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冬馬君の春と夏  作者: だかずお
21/35

バリに到着

バリに向かう飛行機は途中、フィリピンで乗り換えとなる。

現在機内は乗り換え地点に到着するところ。


一同は焦っていた。

飛行機遅延の為、乗り換えが間に合わなくなる事を、もし間に合わなければ、明後日の夕方までフィリピンの空港に滞在しなければいけなくなってしまう。


正子は心の中思う、速くっ、はやくっ、急いで〜〜〜、ホテル代が無駄になってしまう、ってか、飛行機会社が悪いんだろ、ちったぁ弁償制度くらいつくれやぁ〜〜、酷いだろ〜〜と怒っていた。


みんなそんな焦りを持ちつつも、この男だけは違った。

そいつの名はサー

飛行機アナウンスで着陸態勢に入ってから、顔は青ざめ、ナスもビックリなくらいな変色を遂げる。

ナスサーに変貌を遂げた。

身体は硬直し、目玉はキョロキョロしている。

機体が降下した瞬間「たさまはらたらた。なはわひわはりま、た、た、はまはまろ、な、ねたはやさやはらたり」

ナスサーはパニクる。

「なにこれー墜落してる」

運悪く奴の隣に座ってしまった黒人ボビーは思う、マジかっ、本当墜落してるの?眠っていて、着陸態勢に入った事を知らなかったのだ。


「神様、お願いっ、この飛行機を墜落させないでーーーっ」ナスは叫んだ。


それを聞いたボビーも同時に「オーマイガー、オーマイガー」


しかし、すぐに気付く、着陸態勢に入っていた事に。

顔は真っ赤に、しまった、自分までも恥をかいてしまった、彼の隣に座るガールフレンドのキャサリンはほくそ笑む、恥ずっと。

ああ、そうか隣に座るこの人は、そんなキャラだったな。

ようやく安堵したお茶目なボビー(なんじゃこのくだり)。


飛行機が地上についた瞬間

墜落と勘違いしてる阿保は泣いた。

「生きてるって、かけがえのない事に今気付いたよ〜〜っマッマ〜〜、産んでくれてありがとぅ〜〜〜サーーー」と。


何故かまた拍手が起こり、ボビーは涙していた。

そして英語でこう言う

「イェーー、ライフイズ ミラクル」と満面の笑みを浮かべ。

サーとボビーは熱い友情の握手を交わす

「僕たちは生きているんだ」

パチ パチ パチ パチ〜〜ッ


そんな中、一人冷徹なキャサリンは不気味な笑みを浮かべ思っていたのだ。

あ〜じゃかしぃ〜(だからなんじゃこのくだり)


同時刻、尋常ならぬ顔を浮かべてるのは正子

はよ、我らを飛行機から出さんか、後20分、今ならまだ間に合うんじゃ!

なかなか開かない扉にイライラをしながらも、すぐにみんなに合図する、降りる頃には鬼の形相へとみるみる変わり、おかげで道は開く。


残り15分、ようやく一同は飛行機を降りられ、荷物検査などの手続きをしている「あ〜こんなの待ってたら間に合わんじゃろ〜乗務員先導しろやーー」身内すらもこの正子鬼を恐れとったそうな。

正子鬼は凄まじい形相でスタッフにアピールする

「時間ないんじゃ〜〜」と。

するとチケットを見て(鬼を見て)飛行場のスタッフが気付く、乗り換えギリギリーアドベンチャーと!!(なんじゃ)


そして何故か、彼等に先導され

冬馬ファミリーズ達は走った、走った、走った。

裏道まで通されて。

走った 走った 走った、果てしなく続く滑走路を

走った 走った 走った

何故か、知らない飛行場スタッフ三人も一緒に(一人でええやろ)


