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冬馬君の春と夏  作者: だかずお
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春がやって来た!!

季節は春を迎えようとしている。

サーとスーに連れて行ってもらったあの旅行が懐かしい、あれ以来みんなとは、ほとんど会っていなかった。たまに大喜が遊びに来た事があったくらい、何だかあの旅行が夢の様にも感じられ懐かしかった。

春休みもそんな感じで、特に何をした訳でもなくあっという間に過ぎていた。

まぁ、何もしてないと言っても、ほとんど親友の慎司と遊んだりして過ごしていたのだが。

最近みんなどうしてるかな?冬馬君は2階の部屋でそんな事を思う。

季節は4月、新学期も始まり冬馬君は小さなため息をつく、ああ明日も学校かぁ。

何だろう、このちょっとした切ない気持ち。

理由も良く分からなかったが、たまにそんな気持ちを感じる。

それにしても僕だけじゃ無いよな、こんなに学校嫌いなの?

大好きな人も居れば、こんだけ嫌ってる自分もなんだか面白かった、一度休みに入る前にクラスメートが明日から休みやだなぁ、と言ったのには驚き仰天した、人によって感じてる事はこんなにも違うのかと。

それにしても、もう春なんだなぁ、外には桜が咲き始めていた。

桜って綺麗だなぁ、なんだかぼけ〜っと見入ってしまう。

特にやる事も無かったので寝っ転がりながら、お菓子をパリポリ食べて漫画を読んで過ごす、あ〜この誰にも気遣う必要もなく自由に過ごせる瞬間がたまらん、結構一人の時間にホッとする冬馬君、自分でも知らずうちに人の目を気にして、気遣い疲れているのかも知れない。気付けば眠っていた。

あれだけ寒かった季節が嘘みたい、春がやって来たのだ。

ぐうすかぴ〜〜、春の昼寝も気持ち良い(どの季節も気持ち良かった)

夜の19時を過ぎた頃、父の隆が帰ってくる。

「ただいまぁ〜〜」スーツを脱ぎ、寝巻きに着換え、冷蔵庫の缶ビールを取り出す、ゴキュッゴキュッごクッ、かは〜〜ったまらん。隆はこの瞬間が一番嬉しそうだ。

仕事から解放された瞬間がたまらんのじゃ〜。

ときに隆、最近は浴衣を着て眠っている、これだと旅行気分を味わえ気持ちが良いのだとか、これからの夏にもピッタリだと喜んでいる。

今晩の冬馬家の夕飯は母正子の特製カレー(特製カレーと言ってもいたって普通のカレー)冬馬家のカレーには豚肉が定番なのだ。

「やったぁカレー」冬馬君の大好物の一つである。

テレビを観ながらみんなで夕飯を食す。

こう考えてみると一日は結構あっと言う間に過ぎていく。

ご飯を食べ、シャワーを浴び、現在は夜の21時、冬馬君は既に布団に入っている。

ふと、清香を思った。最近全然会ってないし、連絡出来てないなぁ、たまには会いたいなぁ、そんな事を考えている。

このまま連絡が途絶えてしまうのも少し怖かった。

それにしてもスーは仕事始めたのかな?まだやってないのかな?だったら良いなぁ、明日も休みなのかなぁ〜。

大喜や多網、きみ子達は最近何してるんだろう?

あ〜それにしても眠る瞬間が大好きだ、明日は朝7時に起きれば良いからまだたっぷり眠れるぞ、この瞬間がまたたまらない。まだまだたっぷり眠れるヒヤッホ〜〜。

天国で戯れているキューピッドの気分とはまさにこの瞬間の事かも知れない。(どんな例えじゃい)


チュンチュン

あの至福の瞬間は何処へやら、ふと目を覚ますと6時30「げ、もうすぐ起きなきゃいけない」学校へ行く時間が迫ってくる。

学校嫌いな冬馬君、勉強も好きではないし、クラスの人間関係などもなんだか苦手だった。

あ〜今日休みだったらなぁ、朝はいつもそんな事を考える。

しかし、まだ30分もある、この時間を大切に過ごすのだ。

と言う事で冬馬君は再び眠りの時間に使う、とにかくこーゆう学校前などはギリギリまで眠りにつく、早めに起きて何かをしようとは思えないのだ、もちろん休みの日なら起きて何かをしているのだろうが。

友達で学校前に早めに起きて勉強などをしてから向かうなどと聞くと、宇宙人かと思った。

僕にはとても真似出来ないや、後30分ぐっすり眠るんじゃ〜。

とにかくギリギリまで眠くなくても布団から出なかった。

この時間辺りは天界から人間界に落ちかけてるキューピッドだろうか(笑)

