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冬馬君の春と夏  作者: だかずお
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部屋で過ごすスコールナイト

ホテルのプールで泳いでいた時だった。

ザアアアアアアアアア〜〜


空は真っ暗になり、突然の激しい雨と、雷が光りだす。

子供達はこんな状況にテンションがあがる。


「凄い雨、空光ってるし、雷も鳴りそうだよ」と、きみ子


プールの中に激しく降っては落ちてくる大量の雨粒

多網は「滝〜」と言っては喜んでいる。


「なんだか凄い天気」旅先でみんなと一緒に居る時の、こんなシチュエーションに冬馬君のテンションはなんだかあがる。


しかし、この男は違う。

言わずと知れた多網の父、サーである。

うっ、嘘でしょ?異国で雷様、これ、これってやばいんじゃないの? 極度のビビリと雷嫌いの男は内心テンパり初めていた。

外面は平静を保って見せてはいるのだが、ビビって男根から、ちっちは飛び出そうだった(やあ)。


「凄い雨だし、一旦部屋に戻りますか?」と多網ママ


「そうしましょう」と隆が頷く。


こうして一同はプールから出て、部屋に戻る事に。


「スコールって言って、バリではいきなり天気が荒れることがあるみたい」正子が言っていた。


部屋に戻り、シャワーを浴びてベッドで横たわる子供達

外は依然激しい雨が降っている。


ザアアアアアアアアアアアアアァ〜〜


「外真っ暗だね」大喜は部屋の中からベランダの外を見つめている。


「でも、やっぱ旅先の部屋でのくつろぎ時間もやっぱ和むね」と冬馬君


そんな中、ニンマリ笑い出したのは多網

「このタイミングはやっぱり」


でたぁ〜毎度恒例怖い話大会だぁ〜〜


直ぐ様、部屋の電気を消し、布団に潜り、冬馬君と、大喜は「やろう、やろう」テンションアゲポヨマックスである。


「本当に今は便利な時代」そう言ってきみ子が自慢気にスマートフォンを取り出す「ホテルのWi-Fiにつなげて〜の、ユーチューブにつなげ〜の、怖い話検索し〜の」凄い手際の良さである。


多網がスマートフォンの画面を覗き「これこれ」


でたぁ〜ピナ川淳二の怖い話〜 最高、まさかバリのホテルの部屋で聴ける時代になったとは、良い時代や!子供達は感動して泣いた(どんなガキ共じゃ)。


シャワーを浴びて、部屋に入ってきたサーは、スマートフォンから流れる音に震え上がる。

うっ、嘘だろ!こんなシチュエーションで怖い話なんて、反則だよっ、しかも電気まで真っ暗。

そして彼は思った、なんで海外に来てまで君達はそれなんだと。


その時、外が激しく光る。


ピカッ


ゴロゴロ〜〜


スマートフォンからは「もう随分昔の事になるんですが…」とピナ川さんの声が勢い良く流れ出す。


サーは子供達に提案する「ユーチューブで何か他のアニメ観ようよ、サザエさんとかさ(こんな時はサザエさんが和むんだよ)」


「ちょっとサー静かにしてっ」

即却下された。


ザアアアアアアアアアアアアア〜〜


ピカッ


ゴロゴロゴロゴロ〜〜


サーは思う、うわっ、光って音すぐ鳴ったよ、雷様(一応祟られないように様をつけて呼んでいる)相当お近くにいらっしゃられる(どれだけ敬っているんじゃサーよ)。


「そうそう、このシチュエーションでの怖い話はなんかアガるんだよね、しかも外国で稲川淳二聴けてるのが凄い」冬馬君は異国のバリに来てるのに、日本語のユーチューブを見れ、日本の様に過ごせるのもなんだか嬉しかった。(一昔前に比べると本当便利な時代になったものである、ありがたや〜)


サーも怖いので、ベッドの布団にくるまろうとベッドの上に向かう。

すると、きみ子が「あれ?おじちゃん眠いの?いきなりベッドに入るなんて、まさか怖かったりして」


絶対にこんな事で怖がってると思われたくないサーは、すぐに平気な顔をして言う

「いやぁ〜全然怖くなんかないけど、ちょっと少し寝るのも良いなぁなんて、本当怖くなんかないんだよ(何回言う)あはは」


ちなみに、多網ママと多美は先程の買い物で買ったお菓子を食べに隣の部屋に行っている。


ピカッ〜〜 辺りが明るくなるほど空が光った


「うわっ、今凄い光った〜」大喜が声を上げた。


スマートフォンからは「その時背後にその女の幽霊がっ」


ゴロゴロゴロゴロ〜〜


「うわああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜っ」

その情けない悲鳴の主は子供達ではなく、サーだった。


「おじちゃん、もしかして今の悲鳴?」


「うわああ〜〜〜〜〜〜〜〜っとっ、トイレはあっちだったかなぁ〜」

上手くごまかせた(上手いか?)


だが男はそのせいでトイレに行かなければならなくなってしまった。

このビビリの男は今や布団から出るのすら怖かったと言われている。

「あっトイレはあそこか、そうだった、今はいいや」一応一人ボソボソこんな事を呟いていた。


外は真っ暗、激しい雨と雷鳴がとどろき、部屋の中で流れるのはピナ川さんの怖い話。

こんなシチュエーションでベッドから出たら危険だ、命に関わる、サーは思う(どんなビビリじゃ)


その時予想外の出来事が……


とんっ とんっ 部屋の扉を叩く音


「え?」子供達は顔を見合わせた。


「今ノック聞こえたよね?」きみ子が布団に潜って言った。


「うん、聞いたよ、絶対に幽霊だよ」

冬馬君のその発言にサーの男根から、おチッチが噴出されそうになったが、四十を過ぎてる男は頑張ってこらえた、ここで漏らしたら国際的赤っ恥をかくことになる。


四十過ぎの日本人、バリで部屋のノックにビビリ、おしっこ漏らしちゃったと新聞の記事に載るのだ(載るか!)

だがサーは直後に思い直す、ウンコじゃないからまだ良いかと。


ザアアアアアアアアアアア〜〜 サ〜〜〜


コンコン


「ヒイイイイイイイッ」部屋に居る全員は叫び、布団に潜り込む。


「おかしいよ、やっぱ幽霊だよ」


多網も目を見開き「バリの幽霊」と震えている


まぁ言わずがな、一等震え、怖がっているのはこの男、男根チッチマンである(この頃には、もはや名前をサーとも描写されなくなっとったそうな)


ごめん、もう漏らしちゃう マッマ〜〜〜


心の中、そう叫んだ瞬間だった。


「みんな居るんでしょ!こっち来てお菓子食べない」それは多網ママの声だった。


一斉に「食べるー」とベッドから走って逃げる様に部屋から出る子供達。


この時、ミスターチッチマンは逃げ遅れてしまったそうな。


「まっ、待って」


時既に遅し


皆の去った後、ベッドから出るのすら怖くて動けないサーを残す部屋では、雷鳴とピナ川さんが、これでもかと言うくらい容赦なく流れ

なんとも哀れな男、ミスターチッチマンは叫んでいた「マッマーーーーーーーーーー」


そして彼はこうトドメをさしたそうな。

「案外今、あなたの後ろに異界の者が居るのかも知れないですよね」


「ぴぃいいいいいいッ〜〜、せめてユーチューブ止めてって〜」


ち〜〜〜〜〜〜〜〜ん


こんなのもバリ旅行の一幕であった。




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