そしてまさかの奇跡が。

出発二分前に座席に着いたのだ。

声をあげ寒気する一同「やったーやったー間に合った」

一人ナスの顔は潰れかけていた「え?また乗るの?」と。

こうして飛行機は旅立ち、また機内では隆が「ビーフを連呼」、

サーが「たさたらな、わなはわはわはらた、たらとはわほた」と叫び、同じ様なくだりなのでその経緯は省かれたそうな。


飛行機はいよいよバリに到着

バリに到着したのは深夜2時


「ひやっほ〜、熱いね」ご機嫌冬馬君は全く眠くない。


「南国ってかんじ〜〜」きみ子も嬉しそう、ニンマリと微笑む。


アゲアゲテンションの子供達に比べ、やつれたサー。

あ〜眠れなかったとゲッソリしていたそうな。

これではこのナスは売れんだろう。


しかし、ここでまたも問題に直面する事を彼等はまだ知らない。

それは荷物を受け取る場での出来事

周りの人達が自分達の荷物を見つけていくのだが、いつまで立っても誰の荷物も見当たらないのだ。


「あれっ、僕らの荷物出てこないよ」大喜が言った。


多網がボソリ「泥棒」


「えーーーーっ」真に受ける隆


一同はバリのスタッフの前に躊躇する、何故なら言葉の壁が彼等を阻んだからだ。

焦る隆はサーをチラッと助け舟を出すかの様に見つめる。

サーさんは英語ペラペラだから(こやつの目からは全く喋れないサーがペラペラにみえている)


気付くサーも焦る、えっ、英語で荷物が見つからないって、なんて言うんだ?


すると「いや〜こういう時、サーおじちゃんが居て良かった」きみ子の一言に、自分の自画像が輝いたと、喜んだサーは言った。


「あっ、僕に任せてください、楽勝っす」何故か普段大方使わないであろう「っす」と言う言葉までたくみに使い、奴は格好つけたのだ。


「おーー頼りがいがあるーーっ」みんなの尊敬の念を前にサーは




















笑った。


「じゃ、僕が行ってきます、みんなは荷物来るかも知れないから、一応ここで見てて下さい」軽快に歩き出すサーは思う、今自分の背後から羨望の眼差しを感じているっと。

誰も見とらんのだが。


いよいよ対峙の瞬間、目の前には60歳くらいのバリの人らしき人物が。


「エッ、エックス、キューズミー」


「?」


「バッグ、来ない、ノーバッグ、来ない来ない、なんでサー」

男は全力で英語、いや日英語、いやサー語を喋った。


テンパるおじいさん、それもそのはず、彼はスタッフでもなんでもない、ただの観光客の日本人のおじさんだったのだから。

そそくさと逃げて行ってしもうたそうな。


サーはシャイなスタッフだなぁ〜と思って、目の前にあったカウンターに向かう。


「エックスキューズ サー(微妙に自分の名を投入し、アピール、誰も知らんだろ) バッグ、ノーノー来ない来ない」

身体全体を使い、謎の言語を喋るサー

一応キョロキョロ物を探すジェスチャーを、ここでも5発投入している。


そして言われた


「日本語で良いよ」


あっ、てへへへへへ サーーーーーーっ。


こうして知った事実

飛行機の乗り換えに、人は間に合ったのだが、荷物は間に合わなかったらしい、明後日の夕方にきっと届くのだろう。

この事実を御一行に伝えたサーはみるみると変わっていく正子の表情が怖かったそうな。


正子の心の中、え〜嘘でしょ〜なんなのよ〜荷物が無いって。

間違いなく怒っていたのだろう。

隣に居た多網ママは、サッと微妙に距離をあけた。


こうして、ゴタゴタと色んな騒動はあったが、なんとか無事にバリに着いた。

まぁ、これも旅の魅力の一つであろう。

一つ分かった事、人は思い通りにいかないと、結構イライラするものだと言う事だったそうな。

いや、正子だけかも知れないが。


いよいよバリの旅行が始まる!!

どんな思い出が出来るんだろう?

冬馬君は期待に胸を踊らせていた。


と、ここで終わる筈だったのだが、もう一人違う意味でキレてる赤ん坊の女子おなごが居たそうな。

彼女の名前は多美、ここまで全く見せ場や出番がない事に苛立ちを隠せなかったのだ。

だから叫んだ、もっと私を見て、私に注目してと、言葉にならない声をあげ。



「チャーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」 以上





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