冬馬君のアンラッキーデー
その日、冬馬君は学校から帰って来てこんな事を思った。
今日は僕のアンラッキーデーだと。
何かいろんな事がうまくいかずにから回るそんな日なのだ。
今日は家でのんびりしよう「ただいま〜」
「お帰りなさい」二階のベランダで母の正子が洗濯物を取り込んでいる。
「あっ、いけない」正子のそんな声に冬馬君はベランダを再び見る「あっ」正子は冬馬君のお気に入りのパンツを落としてしまった「げっ、泥がついちゃった、これ落ちるかな〜」
何故そのパンツがお気に入りなのか?そのパンツには冬馬君の大好きなスーパーヒーロー、イケイケゴーゴーの絵柄が入ってるからだ(その名前、どんなヒーローじゃ)
「あ〜僕のお気に入りの〜」怒る冬馬君
「ごめんごめん」
冬馬君はリビングで寝転び、漫画を読み始める「あ〜っこの学校終わった後の、くつろぎタイム最高なんだよなぁ〜」「そうだ、これにお菓子があればもっと最高だぞ」さっそく台所にお菓子を探しに行く。
だが、一つも見当たらないではないか。
すると正子が「ごめん〜今お菓子ないんだ〜」
「え〜っ」冬馬君は思う、やっぱ今日は僕のアンラッキーデーだと。
「いいもん、いいもん」漫画を読むのをやめ、二階にあがりお気に入りのゴム人形で遊ぶ事に。
「あれっ、イケイケゴーゴーの人形がない」(やっぱ思う、どんなヒーローなんじゃと、ただのパリピだったらうける)
「どうして?おかしいよ、ここに置いたのにイケイケゴーゴー」すぐに正子に確認しに行く「僕のイケイケゴーゴーの人形知らない?」
「どんな人形よそれ…知らないわよ、ママ触ってないよ」
「おかしぃなぁ〜」イライラしだす冬馬君、階段を上がる音が力強くなっている。
「も〜っなんでないの〜おかしいよ、絶対小人が意地悪してイケイケゴーゴー隠したんだよ」(どんなたちの悪い小人じゃ、それにイケイケゴーゴーは選ばんだろう)。
ちなみにイケイケゴーゴーのルックスは金髪に黒くこんがりやかれた肌、グラサン装着だったそうな(もう一度言おう、どんなヒーローじゃ)
「あ〜っもうイライラするなぁ、なんだよ」机の引き出しを力強く閉める。
「物にあたるんじゃないの、自分がだらしないからいけないんでしょ」こう言うときの一言はイライラを加速させる。
「も〜うるさいなぁ〜あっち言っててよ」
バタン、部屋の扉を閉める冬馬君。
「も〜怒った、部屋の中ぐちゃぐちゃにしちゃうもん」冬馬君の逆襲である。
「良いも〜ん知らないも〜ん」「しゃ〜しゃ〜しゃ〜」怒りを撒き散らすように散らかし始める。
ピンポ~ン「冬馬居ますか〜」親友の慎司がやって来た。「あっ慎司、いらっしゃいどうぞあがって」正子が玄関を開ける。
部屋の中から何やら奇声が…「しゃーしゃ〜しゃ〜」
ガチャ
二階の冬馬君の部屋を開いた慎司はビックリ、開けてビックリ玉手箱ホホイッ(なんぢゃ〜)
「何この部屋」
ギョッ、冬馬君は後ろに慎司が居る事に気付かず驚いた。
「いっ、今片付けるよ」なんだったのだ自分のこの怒りの逆襲は…全て自分に返って来てしもうた。
ようやく部屋を片付け、二人はいろんな話をして盛り上がる。
すると慎司が「家から持ってきたお菓子食べる」
なんとそのお菓子は冬馬君の食べたかったお菓子、慎司が持ってきてくれたのだ。
「ありがとう」
なんだか僕のアンラッキーデーも終わりかも。
「あっ」部屋の隅に探してた人形を発見。
「やった〜」叫びだす冬馬君、完全復活じゃい!!
二人は外で遊ぶ事に。
「いってきま〜す」
慎司が外に出た後で正子が「さっき落としたパンツ汚れ落ちて綺麗になったよ」
冬馬君は頷きガッツポーズを決めた。
きてる、きてるぞ自分のラッキーデー
「しゃ〜〜カマ〜ん(正子の泥酔時の真似)」
良いぞ良いぞ、きてます、きてます。
「行ってきま〜す」
鉄砲玉の様に勢い良く表に飛び出す冬馬君
青空が僕を呼んでいる!!
ガチャ
と、外に出たと同時に、ポトッ
え?
なんだ?
おおっ、おおっ、なんと頭に鳩の糞が落ちた。
冬馬君の頭に鳩の糞が落ちた
違う表現で言うと
頭に鳩のうんちっちが落ちた
頭にクソが
頭にクソ野郎が乗っかって来やがった
しかも勝手に乗っかってきた
お客さん無断乗車はやめてくだせぇ
バァ〜〜〜ンッ
なんと、冬馬君の頭に鳩の糞が無断乗車してしまったのだ。
「どうも、糞です、今日は快晴ですね」
冬馬君は歯を食いしばり空を見上げた。
「ヤツか、己のハッピーデー全てを奪い去ったのは」
「むきょ〜〜」怒り叫ぶ下界の子供を見て鳩は思った。
「どうだ俺の百発百中の糞落としの実力、見事だろベイベー、糞落としの鳩助とは俺の事だ、てやんでばろっちょ〜」
「あ〜〜っ快便快便がははははっ」
だが奴は知らない、冬馬君が後日、地域の鳩に餌をあげる当番であることを、言うまでもないが餌は何一つ貰えなくなる。
餌のない鳩助はしばらく糞が落とせなくなったそうな。
こうして冬馬君のアンラッキーデーと勝手に命名した一日は幕を閉じたのであったそうな。
チ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ンッ