③蒼暦745年5月16日
現在
帝国内においての反乱地区は7つ。
内、一つが此処マイント半島。
クワガタの頭部に似た地形で、付け根はほぼ長方形、
幅30キロ、長さ75キロ。鍬の部分は北を向いていて二叉に別れた西側が東側に比べ少し短い。西側東側共に内側に湾曲していて、最短距離は何れも先端部で7キロ無い程度。なので内湾は波も穏やかで帝国一の良港である。
産業は農林水産何も恵まれた環境で且つ対岸の北方大陸との貿易も盛んである。領地の配分は、付け根の大部分を伯爵領、2つの鍬部分に子爵領が3つ、男爵領が7つある。
この地の反乱首謀者はマイント伯爵、帝国陸軍少将グライル・フォン・マイント。
半島内の10人の貴族は寄親である伯爵に全員が臣従せしめグライルは伯爵軍他(私兵)7,500名と第12師団の子飼将兵を纏め上げた総員が8,200。計15,700名(内騎兵3,500)でマイント半島にて挙兵した。
帝国への要求は、自治権の一部割譲、半島内での貿易税の免除及び固有師団と固有艦隊の創設の3点。
貿易税の拠点は半島内には主な港湾都市が3つ。2つは伯爵領1つは子爵領にある。但し小規模ながら各貴族領にも港が有り、この半島内全ての港が帝国の北方貿易のほぼ全てを担っていて、ここから上がる貿易税は帝国全税収の2〜3%にも及ぶ。
帝国にとっては途轍も無いドル箱である。
当然帝国がこの税収を手離す筈も無く、急報後5日で先遣隊の2個騎馬連隊1,000騎が帝都を出立。
後を追う急造の兵站部隊の後、遅れる事5日後3個師団を戦時編制[兵站部隊拡充、新兵補充等]に纏め上げ約3万が出征する。
その後、半島攻略は徐々に帝国側が有利に進展しており、、、。
マイント第12前線基地 副司令室
「、、、、、、、、という訳でダラダラと走り終わった後、膝立ちを平気な顔で行い、そのまま大人しく営倉に服しましたが、ものの数分で、いびきをかいて惰眠を貪り始め0830に、ぼけぼけのまま起床、先程自室へと戻りましたが、3日間の謹慎もむしろご褒美の如くベッドで熟睡しております。クックック!」
「大尉?何がおかしいのかね?」
「ハッ!失礼致しました!、、、然し乍ら少佐殿、
我々にとっては懲罰であっても、彼にとっては営倉送りや自室謹慎は本当にご褒美でありまして、小官としては、羨ま、、、ゴホン、甘すぎる処置かと愚考する次第であります。」
「大尉、先のゲリラ防衛戦での彼奴の阿修羅の如き奮迅振りは特筆すべき戦功であると司令も考えている。司令としては彼を手放すつもりは無いらしい。
ただなぁ、あの昼行灯振りは目に余る。
取り敢えず、昼間は彼奴を兵達の前に出さない様にしろとの命令なんだよ。」
成る程、確かにあの[紅阿修羅]は戦場に居てこその荒武者であり、グータラな日常を基地内の兵に印象付けるのは、よろしく無いなぁ。
「そうですね。では彼奴が自室から出て来ない様、ドアの前に2人ほど付けましょう。
アァ後、彼奴の暇潰しの為に部屋づけの遊び相手として下士官を1人付けても良いですか?」
「ンッ?下士官?誰を付ける?女は駄目だぞ!」
「、、、分かりました!じゃあ女として扱え無いのを付けましょう。、、、、、、、マイヤー軍曹で。」
「えっ?マイヤーって司令付のか?なっ!なっ何言ってる!あっ、ありゃ女も女!凄いだろ!なぁ?」
「でも誰も女として扱えないし扱わ無いでしょ?」
「、、、、、嫌!だからって、もし何かあったら、、イヤ、有ったら有ったで彼奴がどうなるか面白いかっ、、、うんっ!解った、あの女ならいくら彼奴でも男としての矜持を保つ事に凄え苦労するだろ。んっ?苦労だけなら未だ良い方か?うん!そうだな、そうだそうだ!なぁ大尉?』
「はっはっはっ?そうですね。」大尉は直立不動の姿勢を少し崩し、意味ありげにゆったりと敬礼し、慇懃に回れ右して部屋を出た。
同基地 将校棟一室
営倉の硬い床から自室のベッドに場所を変え、深い眠りにつく。至福、そう!幸せとは眠り。
太陽が1番高い位置に登りつめても、俺はベッドの中で至福の時を貪っていた。
コンコン!扉の外から本当に嫌〜な音がする。
「失礼します!中尉!入ります!」
「ダメ!入るな!只今小官は、その、あれだ!そう!
自室待機命令中である。外部との接触は禁止されている!何かあれば、そう?そうだな、ケスラー大尉に伝えろ!わかったら帰れ!」
うん!我ながら絶妙な言い訳、、じゃない!的確な指示を出したな!これなら帰らざるえんだろ!
「、、、し、申告します!マーガレット マイヤー軍曹は本日付けで、遊撃班付き下士官に転属、配置は同班アッシュ中尉番を命じられ、中尉のお世話を仰せつかりました!」
えーヤダ!何言ってんの?俺のこの怠惰で至福の惰眠な時間を奪い去るつもりかよ!
、とは言っても、辞令申告しやがったから、仕方がないなぁ?くそー思いもかけない至福の時間も終わりかよ!
