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第4話 魔物掃討戦

 俺はクエストを受けた後、エルバンディアという町からほど近い森に来ていた。

 この森ではどうやら、ゴブリンやオークと言った魔物の被害が続出していて将来有望な冒険者達が不意打ちを受けて、命までもを落としているとの情報だ。

 その結果、クエストとして出されていたがなにぶん数が多すぎてコストの面で割に合わないとして誰もやろうとしなかった。

 それで俺がクエストを引き受けた訳だが、気配探知や魔法探知で反応している魔物の数がかなりいるな。

 これだけの数がいるんだったら1つ1つの巣をつぶしていくのも面倒だし、雷魔法などを使って巣ごといっぺに破壊し尽くそうと思う。

 と、その前に1つだけやる事があるんだった。

「こそこそ隠れてないで出て来いよ!」

 俺は、後ろを振り返りながらそう言った。

 俺がこのクエストを受けて森に着くまでの道中、後ろから一定の距離を取ってついてくる気配がちらついて気になっていたんだ。

 後をつけてくるのは別にいいんだが、こうまであからさまなのは逆に目障りなんだよな。

 そこで声を掛けると、1人の少女が出てきた。

「あ、あの・・・」

「・・・まずは名前と所属、後はついてきた理由を聞こうか」

 その気弱な少女は何かを言おうとして口ごもっていたため、続きを促した。

 すると、

「わ、私はミレイ・クラントールで所属はありません。理由は、Aランクの人を一撃で倒したあなたについて行けば強くなれると思ったからです」

 と、その少女は説明した。

「ミレイと言ったか。何故、どこにも所属していない?」

 冒険者というのはよほどの物好きでもない限り、ソロで行動せずにチームで動いて生存率を上げている。

 しかし、ミレイはどこにも所属していないのだ。

 俺の鑑定スキルによれば、レベル1の魔道士が単独でこんな所に来れば自殺行為と見なされてもおかしくはない。

 それなのについてきたともなれば、よほどの事情が切迫しているのではないかと疑ってしまう。

「そ、それは魔力値が低く、魔法攻撃力が低いからです」

「ふむ、なるほどな」


『名前:ミレイ・クラントール』

『種族:人間』

LV:5 年齢:15 性別:女性

HP:50 MP:37

攻撃力:10 防御力:8

魔攻力:34 魔防力:18

素早さ:15 運  :29

『固有スキル』

 炎属性補助:LV1 

『通常スキル』

 炎魔法:LV2 料理:LV3 魔法探知:LV1

『耐性スキル』

 なし

『称号』

 初級魔道士


 うーん、ここまで来ると別の道を選んだ方がよくないか?と思ってしまう。

 ついでに説明しておくが、レベル1は赤ん坊でレベル3だと12歳ぐらいになり、レベル5だとミレイと同じ年ぐらいの強さである。

 一般人のステータスは特殊な事情がない限り、運以外でオール15ぐらいだそうだ。

 つまり、ミレイは徹底的に魔道士タイプなのだがステータスもスキルも低いために入ってから一週間が経とうとしているのにどのチームにも入れていないのだ。

 こういうのは、それ相応の教育機関に入るのが良いのだろうがそれを指摘すると、

「お金がなくては入れなかったんです・・・」

 と、力なく言われた。

 話をもっと聞くと、元々は伯爵家の令嬢だったのだが才能の無さから1週間前に家を追い出されたらしい。

 その際に、ある程度の手切れ金を渡されたのだが一般市民が1週間ぐらいしか生活できる程度の金額だったようだ。

 そのため、生活を切り詰めてやりくりしていたのだが暗い将来しか見えていないので俺についてきたと言う事だ。

「冒険者ランクはどうなっているの?」

「先日、Eランクに昇格したばかりです」

「ふーん。まぁ、それはともかく、今は私のクエストを完了させてくれ。じゃないと日が暮れてしまうからね」

「は、はい」

 俺はそう言うと、意識を集中して森にいる魔物だけを全滅させるための魔力を練り上げる。

 最も簡単なやり方は、炎魔法で森を焼き払う事なのだがそうすると薬草などが採れなくなってしまうので雷魔法と気配探知、魔力探知の併用で魔物の位置を把握して放つ。

 すると、大量の魔物撃破のアナウンスが脳内に流れてきてレベルが上がった事を知らされた。

 そのため、ステータスを確認するとこうなっていた。


『名前:セレナ』

『種族:神龍』『フォルム:ノーマルフォルム』

LV:10 年齢:16 性別:女

HP:20,000(+5,000) MP:20,000(+5,000)

攻撃力:20,000(+5,000) 防御力:20,000(+5,000)

魔攻力:20,000(+5,000) 魔防力:20,000(+5,000)

素早さ:20,000(+5,000) 運  :100


 なんか、急激にステータスが上がったな。

 運以外は3万近くも数値が上がっているし、それによって探知できる範囲も広くなったようだ。

 寧ろ、広くなりすぎて自分の目が映し出す視野の方が狭く感じてしまうレベルまでになっている。

 まぁ、伊達に神龍を種族に選んだ訳ではないなと思って残党狩りのためにもう一度、魔力を練って発動させる。

 これで、ゴブリンやオークは全滅させたはずなのでその証拠となるゴブリンの耳とオークの牙、それにオークを解体して持って帰る事にした。

 耳や牙はともかく、解体して持って帰る理由は豚頭(オーク)と呼ばれるようにその生態はエルフよりも豚に近い。

 そのため、町にとっては食料の臨時収入になるから積極的に買い取っている。

 その事ををギルマスのニーナから聞いたため、事前に解体してギルドに売り飛ばそうと思っている。

 また、ゴブリンやオークの巣をそのままにしていくと別のゴブリンやオークが住み始めるので巣も積極的に破壊していたら、いつの間にやら夕暮れになっていた。

「さて、帰るかね」

 俺が独りでに喋りながら、クエストをクリアするために置いていったミレイがいる所に向かうと本人はおらず、地面には木の棒で書いたであろう文字があった。

 それを見ると、こう書いてあった。


『私にはついて行けない世界でした

 先に帰らせてもらいます

 ごめんなさい byミレイ』


「全く、勝手な奴だぜ。別に良いけど」

 元々、人に教える事が苦手な俺にとってミレイは足手纏いになりかねると思っていたのだ。

 そうなると、俺にとってもミレイにとってもよろしくないのでここで別れた方が心残りがなくて助かる。

 そう思って、俺は町の冒険者ギルドに戻っていたのだった。

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