女神の確率
目が覚めて最初に目にしたのは白い天井だった。
一瞬病院かと思ったが、天井どころか全てが白い空間を見るに、俺は生き残ることはできなかったんだろう。
死後の世界なんてあまり信じていなかったけど、ほんとにあったのか。
とりあえずなんもないし歩き回ってみようと思い立ち上がると、いつの間にか目の前に白いドレスを着た女の人が立っていた。
人生で出会ったたことの無い、それどころかテレビでさえ見ないような美人で、綺麗なドレスも相まって女神のようと言う言葉がすっとでできた。
「本当に女神ですよ」
あぁ、本当に女神だったのか。と言うか声に出てたか?
「声には出ていませんでしたが、心を読みました」
艶めかしい声でそう言った女性は、本人が言うようにやはり女神なのだろう。
「女神様が居るということは、やはり私は死んだのですか」
「はい、残念ながら。あ、でもあの女の子は無事ですよ。」
よかった・・・。これであの子も死んでいたら無駄死にになってしまう。
未来ある若者が生き残れたんだから、自分がやったことも無駄じゃなかったんだろう。
「ところで、私がこれから行くのは、天国ですか、地獄ですか」
「あなたにはそのどちらでもなく、異世界に行っていただきます。一億人に一人くらいしかいけないんですよ。おめでとうございます」
異世界?異世界って、あの異世界か?
「どの異世界かは知りませんが、いわゆる剣と魔法の世界と呼ばれる類のものです。あなたの生きていた世界でいえば、RPGのような世界をイメージすると分かりやすいでしょう。試しにオープンと念じてみてください。」
急な話で正直戸惑いもあるが、そんな世界に行けるとはかなり嬉しい。興奮を抑え、ひとまず指示通り唱えてみる。
オープン。
壱崎 広大 18歳 男
種族 人間
職業 なし
レベル 1
体力 10
物攻 8
物防 9
魔力 12
魔攻 10
魔防 11
技能 なし
半透明の画面が目の前に現れ、自分のステータスらしきものが書かれてある。
ん?18歳?確か死んだときの年齢は28だったはずなんだけど、10歳も若返ってる。
そう思って体のあちこちを触ってみると、確かに若くなっている。
「年齢はサービスしておきました。どこに行くにも、若さがあるに越したことはありませんから。これから行っていただく世界での成人は18からですので、子供に見られることはあまりないでしょう。他に疑問はありますか。」
んー項目自体は見慣れた内容だし、要はモンスターを倒して強くなればいいんだろう。
もしかして最終的に魔王を倒さないといけないのか?
「魔王のような存在はいませんし、異世界での行動は自由です。魔物は野生のものだけでなく各地に存在するダンジョンと呼ばれるものの中に居ます。それを倒すことによってレベルが上がり、他の能力も強化されます。また、お金も倒した魔物が落とすので、積極的に倒してみるといいでしょう」
なるほど、それなら俺tueeeをするもスローライフを送るも自由なわけか。
ある程度強くなることが出来れば、楽しい暮らしが出来るだろう。
「ステータスに関しては理解できたようなので、最後に特別に技能を一つ差し上げます。これは死ぬ前に考えたことが色濃く現れてしまうという性質があり、自由に決めると言う訳にはいきませんが、力を望んだ人には《筋力増強》や《鬼人化》、お金を望んだ人には《金運強化》などが与えられます。あなたは不幸を嘆いていたようなので、《幸運》などどうでしょうか」
確かに幸運ならば事故には遭わないだろう。しかし、
「確立自体を操作できるスキルはありますか」
「ありませんが、最期に考えたことの範疇ですので、作ることが出来ます。」
「じゃあ、それでお願いします」
「わかりました。では、行ってらっしゃいませ」
女神のその言葉を最後に、俺の意識は途絶えた。




