まだ続いていたあの日の夜
これは後日談になるのだが、そう、あのサーとスーとピューが飲んだ夜、そう地球外生命体と思わしき人間達と……
あのバーでの夜の後、実は話は続いていたのだ(まだ続くか)
それをみなさんに今から語ろうではないか。
それはあの日の夜の続きの出来事であった。
バーでの帰り道、ポツポツと雨が降り始めていた。
実はスーパー超ウルトラ怖がりな三人はグレイとギズモに震え上がっていたのだ。
ピューは思う、この後家に帰って一人、怖くて眠れないかも。
スーは思った、帰りの電車一人じゃ怖いかも、もしかしたらグレイとギズモに会っちゃうかも知れない(どんだけびびってんじゃ)ちなみにサーも同じ事を考えていた。
彼ら三人は結論づける、これは別行動は危険だ!
と言う事でスーとピューはサーの家にこれから泊まりに行く事になる。(もちろん強がりのサーとスーは怖いからなどと言う素振りは見せてはいない、もっと飲みたいと言うていであった)
途端に安心する三人、明日の昼間なら一人で家に帰れそうだ(子供か)
帰りの電車みんなで一緒に乗れてホッとしていた。
「いゃ〜実は家に一人で居るのなんかやだなぁ〜って思ったんですよ、もしあの二人が部屋に突然現れたら怖いなって(彼女達は幽霊か)」正直に怖かった事を口にするピュー。
するとサーとスーは「あははは、ピューもまだまだ子供だな、怖くて一人で帰れないなんて、僕達が居るから安心してよ」
内心誰よりもビビっていたのはこ奴らなのだが。
一同はサーの家に辿り着く。
「ただいま」
「こんばんは。すいません、突然夜遅くにお邪魔しちゃって」
「久しぶりですスーさん。いえいえ、こないだは主人と子供達が泊まらせてもらってお世話になりました」
二人はサーの奥さんに挨拶をすませる。
廊下の先からひょっこり顔を出し多網が見ている、突然のスーの登場に驚き嬉しそうだ。
「やあ多網、こないだはありがとう、楽しかったね」
多網はにこりと頷くが、眠かったのかすぐに部屋に戻って行った。
時刻は22時をまわったところ。
三人はリビングでくつろぎホッとしている。
「やっぱ家の中は落ち着きますね」とピュー
外の雨はこの頃強くなっていた。
「この雨だと家まで帰ってたらびしょ濡れになってたから良かったよ」スーが言った。
「それにしてもギズモとグレイ怖かったですね」
ピューのその言葉にサーとスーはあの二人の事を思い出し震え上がった。
「あははは、ちょっと変わってたよね」苦笑いのサー。
「まあ気分転換に少し飲もうか」
ザアァアアア〜〜雨の音は強まっていく。
お酒も進み、盛り上がるも家族を起こさない様に気を遣い静かな三人。
「なんだか男三人でお泊りなんてする事無いんでワクワクしますね」このシチュエーションにピューは喜んでいた。
「うん、旅行に来たみたい」スーが言う。
三人はリビングに布団を敷き、くつろぎながら語り合う。
このいつでもくつろげる空間で飲めるのも、またなんとも良いものだ。
サーが前に買った「男はつらいよ」のDVDを観ながらみんな盛り上がっていた。
「良いよね寅さん」
「実家のおじいちゃんが大好きなんですよ」とピューが言う。
心も和み、お酒も進み、会話も弾む
気分も良くなり、段々と眠くなってきた三人は布団の上にごろんと横になる。
「かは〜っ最高」
ザアァアアアア〜〜
雨はまだ強く降りしきっている。
目をつむると何故か強烈なあの顔が浮かび上がる、そう言わずと知れたギズモ、グレイそしてまさかのゴリとチンが背後でピースをしている。
予想以上にサーとスーは怖かったらしい、ピューはもう眠りそうになっている、そこですかさず先に一人だけ寝かせるかと、二人は必死にピューに話しかける。
「ピューはあの四人の中で誰が一番良かった?」と絶対にあり得ないであろう質問を無意味にするサー。
「誰も嫌です」ピュー即答
再び眠りにつきそうなピューの表情を見て焦ったスーはすかさず
「あの四人の中で一番怖かったのは?」
「ぐっ、グレイ」
あの日本語すら喋らなかった奴か、一同納得である。
ゴリラ、チンパンジー、ギズモはまだ日本語をと言うか言葉を喋っていたからな。
「それにしてもどんな繋がりなんだろうねあの四人」とスーの素朴な疑問。
「意外にゴリさんとチンさんの働く動物園にギズモさんとグレイさんのUFOが墜落してそっから飼われてるとか言うオチだったりして」
「あはは、それかゴリさんとチンさん、ギズモさんがグレイさんにアブダクションされてあんな姿にされたのかも」
妙に納得出来る意見だった。
サーが立ち上がり「ちょっとトイレ」
その時ピューが「トイレの扉開けたらグレイさん立ってたら怖いですね」
サーは「あ〜やっぱトイレ出ないやぁ〜」勢いよく布団に戻る。
ザアァアアアアア〜〜 雨戸に雨が強く吹き付ける。
「雨強いね」
何故か電気つけっぱなしで寝ているビビリな三人。
グレイさんにアブダクションされない様に警戒しているのか?
