀ブ、、?」

「銀縁眼鏡君、この紐は何なの?」

「あッアァ、引っ張ります。」

「はあ?引っ張る?あのさぁ何と無ーく引っ張るんだろうなぁとは思うけどさー、、、、それで?」

「マァいいじゃ無いですか!取り敢えず敵の近く迄行きましょう!まぁ後は任せて下さい。」

こいつ!又人を小馬鹿にした笑いを浮かべてやがる!

すんごいムカつくけど、、、まぁ良い!

どう見たってこいつの方が頭良さそうだしなぁ?

このへんてこな矢も何か良い手なんだろうな。

て、事で敵の屯している場所へと!


軍曹の手元にある紙片に記載されている地図を頼り

に、10人は3列縦隊で軍曹を先頭に警戒して前進する。どうやら地図には分岐点や判りづらい場所にポイントが記されていて、かなり親切な地図である。

「軍曹、この地図からだと、この岩を登るで良いよな?」軍曹に小声で話し掛け、ちょっと解りづらい

が正解を探しついた。そんなに高くないその岩を登ると、ほんの気持ち程度獣道の様になっている通路は左右が雑多に木が疎らに生えている。

何と無く本当に何と無くだが、敵はこの獣道の先にいる気配がする。やっぱり気持ちが昂ぶる。

「軍曹?もう近いよな?何と無くこの先の様な気がしてんだけど?」

「中尉、多分正解です。地図もこの辺にバッテンがして有りますから!」

「正解か。、、おい!銀縁眼鏡君、ちょっと来い!」銀縁眼鏡君はキョロキョロと辺りを忙しなく徘徊しつつ辺りを観察しながら、ブツブツ独り言言ってやがる、なんか気持ち悪りいなぁ!

「なぁ気持ち悪い君、どうしたの?独り言って、ホント止めようよ。気持ち悪いんで。」

銀縁眼鏡君改め気持ち悪い君は苦虫を噛み潰した様な顔をするかと思いきや、平然とした顔で「中尉、左の木々の中の奥に少し背の高い茂みが有りそうです。そこに行って見ましょう。案外茂みの向こうが敵の集結地かも知れないですよ?」

「イヤ!あのさあ。君ねえ?こんだけ俺がブッ込んでるのに何の反応も無いの?おかしくない?」

気持ち悪い君は、ツンと澄ました顔で平然と言い放ちやがる。「何と無くもう中尉の扱いが、分かった様な気がしましてね?ここは反応せず流すべきでは無いと判断した次第です。」

「何で?」「嫌、ここで突っ込んでも又、弄り返すだけで話しが進まないでしょ?」

うん!面白くない!この話、もうおしまい!

「気持ち悪い君!じゃあそっちに行こうか?」

「はっ!」

左手の森は葉の広い木々が多い為、先程迄いた獣道に比べかなり暗い。周りを警戒しつつ忍び足にて歩く。その暗き場所に目が慣れ初めた頃、目的の茂みに辿り着く。茂みの中は思ったより枝や葉が繁茂し立ったまま先に進むことも出来ず、匍匐にて前に進む。

ちょっとだけ癪だが、気持ち悪い君の言う通り茂みの先は4メートルほど切り立った崖になっていて、崖の下は結構な広さの広場がある。人工的に作成した事が分かる様に切株が一定の間隔で残されていて、将校らしき者がそれに腰掛けている。月の光が敵兵数百を照らし広場たる集結地を灯す。

集いし敵兵たちは各々は小声でしゃべっているようだが、目算200人が声を上げれば、結構な騒音となって

この窪地を声が覆う。

さて、どうやって倒すんだろ?指揮官の俺に作戦を伝わらないまま、戦闘が始まるのかなぁ。

それはちょっとだけ嫌な訳で、ここはあいつを読んでどうするか聞いてみよう。


「使える君、使える君。ちょっと、、、ちょっと!」

「あっ!使える君に名前が変わりましたね。ありがとございます。」

こいつ、良いあだ名にしたら、乗ってきやがった。

「あぁそうだよ、使える君。それで、これからどうするか、指揮官である、俺、俺に、俺には伝えろ!」

あっ!こいつ又俺を小馬鹿にした様に、薄ら笑いを浮かべてやがる。

「中尉!良いですか?お伝えしますよ。

1.この弓でこの矢を番え敵のど真ん中目指して矢を射ってください。多分直線で75メートル位でしょう。

2.ここからだと、そうですね75度に合わせて思い切り

お願いします。

3.射った後、私が火矢を放つとそこら中が火の海となります。

4.火が収まり始めたら、混乱している場所を見極め

中尉はそこに吶喊を行なってください。

5.勝利です。おめでとうございます。

良かったですね!


ははは。成る程具体的且つ簡略化された説明だ。

なぜ、火がつくの?

油でも撒いたの?

200の敵を、火矢1本で、アァ俺が射った矢が有るから2本か。、、、、、、、やるの?


「中尉これを。」そう言うと使える君は、俺の前に

あの長弓と紐付き矢を俺に差し出す。

今までにも、長弓を引いた事はある。だがら今手元にある弓を弾く事は造作もない事なんだが、、、

「使える君、成る程分かった!では俺は今からこの長弓でこの変てこりんな矢を番え、射程100メートル目指し、70度の角度で、思い切り放てばいいって事なんだな!」

使える君、少しびっくりした感じだ。

「そうです。イヤ、中尉。凄い理解力と洞察力ですね。恐れ入りました。今からもう一回、現物を使いながら説明する気でした。いや、良かった。

後、中尉がこの矢を射った後、数秒経ったら私が火矢を放ちます。

直ぐ全員は目を閉じ、耳を塞ぎ身を伏せて下さい。

良いですね?」

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