サーの一日
今日の主人公は多網の父こと、名前は、まさたか通称サーである。
サーはその日仕事を終え、仕事仲間のピュー(二人共凄いあだ名である)と飲んでいた。
「本当にピューが僕の仕事場に入ってくれて良かったなぁ」
サーはピューとは気があった。(なんか書いてて変な文章な気がする、サーとかピューとか)。
「僕こそ仕事場にサーさんが居てくれて良かったですよ」
最近二人は仕事後に良く飲みに行く、たまにサーの親友のスーにも声かけるのだが、最近は新しい仕事で忙しいみたいだ。
三人揃ったら会話が凄い事になる、何故かって?
「サーそれとって」
「良いよスー」
「ピューにもとろうか?」
飛び交うサー、スー、ピューのオンパレード。
何処の国の人間のあだ名じゃ〜〜!!
するとピューが突然こんな事を。
「あのサーさん、隣に居る二人組の女性、後ろ姿しか見えないけど可愛いんじゃないですか?」
サーは思う、自分に似て奥手なピューにしては珍しい発言、酔いも重なりそんな大胆な発言が出たのか?
「どうしたの急に?彼女でも欲しくなった?」
「そんな言った事ないですけど、僕ずっと彼女欲しいですよ」
「そうだったんだ」
サーは思う、後輩の為に声をかけてあげたいと。
いや、正直に言おう、後輩の前で女性を口説ける格好いいダンディな男を演じたかったのである。
サーは自身の自画像を輝かす為に立ち上がる。
クイッ、かけている眼鏡を軽く持ち上げ(格好つけたつもり)
「ピューの為にひと肌脱ごうか?」(こ奴も現時点で結構酔っている)
「えっサーさん、ナンパなんて出来るんですか?」
「あっは(なんじゃこの笑い)やだなぁ、ナンパのサーさんとは僕の事だよ(どんなあだ名じゃ、ま〜もちろんナンパなど本当はほとんどしたこと無いのだが)
「凄い憧れます」
後輩の前で格好つけるの大成功
これにて引き返そうと思ったのだが。
「是非お手本を」
ズギャアアアンッ(凄い効果音)
えっマジか……引き返せない!!
「えっ、良いよ」そう言うしかなかった。
グビッ、グビッ、残ったビールを勢い良く飲み干す。
少し躊躇して、男は勇気を振り絞る。頑張れ自分
「あっ、あっあのぅ、すいません」
「はいなんですか?」
ズゴオオオンッ
なんと横にいた店員が立ち止まって居るではないか。
しっ、しまったぁ、このタイミングで勘違いされた。
焦ったサーはこう言ってしもうた。
「イカゲソ下さい」
「はい、分かりました」
凄いぞサー、ナンパして女性ではなくイカゲソを釣ってしまう。
それを見ていたピューは必死に笑いを堪えている。
まっ、まずい僕の格好いい先輩の自画像が崩壊するっ。
サーは再び頑張った「あっ、あのぅ、すっ、すいません」
「なんですか?」振り返った女性はチンパンジーの生まれ変わりではないかと言うくらいにチンパンジーにそっくりであった。
ズシャアアン(凄い効果音)
サーはビックリしたった。
「うひっ」直後ピューも驚きの声をあげる、何故か?
その反対側に座っている女性がゴリラにしか見えなかったからだ。
そう、チンパンジーとゴリラが飲んで対談していたのだ。
「なんですか?」
サーは困った、だが後輩の手前、成功させなければ。
「あのぅ良かったら奢るんで一緒に飲みませんか?」
「え〜奢りなら良いですよ(悲しい返事だが成功)」
その成功にチラッチラッ、サーはピューの顔を何度も確認した、どう僕凄いでしょ。
ピューは思った、なんて事してくれたんだサーさん。
はよ帰りたいと。
こうして、サーとピューとチンパンジーとゴリラの飲み会が始まった。
チンパンジーにそっくりな娘が言った「私のあだ名はチン、だからチンって読んで」
サーとピューは思う、絶対それチンパンジーからとられたんだと。何故チンなのか?は聞けなかった。
すると今度はゴリラにクリソツな娘は言う。
「私のあだ名はゴリ」それもまんまだった。
サーは言う「何か頼みますか?」
二人はバナ〜ナを注文してこう言ったそうな。
「これ〜やっぱ酒のつまみにはバナナでしょ」
「ゴリさんとチンさんは何されてる方なんですか?」ピューが質問する。
「あはは〜当ててみて二人同じ職場」
サーは動物園と答えようとしたが、変な誤解を招くとまずそうなので一応美容師と答える。
「ぶっぶ〜、絶対に分からないと思ったよ」
まさかの動物園であった。
まさか、おりの中に入ってる側ではなかろうな、そんな思いがピューの頭をよぎる。
「これは絶対に当たらないと思うよ、何の動物担当してると思う?」
サーとピューは思う、絶対にゴリラとチンパンジーだろうと。
「えっと、もしかしたら全然似てるからとかじゃないんですけど(余計な事言うなサーよ)ゴリさんがゴリラで、チンさんがチンパンジーとかですか」
「あっは〜惜しい逆、逆」何故だ、何故逆なんだ。
それからチンさんとゴリさんはバナナをつまみによく飲んだ。
話を聞いて分かったのは、とりあえず二匹、じゃなかった二人の主な主食はバナナで最近二キロ痩せたらしい。
はやく帰って休みたいピュー。
するとゴリがこんな禁断の質問を。
「ねぇ、私達をあえて動物に例えるなら?」
グフッ、決まってるだろ、ゴリラとチンパンジーだ。
その言葉は心の中にリボンをつけて、そっと閉まっておいた。
「うちらに似た動物なんて、あんまいないんじゃない」チンパンジーが言った(いつの間にかチンパンジー表記になっとる)。
「じゃまず、そこのおっさんから」サーはおっさん呼ばわりされてしまっている。
「あっ、そのえっと、ゴリさんが、えっとその…」
「ゴリさんはリスで、チンさんはうさぎ(頑張ったサーよ)」
「あ〜っ分かるぅ〜」
「じゃもう一人の君は」ピューが指さされる。
「えっと」
これは正直に言ったほうが良いかも知れない。
「ゴリさんがゴリラでチンさんがチンパンジー」
それを聞いた途端、二人の表情は強張る。
「なにそれ〜、ちょっと」
まっ、まずい。
場を和まそうとサーが「バナナ追加しますか?」(どうでも良いが良くメニューにバナナがあったな)
「バナナ、バナナってまるで私達がゴリラとチンパンジー、猿人みたいに言ってない?」
ギョッ、まっ、まずいっ。
「あっ、イカゲソでも良いですよ(何故だ)」
「なんか気分悪い」
「本当、全然ゴリラとかチンパンジーに似てないのに、なんであんた達みたいな雄にそんな事言われなきゃいけないの(オスって)」
「もういい帰るわ」
サーとピューは平謝りしていた。
二人が去った後
「すいませんサーさん」
「いやいや、全然。僕も本当はそう思ってたよ」
「少し飲み直そうか?」
「はいっ」
こうして二人は翌日二日酔いとなる。
その日の夢には何故かゴリラとチンパンジーが出てきて説教されたそうな。
めでたし、めでたし。