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冬馬君の春と夏  作者: だかずお
19/35

空港でのトラブル

朝の5時、既に冬馬君と大喜は目を覚ます。

「大喜起きてる?」


「うん、もう楽しみ過ぎて目が覚めちゃった」


今日の飛行機の出発時間は13時、多網達は冬馬家に九時くらいにくる予定である。

「はやく、多網達に会いたいね」

二人は布団の上で再び観光ブックを読んで楽しんでいる。

もう、とてもじゃないがワクワクし過ぎて、眠れなさそうだ。


七時を過ぎた頃、どうやら正子と隆が起き始めた様。

二人もリビングに降りていき、朝食を食べ始める。

「今日は絶対、朝ご飯は、ご飯にしてね〜」

日本食が恋しくなるんじないかと心配した冬馬君の要望であった。

朝は鮭に味噌汁

「こりゃ最高だ〜」


冬馬君と大喜は、服も着替え、準備も整え、みんなが来るのを今か、今かと待っている。

その時、車の音がした。

「絶対に来たよ」大喜が飛び跳ねる。

二人は急いで玄関に駆け出して行く。

その直後、ピ~ンポ~~ンッ

「来た〜〜〜〜〜〜っ」

ガチャ


玄関の外に立つのは、全身を黒一色で統一した男、多網。

横には真っ黄色のティ〜シャツにジーパンのきみ子

「アロ〜〜ハ」(それはハワイの気がするが)

四人はニンマリと顔を見合わせた。

後ろから

「おはよ〜ございます!!」

多網父こと、通称サーが顔を出す。

横には多網ママと妹の多美

多美は思う。

あたちいつも脇役ばっか、ぜって〜あたち今回の旅では目立ちまくってやるわ。


こうして冬馬君達のバリ旅行が始まったのである。

冬馬君と大喜は、多網家の車に乗り込んでいく。


「出発〜〜」

こうして車は空港に向かい走り出す。

ブウウウ〜〜〜ンンッ


「多網ときみ子は今日何時から起きてるの?」と冬馬君


きみ子が「私は七時に目が覚めちゃった」


すると多網がニヤリ「寝てない」


「え〜〜」

実は多網、布団で寝てるふりをして、ずっと起きていたらしい。

なんでも、飛行機の中でぐっすり眠る為だとか。

「やるね多網」


「寝たら、飛行機の中で眠れない」ニヤリ

見よ!この準備万端の男をと言わんばかりに奴はほくそ笑んだ。


十分後の車内、多網爆睡

こうして、空港に着くまで一度も起きる事なく、ぐっすり眠った多網を乗せた車は空港に到着した。


ちなみに今回の旅も飛行機は乗り換えとなる。

「フィリピンで飛行機乗り換えるみたいだよ」多網ママが言った。

その発言に、あっ、バリ行くのに飛行機乗るんだったと、大の飛行機嫌いの男サーは思ったそうな(阿呆か、気付け)


久しぶりの空港に子供達は大興奮

「うわぁ〜スペイン旅行思い出すね』きみ子が言う。


「本当懐かしいね」


空港到着時、思ったよりはやく着いたので、チェックインまで時間があった。

しかし、この時、一同はまだ知らない、この後とんでもない事態に巻き込まれる事を。


「今日の夜中バリについて、まるまる4日間居れるよ」隆のその言葉に子供達は飛び跳ねる

「ヒャッハ〜〜〜〜」

ああ、この瞬間たまらない!!

最高〜〜最高〜〜っ。


時間もある事だし、皆は軽く軽食を摂る事にした。

その時、大喜が指差す「見てあれ」


それはプラネタリウムを見ながら、過ごせるカフェ

ビールの文字を見て隆とサーは頷いた。

「あそこにしよう」


「やったー」


暗い部屋に入ると、なんとそこは星一面輝いてるではないか。

ここで、飲んだり、食べたり出来るのかぁ〜

「最高の旅の始まりだね」ニンマリ冬馬君


「サーさん、もう運転も無いし、早速旅の開始に一杯やりますか」


その言葉にサーのテンションも上がる「そうですね、是非」

こうして旅の出発前をプラネタリウムを見ながら過ごす事になる。


「また今回もカマーン正子とウェルカムウィメン出るかな〜」

子供達は期待する。

正子と多網ママの泥酔し覚醒した後の姿を。


旅は順調かに思われていた。

プラネタリウムを見ながら優雅に軽食を食べ、最高のスタートを切っていたと思われた……それはこの後の出来事だった。


皆は搭乗チェックインを済ませに向かう。

その時の事だった。


「あのぅ、申し訳無いんですが……」荷物を預ける時の飛行機会社の受付の人の言葉


「飛行機、今遅れてしまっていて」


「そうなんですか、どれくらいですか?」余裕の表情で返事する隆


「一時間くらいなんです」


軽くほろ酔い、上機嫌、ゆとりのある男、隆は言った。

「あはは、一時間くらい待てますよ」


一同に衝撃が走るのは次のセリフであった。

「それが…………」


そのなんとも雲行きの怪しい顔に、皆は気付く。

なんだ?なにかおかしいぞと。

「なにか問題でも?」すぐに正子がきりかえす。


「本当に申し訳ないんですけど、実は皆様、フィリピンで乗り換えになってるじゃあないですか」


「はい、そうですが」


「飛行機がちょうど一時間遅れる事によって、もしかしたら乗り換えに、間に合わなくなるかも知れないんですよ」


なぬ〜〜〜〜〜〜

余裕とゆとりは消し飛んだ〜〜 遠く空の彼方へ。

隆の顔はへのへのもへじになったった。


皆の表情も険しくなる

サーに関しては顎が外れかけたった。

どうなるんじゃ?


「どうなるんですか?」恐る恐る尋ねる多網ママ


「その場合、もうその日に飛行機が飛ばないので、翌日の夕方まで空港で待機って形になってしまいまして」


はぎゃああああああああああああああ〜〜〜〜〜

へのへの隆からへの字までが消える。

サーの眼鏡が吹っ飛ぶ(何故じゃ?)


一同に戦慄と衝撃が走った。

「え、じゃあそのぶんのホテル代とかは、どうなるんですか?」

と正子


「航空会社としては、その様な弁償などはしていないんですよ」

女性は頭を下げた。


んなぬうううううううっぅ〜〜

隆はのっぺらぼうになり

サーは木っ端微塵に消し飛んだ(なるか)


でも、この人に怒っても仕方がない

隣のカウンターの客は怒鳴ってキレていた。

そんなぁぁバリ旅行の日程が〜〜。

仕方が無いので、とりあえず一同は空港で時間を潰すことに。


「こんなパターンがあったとは」少し落ち込む隆


「弁償とかしてくれないんですね」サーもテンパっている。


顔を真っ赤にする正子

「遅れるのが悪いんじゃない、なにも弁償ないって」怒る正子


「え〜今日バリ行けないの」冬馬君、大喜、きみ子もご立腹モードに入リ始める。


その時だった

多網が「でも、フィリピンぶらぶら出来る〜」


その言葉に大人達

ふぅ〜〜 小さなため息をついた後


「まぁ、仕方ないね、怒っていても始まらない、もしかしたら飛行機乗り換え、間に合うかも知れないし、こうなったらどんな状況も乗り越えてみせる〜〜」

大人達は一致団結した。


「そうだね多網、そしたらフィリピン空港一日ぶらぶらしよう」

子供達も立ち上がる。


「ゆくぞーー」

こうして、トラブルに見舞われながらも旅は始まった。




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