スーの家で過ごす夜
スーの家での夜の宴は続いている。
「ひやっほ〜みんなで過ごせるこの瞬間たまらない〜」喜びのあまり飛び跳ねている冬馬君
そして、さっきまでは落ち込んでいたこの男も今やすっかり酔っ払い、ご機嫌である「人生はパラダイス〜〜」言わずと知れたスーである。
「仕事がなんだぁ〜レベルナナがどうした〜〜、なんとかなるさぁ〜〜」
「いいぞ〜そのイキだス〜」煽る一同。
「生きてるから悩むんじゃい、それがどうした〜行くよ〜」きみ子が拳を前に突き出した。
「出るよ恒例の」大喜が笑う
「ファイ ファイ ファイ ファイ」きみ子の拳が交互に突き出される。
子供達がスーを囲み「ファイ ファイ ファイ ファイ」
なんじゃ〜この儀式は〜〜、スーは何故か「やられたぁ〜」と攻撃を受けてるリアクションをしている。
「でも、みんなのおかげで少し元気になったよ、これから仕事でも怒られたり、失敗したりするかも知れないけど、それがどうした〜〜失敗したって良いじゃない、怒られたって良いじゃない、人付き合いうまくいかなくたって良いじゃない」
そんなスーの言葉にサーは「そんなの僕毎日だよ、毎日怒られたり、失敗してるんだから、仕事の人との付き合いも全く出来てないよ、えっへん」(威張る事ではない)
冬馬君は思った、そっかみんな悩みあったりするよな、僕だけじゃないんだ、悩んでたって良いんだ。
なんだか自分のする事や感じる事を否定しなくなる事で心が軽くなった様な感じがした。
良いじゃない、生きてるんだもん、悩んだって、怒ったって、心配したって、喜んだって、嫉妬したって、不安になったって、恥ずかしかったって、そんなの当たり前じゃないか〜燃えるサー。
するとスーが「でも僕、根暗だからきっと嫌われるよ」
すると多網が「根暗だって最高」
「え?」そんな発想思った事無かった。
「みんな違う個性、それで良いじゃん、否定してくる人が小さい人だよ」ときみ子
ぬおおんっ、なんだか今日の多網ときみ子ちゃん凄い、スーは思う。
「そうだよ、性格に良いも悪いもないじゃん、勝手に自分がダメって思ってるだけ」と大喜
なんだ子供達すげぇ〜〜、驚くスー、ノートにメモるサー。
冬馬君も感じるものがあった。
僕もこーゆう自分の性格駄目だなぁとかずっと批判してたけど、そっかこんな自分でも良いのかも。
「自分が自分を認めなきゃ可哀想だよ」きみ子のその言葉に冬馬君はいつかの犬おじさんの言葉を思い出した。
自分が自分を認め、大切にしないで、愛さないで、いったい誰に認められ、大切にしてもらい、愛してもらおうって言うんだい?
そうだよなぁ、自分をもっと好きになりたい、いや、好きになる。まずは自分をそんな好きじゃない自分も愛してあげよう。
冬馬君もみんなの言葉にそんな事を思った。
「ファイ ファイ ファイ ファイ〜〜」
「確かにどんな性格も見方を変えたら長所にも短所にも変わるとこあるよね」サーが言う。
「良いじゃん、ありのままで」
きっと、ありのままで居るのが恐いのは過去にありのままを受け入れられなかった経験があるからかも知れない、でも周りの人は変わった、さあカモン!!嫌われたって良いじゃない〜〜君のまんまでオールライト〜〜(なんだ今回の話は、いつになく真面目回なのだ)
更にアガルみんなは飛び跳ね「ファイ ファイ ファイ ファイ」宴は続く。
「やっぱみんなは最高だなぁ〜」にんまりスー
「スーも最高だよ」と冬馬君
「それに今日は」続く大喜
「スーの家に泊まれる〜〜旅行〜〜」
「ひやっほ〜〜」酔ったサーがジャンプして言ってみたが、誰も反応しなくて焦ったった。
「いっ、いやあ、やっちゃった」
「アッハッハ」みんな大笑い。
やっぱり良いなぁ、このみんなで過ごす時間は冬馬君は思う。
時刻は23時を過ぎていた。
「みんな大丈夫?まだ寝なくて」
サーのその質問にきみ子が「ねぇ、そろそろ夜中の語り合いの時間じゃない」
子供達は顔を見合わせた。「そうだ、その楽しみもあったんだ」
一斉に布団の敷かれた和室の部屋に向かい出す。
リビングに残るサーとスー
「じゃ僕らも大人の語り合いやろうか?」スーが言う。
「そうだね、寝るにはまだはやい」
子供達は和室に入り、早速布団の上に寝転ぶ「たまらない〜〜」大喜びの冬馬君と大喜ははしゃいでいる。
「今日は何語る?」きみ子がみんなを見渡して言う。
「最近あった面白い話」ニヤリ多網がほくそ笑む
興味津々の大喜が「その顔なんかあったの多網?」
「こないだ、きみ子がうんこ踏んだ」
一瞬の沈黙、ギョッ焦る冬馬君と大喜、きみ子は平気でプップこくくせに、うんこネタは厳禁なのだ。
不愉快な表情のきみちゃん、まずいと思った冬馬君がきみ子に話を振る「きみ子はなんかあった?」
「え?私、そーね。あんまり笑えないかもだけど、こないだ虎鮫代ちゃんが硬直して二時間動かなくなった」
いや、それかなり笑えるんだけど。
いったい何があったんだ?
