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冬馬君の春と夏  作者: だかずお
6/35

楽しかったスーの家

チュンチュンチュンチュン

冬馬君が目を覚ますとそこは和室の部屋。

そうだスーの家に泊まりに来てたんだ。

見慣れない景色、いつもと違う部屋の香り、なんだか新鮮な朝な気がした。

隣には大喜や多網、きみ子が寝ている。

「くは〜〜っ、なんだかこの朝の感じやっぱ落ち着くなぁ」冬馬君は横でみんなが寝ている光景になんだかホッとする。

そ~言えば、昨日気付いたら寝てたなぁ。

冬馬君はまだ眠かったので、もう一眠りつく事にした。

再び寝たいだけ眠れるこんな朝の瞬間がたまらない。

リビングではサーとスーも寝ている、彼らもちゃんと夜の海に行った後無事帰ってきていた様だ。

「も〜飲めない〜」

のんびりと始まる朝、既にスーのお父さんとお母さんは起きていて台所で茶をすすりながら朝食を食べている。

お昼すぎにようやく子供達が起き始め「あ〜っ、サーとスーまだ寝てる」

「みんな朝ごはん食べるかい」スーのお母さんが声をかけてくれた。

昼飯の時間の朝飯なんだか昼飯なんだか(謎なんで中間飯にしよう)食事を済ませた後、多網が「海行く?」

「賛成〜〜」子供達はスーの家から近い海へ歩いて行くことに。

「海が近くにあるって良いよね」きみ子が言った。

「この磯の香りがたまらん」鼻をヒクヒクさせている。

空は青空、空気が美味い、潮風がなんだか心地良い。

海が見えてきた「わあー海だ」「やっぱイイなぁ〜海は」

海を見たらなんだか夏が一瞬で来た様な気がして嬉しかった。

「はやく夏休み来ないかなぁ」冬馬君が言う。

「夏休み海絶対連れてってもらおうよ」大喜もアゲアゲテンションマックスだ。

さっそく多網が靴を脱いで素足で海に向かって走り出す。

そして、海の中で何かを拾い頭にのせた。

なんじゃ?

なんと多網は海藻を拾い自分の頭にのっけたのだ。

「パーマ多網」なんじゃそりゃとみんなは大笑い。

気付けばみんな靴を脱ぎ海に膝まで入っている「冷たい〜〜」

すると今度はきみ子が何かを拾い顔にくっつけこっちを向いた。

なんと額に貝殻をつけていた、そして「第三の瞳開眼、名付けて貝殻きみ子」訳のわからない行動に再び笑わされた。


「海最高〜〜」子供達は一足はやく夏を満喫中である(現在四月)

その頃、サーとスーはまだ夢の中、ぐうすかぴ〜〜気持ち良さそうに眠っていた。


夕方頃サーが「そろそろ帰るよ、明日はスーも仕事始まったばかりだし一日ゆっくりしたいでしょ」

「確かに、明日の休み中に仕事を覚えなきゃいけないんだった」小さなため息をつく。あ〜〜明日の休みが終わったら5連勤だ〜。

「でも、せっかくだしみんなで夕飯だけでも食べに行こうよ」

スーの提案に子供達は大喜び。

「焼き肉食べ放題なんてどう?」

その言葉に多網ときみ子は飛び跳ねた〜〜「むきょ〜うきょ〜」

さっそく家の中で筋トレを始める。

「でたぁ〜多網ときみ子の食べ放題前の習慣」冬馬君と大喜は笑った。とにかく運動して腹をすかせ限界まで食す事を考えるのだ。きみ子は腹筋を始め、多網は腕立て伏せである。

一時間後、出発する頃には奴らは二、三日餌を与えられなかった猛獣の如し、目は血走り、飯を求めていた。

「肉〜よこい〜〜」

車の中で大喜が多網ときみ子にこんな質問をする「今何食べたい?」

二人の頭に食べ放題メニューが浮かぶ。

多網が「カルビ、ロース、ハラミ、肉、肉、肉」ヨダレがでる。

するときみ子が「サラダに、ご飯に、野菜、デザートも食べまくれる」

「くうおおおおたおおおっ」待ちきれなくなったのか二匹の猛獣は雄叫びをあげた!!

