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冬馬君の春と夏  作者: だかずお
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バリでのディナー

再びサーが目を覚ました頃にはスコールは去っていた。

「あれ、僕いつの間に寝ていたんだ?(気絶していた)」

時刻は20時。

すると部屋にノック音が響き渡る。


「サー起きた?」声の主は子供達


「起きたなら、みんなでホテルの前の通り歩いて、夕ご飯食べに行こう」


ぎゅるるるぅ〜 腹は減ってる

「うん、行こう」


こうして一同ホテルの外に夕飯を食べに行くことに。

初のバリでの夜の散歩と言う事で、少し皆は緊張している。


「そんな危なくはないですよね?」心配そうに隆が言う。


「大丈夫でしょ」と正子


初めての国での初日の夜の出歩きは少々緊張する模様。

「まぁホテルの近くですし大丈夫ですよ」多網ママも続く。


ホテルの外の通りを歩いてみると、辺りから流れる賑やかな音楽の音に一同は安心すると同時に驚いた。


「わぁ〜賑やかだなぁ」


至るところのお店で生演奏をしている。

「こんな大音量で街に音楽が流れてる、こりゃ、最高〜〜」テンションの上がる子供達


「お祭り」ニンマリ多網


「これだけお店あると、何処で食べるか迷っちゃいますね」とサー。


ここでいつも出番の無い多美が突如割り込んでくる

「ちゃ〜〜〜〜〜〜〜」(私の出番じゃ〜)

どうやら満足した模様。


「バリの夜っていつもこんな賑やかなのかな?良いなぁ」異国で日本とは違う、非日常を感じた冬馬君はなんだか夢の中に居る様な感じがした。


「やっぱり海外に来ると、また違った物の見方が出来て、新鮮な気分になりますね」隆がしみじみ言う。


「そうですよね、国によって常識も違いますし、自分達が普段凄いとらわれてる事がなんだか、外出ると、どうでも良く見えたり、新たな視点で物事が見えますね」サーもなんだかバリの夜の街に感化されている様である。


するときみ子が「みんな、あそこのレストラン、プールもあるし、生演奏してるし、食べ物も美味しそうだしどう?」


「賛成〜〜」


そこのお店は外にパラソルとイスが用意されていて、外で食べられる様になっており、目の前にプール、その横では生演奏までしているお洒落なお店だった。

と言う事でホテルのすぐ近くのお洒落なレストランで初日の夜の夕食を食べる事に決まった。


入り口では若いバリのお姉さんが「いらっしゃいませ〜」と優しい笑顔で声をかけてくれる。


「凄いね、良く日本人って分かるなぁ〜」と感心する冬馬君


「確かに」と大喜も頷いていた。


席から少し離れた前方では、ギターにボーカル、ベースにドラム、生演奏が繰り広げられている。


「アガル」ボソリ多網もテンションが上がっている様だ。


目の前のプールでは観光客だろうか?泳いでる人達も居る。


「いやぁ〜生演奏にビール最高ですなぁ、それにこの光景日本じゃあまり見れない」早速バリのビール、ビンタンを手にした隆がニンマリ微笑む。


こうして大人達の乾杯も始まる「乾杯〜〜」


「これが初日の夜だもんね最高〜〜」大喜が言った。


「やったーまだまだバリ旅行始まったばっかだよ」きみ子も嬉しそうである。


そうそうこの瞬間本当ににたまらない、も〜最高過ぎる、冬馬君と多網もニタニタ笑っている。


「さぁ〜楽しもう〜〜、しかも夏休みもまだまだ始まったばっかだよ」冬馬君の言葉に子供達は、そうだ夏休みもまだまだ始まったばかりだ!と思い出し、テンションはとどまる事なく上がりっぱなし。


バリ旅行初日のディナータイムはこうして幕を上げる!!


多網が正子と母親を見てボソリ「テキーラは?」

「まだ飲みません」即答であったそうな。

(毎度旅行で飲んでは、行き過ぎてしまい問題を起こす二人はまだ抑えていた)


「あ〜この気候で飲むビール最高ですね」サーはビールを口に含み異国情緒を感じては、最高の気分に浸りだす。

ここは南国リゾートじゃい!!

あ〜も〜いっその事、ここで暮らそうかな。

帰って仕事したくない(正食者なサー(笑))


メニューを見てはバリ料理を注文する一同。


演奏してるバリの人達が冬馬君達に気付き、気を遣ってくれたのか、日本の曲を演奏してくれた。

それは『上を向いて歩こう』だった。


この気遣いに上がる冬馬ファミリー

すると突如、きみ子が立ち上がり歌い出す

「うっえ〜をむ〜いてあ〜るこ〜〜うおぅお」


これに続く多網「涙がこぼれ〜ないよう〜に〜」


恥ずかしがる他の一同は手拍子に逃げる



まさかの店員からの「歌って、歌って」


「恥はかき捨て、世は情け」なんちゅ〜言葉を知っとるんじゃ


これに焦った大喜が続いてしまう「かなし〜みは雲の上にぃ〜」


ギョッとする他のメンバー、この展開は皆歌わされる?

この空気を読んだサーはビールを一気飲みして立ち上がる

後に残れば残る程まずいっ!先に行かなければ、彼の本能がこの危機を叫んで知らせていた。


「上をむ〜いてあるこ〜ぅおぅお〜」


なんと他のお客さんまで手拍子して煽り出している、やばいっ、やばいぞっ冬馬家!!


取り残された、冬馬君、正子、隆、多網ママは気が気で無かった、もう良いですよね、止めましょう。

歌えませんよ、こんな数の人の前で。


その時だった、冬馬君が頑張ってしまったのだ。

「思い出す、は〜るの日、独りぼっちの〜夜〜」


ギョッとしたのは残された三人


周りのお客、バンドメンバーは、はよ歌えとチロチロ見始める。

これはやばいぞっ、ヤバイと思った、正子と多網ママはグビリビールを一気飲みそして


「うえ〜をむ〜いてあ〜るこう〜おっお涙がこ〜ぼれないよ〜おっお〜に思い出す〜夏〜の日(もはや歌詞が合ってるかは知らない)」


この展開に失禁しかけている男の名は隆


嘘だろ?歌ってないの自分だけ?なんだこの展開は?

嘘だろ!?

歌わなきゃいけないのかっ?

なんで?バリに来てまで?なんで……

男は半ば半狂乱となる。


そしてなんとクライマックス、一番美味しいところでボーカルは歌うのを止め、客は隆を見つめ、その場は一体となり

隆にスポットライトが。

きみ子と多網以外の、他のメンバーは思った

自分でなくて良かったと………


し〜〜ん


隆、自分、自分よ、えっ?私の名前は隆だっけ?

男はおかしくなったった。

正気のサタではない。


ヤバイっみんな、みてる


も〜駄目だ


くそっ、ええい、清水の舞台から飛び降りるしかない!!(毎度こんなシチュエーションで迫られる想いである)


そして、最後の一人ぼっちの〜夜 と言えば良いところスポットライトを浴びた隆は緊張したった。

緊張し過ぎたったのだ。

本当に緊張しすぎたったのだ!!(クドいっ)


「坂本九」と何故か男は訳のわからない言葉を囁いていたのだった」


唖然とする一同


ひっくり返るボーカル


ズギャアアアンッ(凄まじい効果音)


そして



ち〜〜〜〜〜〜んっ



ちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

目立とうとした多美の叫び声がせめてもの救いだったそうな。


全店員、お客さんの注目は隆


ディス イズ 隆



ち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ


ち〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んっ







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