④蒼暦745年7月15日
*アシュレイド・フォン・ベルツブルグ陸軍中尉
、、、長ったらしい名前だゆな。だけどこの名前になったのはほんの10年前からなんだよな?
それまでの名前はアッシュのみだ。
苗字なんてのが有るなんてのは聞いた事が無い。
まぁ多分無いだろう。物心ついた時には、母と2人山の中の木こり小屋みたいな所で暮らしていた。
山に登り、川で泳ぎ、木に登り、罠を仕掛けて兎や猪の子瓜坊を採り、山の獣菜を採集して生きていた。
今考えると母は男だとしても、もの凄くデカイ生き物だったな。多分190センチ位は有った筈だ。
膂力、胆力共に、俺が今迄会った人物の中でもトップクラス、まぁ俺は軍人何で会ってるのは殆どが軍人。
言い換えれば、家の母は帝国でもトップクラスの豪の者と言えると思う。
狩は基本3日置きに行ってたな。森で1番でかい熊でも母にかかれば、ものの30分位で解体が始まる。
俺は5歳位からかな?大人の猪でもナイフ1本で仕留められる様にはなったのは。並の猪なら8歳程度で素手で仕留められたな、猪突を真正面から受け止めてそのまんまひっくり返す。後は腹に手刀をぶち込んで腹わたを抉るんだ。まぁ一頭で1週間は食い繋げるからな、猪が取れれば儲けもんだったな。
まぁ俺も母に似て、5歳位で大人並みの体格を持ってた。多分あの頃で、170センチ位は有ったんじゃないかな。8歳?180は超えてたかな?
勉強?小屋に1冊だけ本が有ったな。多分母のもんだろう。小さい時は偶に時間が空いたら、母が俺を膝に乗せて読んでくれたな。まぁその本だけだよ。子供の頃に読んだ本は。題名の書いてある表紙が無かったから、題名は知らないけどね。傭兵シュルツってのが主人公で、主人公が色々な街や村に旅を続け、仲間を集め、最後は悪竜と相討ちとなりシュルツは瀕死。それを王女の献身的な介護により命を取り留め、王女と愛を育み結婚してハッピーエンドと言う話。
だけどね、これを読んでる子供の頃は何で女と結婚してめでたしめでたしってなるのかが、良く分かんなかったんだよね?女と結婚するより、又世界に冒険に出て色んな悪者をやっつけるって終わった方がカッコいいのにって思ってたね。
今?今なら当然ハーレム作ってウハウハ、ハッピーエンドを選ぶね。
「ちゅ、中尉!ハッハーレムって、不潔です!中尉は何時も女性の事ばかり考えていらっしゃるのですか!
わ、わ、た、しは、、、、、」
「軍曹?お前俺の前半生を聞いての感想及び注目点がソコ?お前が俺の人生を聴きたがったんだよなぁ?んで1番最初の質問がそれか?あー君の僕への愛情はその程度なのね?」
俺の膝の上に本人はチョコンと座っているつもりの様だが、170を超えた体躯の上半身には、挑発的な爆乳が耐刃シャツの格子の針金を歪に曲椀させている。
抱えている背後の男が2メートルを超えた偉丈夫のお蔭で少し可愛らしく見えもするが、娘にフォーカスして凝視すれば、妖艶且つ艶美な出で立ちにより男の膝の上で男の顔を上目遣いで甘える様に見つめるその姿をこの娘の二つ名[断罪夜叉]と恐れている下士官兵に及ばず将校に至る迄見せられるものでは無い。
この娘はマーガレット マイヤー。24歳
帝都近郊の郷士(半農半士)の次女である。
軍の規律、規範の権化で有り、統制主義者。
基本憲兵畑を入隊時から歩んでおり、それ故か
曲がった事が大嫌い。特に爛れた男女の関係には、異常な程に厳しく対処する。又、恵まれた体躯を鍛えに鍛え憲兵隊の屈強な男達にさえ、格闘戦でも引けを取らず、剣技ならば帝国憲兵中でも片手には入る腕前である。、、、とは言え花も身もある24の娘であり
実は内心身も心も尽くす献身的なの愛を夢見る、、、どエムであった。
ルクソールの森『マイント第12前線基地近郊』
東マイント半島の西付け根付近。北西にはマイント半島内湾が有り、南側に広大なルクソールの森が横たわっている。マイント第12前線基地は騎士大隊を主体として、突進吶喊で後続を気にせずにこの基地を築城。
因って、ほぼ毎日伯爵軍から威力偵察、ゲリラ戦、兵站部隊急襲が繰り返し起こっていた。
特にルクソールを抜ける味方との最短距離には、敵は常時待ち伏せの兵を伏せており、茲許は兵糧に不足の気配が出てきていた。とは言え兵力不足は否めず、纏まった兵も出せない。ならば少数精鋭の兵を立てるしか無い。という事で遊撃班である俺の出番となった。
自室待機も解け毎日森を探索しているが、少数のゲリラ程度の敵を蹴散らす程度しか戦功を上げられずにいた。
但し基地内では毎夜マイヤー軍曹を蹂躙し続ける大戦果を獲得してるんだな。