「冬馬君は?」
その時冬馬君はハッとした、そうだすっかり忘れてた。
こないだの幽霊マンションでの怖い出来事をすっかりみんなに話すの忘れてた。
「面白い話じゃなくてこないだ不思議な怖い体験したよ」
怖い話と知り目をカッと見開き真剣に聞き入る多網
大喜ときみ子は布団を少し上に引っ張った。
冬馬君がこないだの出来事をみんなに話し終えると何故か拍手で出迎える多網
「それかなり不思議な話」ときみ子。
布団の中みんなの会話は盛り上がっている「なんかこーやってみんなで過ごすの前回の旅行以来だね」きみ子がこないだの旅行を思い出し懐かしむ。
「うん、バーでさつきさんに恋したスーが懐かしい」
「それに泊まったところのあの温泉良かったね」
「あの場所また生きたいなぁ」
「しかしスーの家も落ち着くよね」
のほほんとくつろぐ子供達、かは〜ったまらん。
「そう言えば二人は最近、清香ちゃんとアミちゃんに会ってるの?」きみ子のいきなりの質問にドキッとする冬馬君と大喜。
「全然会ってないよ」
「たまには誘ってあげないと」
「そっ、そうだよね」照れながらなんだか嬉しい二人。
布団の中みんなで語る恋話もまたたまらんのじゃ〜、好きな人の事を話題に出来るこの空間が嬉しかった。
冬馬君は清香の表情を思い浮かべ胸がドキドキしていた。
その頃サーとスーはと言うと。
「何言ってんの最後にボーリング勝ったの僕だよ」
「何言ってんの僕だよ」大好きなボーリングの勝ち負けで争っていた。
「また旅行行きたいね」
「僕も仕事初めたからお金貯めるよ」
グビッ、語りながらのビールは進む。
「まっお互いそんな必死にならずに楽しんで生きようよ」
「そうだね」
さきいかをクチャクチャ食べながら男達の穏やかな時は流るる。
その頃子供達の部屋では、多網が突然立ち上がりだす。
「どうしたの多網?」気になった冬馬君
「うんち」そう言い残し多網はトイレに向かう、するときみ子が「トイレ前でスタンバって驚かそうよ」三人は顔を見合わせニヤリと笑った。
三人は静かに廊下を歩き、トイレの前で息をひそめて立っている。その間、くすくす笑い声を我慢するのに必死であった。
ジャ〜水の流れる音が「さあ出て来るぞ!!」身構えた三人
ガチャ
「バァ〜〜〜〜〜」
三人は驚かせる為、一斉に本気で叫び飛び出した。
「ぎゃあああああっ、ぐはっ」
「え?」
トイレの中、なんとスーのお父さんがひっくり返っていた。
「あれっ多網は?」
多網はトイレが使われていたのでリビングでサーとスーと一緒にさきいかを食べていた。
「ごっ、ごめんなさ〜い」冬馬君達は和室に走って戻って行く。
多網が部屋に戻って来た後もみんなの夜中の語り合いは続いて行く、久しぶりの会話は尽きる事なく盛り上がっている。
途中多網ときみ子の屁についての語り合いにはかなり笑わされた。
深夜二時を過ぎた頃、さすがに眠気が冬馬君にやってくる。
まぶたが自然に閉じてくる、それを見つけた大喜が「ワッ」と起こす。
「あっ、眠るところだった」冬馬君が焦って目を開くと「居眠り交代ごっこしようよ」多網がまた謎の遊びを発案。
「何それ?」と冬馬君
「一人だけ起きて、十分交代ずつでその間、他の人は眠る」(どんな遊びじゃい)
「良いね〜やろう」ちょうど眠たかった冬馬君はこれで寝てしまっても起こして貰って、まだ遊べると嬉しくなる。
「じゃんけん負けた人が最初に起きてる事にしようか」きみ子が提案する。
「よ〜しじゃんけんぽん〜」なんと負けたのは冬馬君
まさか自分が負けるとは。
「冬馬じゃ十分後に起こしてね」穏やかな顔をして大喜が目をつむる。
「うわぁ〜良いなぁ。とりあえず時計を見てなきゃ、しかしなんだこの遊びは、それにしても、こんな時は十分が長い」
ウトウトしてくる冬馬君、みんなを見ると多網もきみ子も気持ち良さそうに眠っている。
冬馬君のまぶたも勝手に閉じてくる「駄目だ寝ちゃ」必死に目をこする。なんとか五分が過ぎた「よしっ後、半分」
残り二分の頃、男は寝ていた。
こんなふうにしてスーの家お泊りの夜は更けていったとさ。