頭の中に焼かれている焼き肉様の姿が浮かびピークを迎える

「わきゃおおおおおっ」(どんな生き物じゃ)

頭の中で焼けた肉をタレにつけ食べる瞬間をなんどもイメージトレーニングした(どんなトレーニングじゃい)。

そんな二人を見ていた冬馬君もなんだかお腹が減ってきた。

「楽しみだね」

ブゥぅ~~ンそして焼き肉屋に到着。

着いた瞬間、鉄砲玉の様に飛び出した二人、既に受付を済ませている。こんな時の二人の行動は速い。

席に着いた瞬間、二人の猛獣はスーパーの特売セールに通うおばちゃんのごとく、服ならぬ肉を奪い合ったと言う。

「落ち着いて多網、きみちゃん食べ放題だから」「ここ取り合いの場所じゃないから」そんなスーの言葉も何も耳に入っていない。

近くの子供が文句を言っていたのを冬馬君は聞いた「ママあの二人が肉全部持ってっちゃったよ」それもそのはずである、奴らは置いてある皿ごと持ってきやがったのだ。

多網ときみ子は網の上、敷き詰めギュウギュウに肉を並べて焼いている。どしぇ〜他のもの焼くスペースがない!

も〜この焼いてる時がたまらん、はやく口に、はやく食したいのじゃ〜〜、ジュウウウウウッ、はひゅ、はひゅ。

二匹の猛獣の目は肉をうつらな瞳で見つめている。

そしてすかさず皿にタレの準備。

そして、ガッ横から片っ端から肉をむさぼるように取り食い始めた。ガッガツガツ「うみゃ〜〜最高〜至福〜〜」

「すっすごい、食だね二人」さすがにスーも驚いている。

この二人普段飯をちゃんと食べさせてもらっているよな?そんな心配が頭をよぎる程だった。

「うみゃ〜〜うみゃ〜〜」

「うおおおおっ感謝感謝感謝感謝感謝感謝感謝」すげえ食い方である。

ご飯に、サラダにスープに食べまくっている。

サーとスーはのんびり語りながら食べている「いよいよ明後日から仕事本格的に始まるんだね」とサーが言った。

「そうなんだよ、まだ何にも分からないし、最初だから人間関係も中々大変だよ」「やってくうちに慣れてくるよ」

「そうだと良いけど」「なんか僕ら同じ職場だったら最高だね」

「そりゃ最高だ、それだったら仕事本当に行きやすいだろうなぁ〜」そんな話をしている。

すると多網ときみ子が同時に席を立つ。

冬馬君と大喜は顔を見合わせ「出るよこれは」すぐに後を追っかける。

キョトンとしているサーとスー「どうしたんだろう?」

そう冬馬マニアの諸君ならご存知であろうこの展開。

そう行き先はトイレ

いっせーーのブリブリブリブリブリブリブリブリ〜〜

一気に放出して少しでも食べようとする健気な(どこがじゃ)作戦なのである。

二人は再び肉を焼き始めた。

冬馬君と大喜はもうお腹いっぱいデザートのアイスを取りに行き食べている。

「いやぁ〜でもこの週末みんなが遊びに来てくれて良かったよ」とスーが言った。

「おかげで仕事頑張ろうって気持ちになったよ」

「それは良かった」それを聞いてサーもニッコリ。

「また明日から新しい一日を頑張りますか」

「お金貯めて、そんでまたみんなで旅行行こう」

「おーーっ」

「その旅行企画が僕の最近の楽しみになったよ」スーの瞳がキラキラ輝く「僕も同じだよ」「よーし頑張るぞ〜〜」男達に気合いが入る。

そして別れの時「あ〜楽しかったなぁ、みんな来てくれてありがとね」スーの家の前にお父さん、お母さんも出て来てくれた。

「みなさんまたいつでもいらっしゃって下さいね」

「こちらこそ色々お世話になってしまってありがとうございました、これ良かったら食べてください」サーはお礼に買ってきたお菓子を手渡した。

「あらお気を遣わないで下さいよ」

「ありがとうございます、お家が賑やかになってとっても楽しかったですよ、また来てくださいね」

子供達も手を降っている「お邪魔しました〜また遊びに来ます」

車に乗り込む一同。

スーが近づいて来たので窓を開けるサー。

「みんなありがとね、また遊びに来てね」

「もちろん、スーも仕事楽しんでね」

「うん、分かった」

「みんなも元気で、じゃサーもまたね、みんな気をつけて帰るんだよ」

「うん、ありがとう、またね」

この別れの瞬間がなんだかいつも寂しくなる。

「じゃまたね〜〜」子供達はいつまでもスーに手を降っていた、スーもずっと手を降ってくれていた。

ブウううんんっ〜〜、車は走り出し段々小さく小さくなっていく。

いつまでも車を見つめていた、そして見えなくなってスーは家に入った。

ああ、楽しかったなぁ。


さて、仕事のノートを見直して勉強するか。

こうしてみんなで過ごした楽しい週末は終わり、新しい一週間が始まる。




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