腹減り隆
なんだかあっと言う間だなぁ、こないだまで寒い冬だったのが、気が付いたら桜が咲き、それがいつの間にか散っていて、また夏が来る。
一年は短いんだか長いんだか、百年なんて、あっという間に過ぎてそうだなぁ。
昼下がりの午後、部屋の外の景色をみながらそんな事を考えていた。
人の一生って大切に過ごさなきゃあっと言う間に過ぎちゃいそうだ、今を大切にしようっと、そう言い冬馬君はスプライトをグビグビ飲んだ「かは〜〜ったまらん〜〜」
空は青空、快晴で美しい空だった。
空に浮かぶ雲の様に毎日同じようで全く違う風景が僕らを優しく包んでくれている。
生きてる、存在してる、その当たり前の事が奇跡そのものである事を忙しい日常に追われ人は時に忘れてしまう。
そんな時はこんなゆっくりな瞬間にくつろごう、この男の様に。
名は隆、言わずと知れた冬馬君の父である。
今日はこの男にスポットライトを当ててみよう。
彼は今日仕事が休みでリビングでくつろいでいる。
ごろ〜ん「真っ昼間の昼寝たまらないなぁ〜」
すると「ちょっとゴロゴロしてないで、掃除するからどいて」正子である。
渋々立ち上がる隆
「でもせっかく天気も良いし、少し散歩でも行くか、お〜い冬馬外にでも散歩行くか?」
「行かない」即答である。
「じゃ一人で少し散歩にでも行くか」
「いってきま〜す」
「たまにはのんびり散歩なんてのも良いなぁ」
普段見ないような、道に生えてる花や景色に目をやると普段は全然こんなに見れてないなぁなんて気付く。
あそこの木、気づいたらあんな色になってたのか。
そんな事を考えながら、外を歩いていると突如お腹が鳴る、グウゥ〜〜
「そう言えば朝ごはん少ししか食べなかったからなぁ、ええ〜いせっかくの休みだ、自分にご褒美の日にしよう」
そう決めた隆はニンマリと笑い、外食する事に決める。
「何が食べたいかなぁ」頭の中にいろんな食べたい物が浮かんでくる。
せっかくの機会、本当に食べたい物を食べよう。
そう決めると中々、一つに決まらない、すると。
「おっ天丼ランチサービスだ」ヨダレが垂れそうになる。
「最近天丼食べてなかったなぁ、天丼も良いなぁ」
頭の中、天丼を食べてるところを空想してみる。
まずは上に乗るエビをパクリ、そしてタレが染み込んだご飯を一気にかきこむ、ムヒョ〜〜うま〜〜っす!!
天丼に決めようとすると反対側にラーメン屋が。
「あっ、そう言えばあのラーメン屋気になってたんだよなぁ」
豚骨ラーメンかぁ、またまたヨダレが垂れそうになる。
早速食べてるところを空想する。
まずはスープ、ズズッ、かは〜っ胸に沁み入るねぇ。
そして麺をズルズルズル〜〜、そしてチャーシューをパクリ
ムヒョ〜〜〜ラーメンも良い。
優柔不断な隆君は悩みだす「あ〜っどうしよう」でも、もしかしたらもっと食べたい物見つかるかも、と言う事で散歩を続けてみる事に。
う〜ん何にしようかなぁ〜。
「ん?良い匂いだ、この香りは」
バァ〜〜〜ん「うっ、鰻だぁ〜」
財布を見る、そして何故か正子と冬馬君の顔が浮かぶ。
「さすがに自分だけじゃ悪いようなぁ〜」こんな所で変な罪悪感を感じ苦笑い。
財布と相談した結果鰻はやめる事に。
「しっかし、良い匂いだよなぁ」
「むっ!!」目に映るのはとんかつ屋「豚カツか」瞳が輝く
またも空想、まずはご飯は大盛り、揚げたてのカツにソースをかける、そしてたっぷりの辛子をのせ、パクリ、そしてご飯をかきこむ、むきょ〜〜むきょ〜〜。またもテンションがあがる。
するとこんな思いが、でも豚カツはちょっと前食べたな、だったら天丼の方が良かったか?
先程の店まで少し距離がある、ちょっと戻るのが面倒くさいなぁ。
やはり豚カツはやめる事に「もしかしたらもっと食べたい物あるかも、もうちょっと先まで歩くか」
散歩は続く、だがそっから住宅地になりお店が見当たらなくなる
「この辺はお店無かったか」
やはり豚カツ屋まで引き返す事に。
だが隆はこんな事を思う、だったら天丼にするか。
結局天丼屋まで再び戻って行く。
「えっ?ランチタイム終わっちゃったんですか?」
時刻は15時を過ぎていた。
値段が少し上がる事をケチった隆は天丼をやめてラーメンにする事に。「あっ、今日はやめておきます、また来ますね」
ラーメン屋に向かい「よ〜し食べるぞ〜」
するとお店の人が「すいません、昼終わりなんですよ、次は五時から始まります」
ギョッ、たじろぐ隆。
だったら天丼食べれば良かった、今更やっぱ食べますとは言い出しづらく諦めた。
「だったら豚カツ屋にするか」
先程までの道程をまた歩くのか?
隆は思った、何やってんだ俺は〜〜。
ぐぎゅるるるる〜
「ええい〜っ、全力疾走じゃ〜〜」豚カツ屋まで全力で走る男
This is takashi
ズギャアアアンッ、豚カツ屋も閉まっていた。
「ぬおおおおおおっん、俺の馬鹿ぁ〜〜〜」
こうして結局何も食べずにお家に帰ったそうな。
チ〜〜〜〜〜〜ンッ
こうして隆の休日は終わった。