「あゝ軍曹、わかった、入れ!」
扉を開け放たれたその後に当然人の気配嫌だなぁと思ったその思考をその人物にぶつけてやろうと思ったが
しかし!しかしだ!入って来たのは女神!そう!
無茶苦茶綺麗なネイチャンが御入室して来た!
背はこの大陸の普通の女が155センチ程度であるのに対し目の前の女神は170センチを余裕て超えている。
顔の造作がとても良く真っ白な大理石に美の究極を彫り上げた様と言っても良く、一眼見れば一度で魅惑されるその切れ長で大きな眼の中に翡翠色の瞳、蠱惑的な鼻筋に少しプルっとして厚みがあり蕾みがかった唇を成し、背と相反した小さな細長い卵形の輪郭。
但し、残念ながら表情は氷の如き冷たい表情を崩さない。
然もこの暑い中何故か冬季戦闘服を着ている。冬季戦闘服は耐寒の為重ね着を考慮して作成されていて、かなりダブついた感じになる筈なのに、彼女のその猛々しい程に挑発的な豊かな双丘の為、胸の部分はボタンが弾けそうになっているが、そこから視線を下ろしたウエスト部分の布地には余裕がある。これは途轍もないご馳走だが並の男程度では言葉を掛ける事すら叶わない女であろう。だが!俺はベッドから起き上がるやいなや、彼女の背後に回り込み、両手を彼女の下腹部に抱え込んだ。
「ナッ!?」氷の様な冷たい表情は一気に驚愕の後、般若の如く怒りの表情へと一変する。
俺はさも、気付かない振りで嘯く。
「貴官の様な優秀な下士官と仕事が出来るとは小官にとって、、?」何だ?この下腹部は?柔らかい部分が全く無い!まるで鉄板を抱いてる様じゃんか!
「中尉。お戯れが過ぎます。」言うや否や右手を逆手に取られ、いきなり腰を落としたかと思うと、俺の下腹部に身体を密着させ、そのまま前方へ右手毎投げを打つ。
俺は両足に力を溜めて敢えて前方へ身体を捻りながら跳ね上がり、いくらでかい女とは言え、俺との背丈の差は30センチ位ある訳で、下半身を踏ん張れば彼女の右手を振り払い距離を取る事も造作も無い。
「うん、軍曹!良い技だな。俺じゃ無ければ床に五体投地で骨折もんだな!」
俺はにやりと笑いながら距離を縮め、彼女の正面に立った。
唖然とした表情で彼女は立ち尽くす。口をポカンと開け全く美人が台無しだ。その後、やおら口を開く。
「ちゅ、中尉!お戯れはお止し下さい!小官は女として見られる事を良しとしません!、、中尉!小官と勝負して下さい!小官が勝てば男としてご対応戴きます。」
「アァそう!じゃあ俺が勝ったら?」
「中尉が?中尉がもしも勝った場合は、中尉のお好きにすれば良いでしょう。まぁもしもの話しですがね?ふふっ」
「ハイ、ハイ!んで、何で勝負するの?」
この娘すんごく鼻息荒くしてやがる。
「それは考えてあります。噂では中尉は、凄まじい豪の者とお聞きしています!どうでしょう?私と拳と拳の撃ち合いをしどちらかが降参する迄と言うのは?」
「アッ?撃ち合い?そんなんで良いの?じゃあそれで行こう!」「良いのですか?」「あぁ良いよ!んでどうやってやる?」「そうですね。先ず中尉から撃ち込んで良いですよ!まぁ中尉は先程小官の腹を触られたのでご存知でしょう?小官は冬季戦闘服に、耐刃シャツを重ね着していますし、ほらこの通り小官の全身は筋肉の塊ですよ?」そう言いながら凶悪な胸の下にある強靭な筋肉を露わにする。
アァそうゆう事か。初めから用意してたのね?
「分かった、じゃあやっちゃうから準備してよ。」
「アッここで言うのはずるいかも知れませんけど、
小官はこの同じ装備で、蛮族のゴゾゲリ族が勇猛な戦士の蹴りに片膝も着かない程ですよ。」
なんか、勝ち誇ってんなぁ。この娘、凄え美人だからこうゆう態度を取らせると無茶苦茶意地悪な顔になるね。「うん、そうですねぇ?もし小官が初めのワンパンで片膝ついたら中尉の勝ちで良いですよ?」
「あっホント!良いの?じゃあ思い切り本気で撃っちゃおうかな?」
「どうぞ!お撃ち下さい!」
「じゃあ行くよ〜?」左腕をブンブンと振り回し的を娘の腹に見据えて打ち抜く。バガン!と言う凄まじい音が響く。俺の拳は戦闘服、耐刃シャツを物ともせず筋肉にめり込む。内臓にものすごい勢いで衝撃を与え、直ぐに彼女の全身に伝導する。
撃ち付けられた肉体は前に蹲りそのまま崩れ去り
意識を飛ばし、俺に身体を預けた。
うん!凄え身体だ!抱いてるだけで俺の剛刀は上段の構えとなり最早血を見ない事には収まりそうに無い。
そうそう!さっき、この娘は初撃で膝つけば俺の勝ち。勝ったら俺の好きにして良いって言ってたよな。
よしよし、この娘も一らい。
お姫様抱っこでベッドにゴー!
今晩は久し振りに剛刀連続振りを一晩中実践だー!