そして時はやって来る、鳴り響く目覚まし時計

下の階から正子の声が「冬馬起きなさい〜〜」

この瞬間冬馬君はすんごい不機嫌になる、あ〜遊んで過ごしたいよぉ〜〜、行きたくないよぉ〜。と思うが、とりあえず行かなきゃいけないと思い出発するのだ。

着いてしまえば、もう居るしかないとなるからまだ良いが、行くまでが一番気持ちの面でも落ち着かなかった。

今日は一番長い五時間、着いた瞬間に後何時間あるかを考える。

休み時間はいつもクラスメートの山ちゃん、三郎君と話している。慎司は違うクラスなのだ。

あ〜この空気感の合う二人と居ると落ち着く、すると三郎君の身体に女子がぶつかる「ねぇ、ちょっとそこ邪魔なんだけど」

「ごっ、ごめん」そのやりとりを見て冬馬君は思う、もう少し優しく言えば良いのに。

基本冬馬君達は大人しいグループで隅でコソコソやっているのが日常だった。あまり他には鑑賞されなくない、その日一日何も無しで帰れると、今日も平和だったと安心するのだ。

家に着くまで傷つく事が無ければ良いなぁ、そんな事を良く考えていた。

今日も無事平和な一日を終え、帰り道。

帰れる瞬間がまたたまらない、慎司、山ちゃん、三郎君と四人で帰っている。

「ねぇ、前に話してたあの幽霊マンションまだ行ってなくない?」と、三郎君

幽霊マンションとは高台に建つボロボロのマンション、四人はそのマンションを幽霊マンションと呼んでいたのだ。「そう言えばそうだ」「これから行かない」

そんな流れで幽霊マンションに向かう四人

「三郎君は幽霊怖くないの?」慎司が言う。

「幽霊なんか怖くないよ、慎司は?」「俺だって怖くないよ」

「それにしても、いつ見てもあの幽霊マンション不気味に見えるよね」山ちゃんのその一言に静まり返る一同。

大きな時計が付いてる白色のマンション、冬馬君は色んな場所から見えるこの建物を良く時計がわりに使う。

時間を知りたい時に確認するのだ。

目の前に行くのは初めての事だった。

マンションに向かう時、こんな場所だったんだ、初めて通る道、そんな事を感じていた。

いざ幽霊マンションを目の前にして、四人は息を飲む。

マンションと呼んでいるが建物はそれ程大きくは無い。

「こりゃ、絶対に出るよ」「間違いない」

「じゃあ入ろうか?」入り口は廃墟の様に汚かった。

みんなは肩を寄せ合いながら中に入ることに。

すると慎司が「誰か居るのか〜」大きな声でふざけて叫んだ。

シ〜〜〜ン「返事があったら逆に怖いよね」と冬馬君。

廊下も電気は消えていて真っ暗だ。

「三郎君本当は怖いんじゃないの?」慎司が三郎君の顔を見る

「怖くなんかないよ、慎司こそ怖いんじゃないの?」

「ねぇ、なんか聞こえない?」山ちゃんが突然立ち止まる。

「え?」その時だった。

ガチャ 一室の扉が突然開く「ひいいいっっっ」四人の顔が青ざめる、そして、なんと扉の中から人の姿の影が飛び出し追っかけて来たのだ。

「うぎゃあああああああああああああああ〜〜」一斉に走り出す四人

何者かが追っかけて来ている、これは夢か?

一番後ろを走っていた三郎君の肩を何者かが掴んだ。

「ゆっ、許してください」

「君達何しているんだ」

「え?」

なんと幽霊ではなく、普通の人間、足もある。

「僕はここに住んでいるんだ、静かにしてくれないか」

「すっ、すいませんでした」まさか幽霊マンションは廃墟ではなく人が住んでいたのだ。

僕らは幽霊マンションに住んでる住人に怒られてしまった。その時冬馬君は見た。

三郎君が失禁しているのを、山ちゃんも慎司も気づいている様だったが誰もそこには触れなかった。

ズボンはビチョビチョだった。

なんだ〜まさかただのマンションだったとは。

四人はとんだ幽霊マンションだと笑いながら帰路につく。

翌日学校で四人が幽霊マンションの話をしている時だった、一人のクラスメートが「えっ?あそこ廃墟で人なんか住んでないよ」

「え?」

僕達は顔を見合わせゾッとする。

春一番の不思議な体験であった。



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