ウブドへGo
天気は少し曇っていたが、バリと言う異国、リゾート地を走る車の中でみんなのテンションは上がっている。
少し中心街を離れると、今まで見ていた雰囲気とはガラリと変わり出した。
目に映るのは沢山の木々、昔からそこにあるだろう手付かずの自然、先程まで沢山あった賑やかな店や喧騒などは姿を消し、今は自然が中心となり土地を育んでいる。
「建物がなくなって自然ばっかりになった」冬馬くんが車の中から外を見つめ口にした。
「こう言う景色に自分はホッとします」ガイドのテセンさんが言う
「ウブドはまた皆さんの止まってるホテルの周りとは違った雰囲気を楽しめますよ」
きみ子はテンションが上がり、毎度の様に車の中で歌い出す。
「イッツ オートマティック〜〜」
「出たぁ〜宇多田きみ子だぁ〜」子供達はきみ子に続けと言わんばかりに大はしゃぎ
そんなノリが終始続き、車はウブドに到着する。
時刻は13時を過ぎた辺り。
隆が食べたかったバビグリン(豚の丸焼き)と言うバリの伝統料理を食べ、一同ご満悦である。
「あ〜食べたかったモノが食べられて満足だ」隆も嬉しそう。
もちろんビールと一緒に食べたのは言うまでもないが。
「じゃあこの辺はショッピングも出来るので、皆さんもぶらぶらしたいと思いますので、一時間後にここで再び待ち合わせしましょう」
「はーい」
辺りを歩くと沢山のお店が路上に出ている
「清香ちゃんとアミちゃんに何かお土産勝ってあげなよ」
きみ子の一言に冬馬くんと大喜は目を光らす
「それは良いね」
二人はそれぞれ違うキーホルダーを選び買っていた。
「中々良いセンスしてるじゃん二人共、私が言うんだから間違いないよ」
そう言ったきみ子は、顔の崩れたゴリラだか、猿だか、なんだか分からない得体の知れないぬいぐるみを手に握っていた。
ニタニタ笑う多網がそこにやってくる
手には更に気味の悪い、持ってたら絶対呪われるんじゃないか的な、赤い服を来たおっさんだか地縛霊だか怨霊なんだか分からない不気味な存在のキーホルダーを手に握りしめている。
奴はこう言った「買ったった 買ったった」
買い物を終え、再びテセンさん達と合流
「では次は観光名所の棚田に行きましょう」ガイドのテセンさんが言った。
「ライステラスです〜、そこではコーヒー飲めるカフェもあるんで是非美味しいコーヒーを飲みながらブランコもあるんで乗りたかったらブランコも乗って見てください」
棚田を眺めながら「ジャコネココーヒー」
ブゥゥゥ〜ン
目の前には黄緑色の田んぼが広々と広がっている
そこにはカフェもあり
店員さんがコーヒー、そしてケーキを持って来てくれたのだが、小さなハチがたかってきて、慌てる正子と多網ママ
「きゃあ来たっ、ヤダっ」
「大丈夫ですよ」テセンさんが店員さんに何かを伝えると、店員さんがお香みたいなのに火を付けて煙りが出る
「大丈夫、これでハチは来ませんから」ニカッ
その後も何の効果も無く変わらずハチはたかっていたのだが。
ライステラスを堪能した一同は続いてゴアガジャと呼ばれる遺跡へ
今日朝から一日時間を共有しているテセンさんとも、すっかり仲良くなり、なんだかこの時には、昔から知っている家族の様な気すらした。
テセンさんは本当に優しい人だった。
「ここからの眺めが最高です」
「写真撮りますよ」
それは先程の棚田での時
「テセンさんも一緒に写ろうよ」と子供達
「え、私もですか?」
「そうですよ、記念ですよ写って下さい」大人達も声を掛ける
最初は照れていたテセンさんだったが「じゃあすみません」ニコッ
そして「僕の携帯でも皆さんとの思い出の為に撮っても良いですか?」
「もちろん」冬馬ファミリー一同もニッコリ、テセンさんのそんな言葉が嬉しかった。
旅での一期一会、もう出会う事もないかも知れない出会い、そんな出会いもなんだか嬉しい。
きっと思い出にはいつまでも残るだろう。
そして
「さて、もう時間もそろそろなので、ホテルに帰りましょう」
もう、外も日が暮れ始めている。
帰りの車では子供達は疲れて眠ってしまっていた。
ただ寝ぼけながらも車から目にした美しい夕日はいつまでも心に残っていた。
次に冬馬君が目を覚ました時はホテルのロビーの前だった。
「今日はありがとうございました」テセンさんと運転手のドライバーの人がニッコリ微笑んでくれる。
隆とサーは「少ないですけど気持ちです」と二人にチップを渡していた。
また会えるかな、そんな事を冬馬君は思う。
「それじゃあ、皆さんありがとうございました、また滞在中何処か観光したい時は是非連絡して下さい」
二人は帰っていった。
また違うバリの一面を見れ、バリを楽しめた充実な一日だった。