そんな時だった。
うっ、うんこしたい、まさかのスーである。
こっ、これはまずいっ、も〜我慢出来ない。
だが、もしトイレにギズモが隠れてたら(さっきから思うが、何者なんだ彼女達は)。
うっ、スーが立ち上がる、漏らすのはまずいっ。
一人廊下に出る、ザアァアアアア〜。
雨の音が廊下にまで響いている。
小走りでトイレに向かいドアを開けた瞬間「うがああああああああああああああ〜〜」スーは叫び、腰を抜かした。
目の前には得体の知れない顔した存在が。
「まさか、やはりここまでついて来たのか〜」
ぶるぶる震えるスー。
「どうしたの?」
それは聞き覚えのある声
目の前を良く見るとトイレの中に居たのは多網。
多網は何故か変なお面をつけて、うんこをしていた。
「なんだ多網かぁビックリした、何してんの?」
「お面買ったから、つけてうんこしてる」
なにしてるんじゃ〜多網よ、しかもこのタイミング。
多網が去った後、必死に「はやく糞よ出よ〜」と心の中祈るスー。グレイとギズモが出る前にはやく糞よ出てくれ〜〜(どんな祈りじゃ)。
とりあえず、出すもの出してリビングに走って戻ったスーは安堵に包まれる。
ああ、二人の居る部屋は最高だ。
二人の寝顔を見て思う、待てよ?寝てる、まっまずい。
焦ったスーは二人を起こす為こんな嘘をつく
「大変だよ、窓の外に見た事ない何かが」(起こす為になんて嘘をつくんだスーよ)
「えっ、まさか?」
ビックリしたサーは布団にもぐる。
ピューが「えっ?ちょっと見てみます」
窓の外を恐る恐る覗いてみる。
すると目の前になんと、ゴリとチンとギズモとグレイ、オールスターズが腕組んで窓の外に立っていた。
ら怖かった。
もちろん誰も居ない。
「スーさん何も無いですよ」
「えっ、あっ気のせいだったかな」
二人が目を覚まし安心して布団にはいるスー。
布団に入りにんまり、よしっ今のうちに眠りにつくぞ。
二人が眠る前に先に寝る作戦に出た。
ウトウトしてくるスー、あっ良いぞ、眠れる、あっ最高、この瞬間たまらああんっ〜、かは〜〜んっ。
眠りの世界に飛び立つ瞬間、グレイが家の壁を破壊して「もっと奢ってくれ〜〜」って出て来たら笑えた。
だが来なかった(いちいち言わんでよろしい)
スー無事に夢の世界に飛び立つ。
ピューもウトウト、次の瞬間「くかぁ〜〜」ニンマリ笑顔で寝ている最高〜〜〜っ。
二人の姿を見て焦るサー
「ねえねぇ二人共起きてるよね?そんなはやく寝るとゴリさんとチンさんにしばかれるよ(どんだけたちが悪いんじゃ)」
全く起きない二人
まっ、まずい、はやく寝る為に羊を数えなければ。
サーは頭の中で羊を数え始めた。
羊が一匹、羊が二匹、ふと思ってしまった、あれっ?
羊ってどんな顔だったっけ?
後ろ姿ははっきり想像出来るんだけど、まあ良いか。
その後も羊は数え続けられ、今やサー牧場に背中姿の羊達は二百匹程飼育されていた。
その時だった、その羊達が一斉にこっちを向いた。
くるっ
バァ〜〜!!
想像力の乏しいサーの想像した羊達の顔はなんとギズモだった、ちょくちょく、ゴリとチンとグレイも混ざっている。
ありがたい事に一気に目が覚めた。
「うはっ」
「間違えて羊じゃなく、あの人達を数えてしまった」
ええい、何をしとんじゃ自分。
横を見るとスーとピューは眠っている
ヤバイっ僕もはやく寝ないと
ザアァアアアア〜〜
そのうちサー牧場からギズモ羊は居なくなり
気がつけばサーも眠っていた。
目を覚ますと何故か三人はUFOの中に居る。
「あれっ?」
目の前にはギズモ「チャンジャ奢って〜」
グレイ「ムーちゃムーちゃ〜」
「ぎょへ〜〜〜」驚く三人
「ここは一体?」
「かにゃぺろんぽす」グレイがニヤリ
「今から三人を私達の惑星に案内すると言っている」ギズモが訳す。
「ひょえ〜〜地球に帰して〜〜」
するとギズモの携帯電話が鳴る
「あっ、もしもし」(どんな世界観じゃ)
「あっ、ゴリ、チン、えっ?渋谷でアイスクリーム?うん行く行く〜」
こうしてゴリとチンのおかげで地球に帰れると言う奇妙な夢をみた三人であったそうな。
めでたしめでたし。
ちなみに余談だが、ゴリさん達はその後飲み直した時、サー達についてこんな事を四人で語っていたそうな。
「ねぇなんかさっきの雄達、絶対に人間じゃないよね」
「えーやっぱり、私も思ったあれ絶対に違うよね〜がははは」
「あれは絶対に幽霊よ」
ちゃんちゃん