第3話 テンプレ発生
「君が件のドラゴンかね?」
「えぇ、そうですがあなたは?」
2階に着いてある一室に通されると、そこには1人の女性が値段が高そうな席に座っていた。
部屋の看板にはギルドマスターの部屋と書かれていたため、一見すると彼女がギルドマスターだと思ってしまうだろう。
物語の展開として実は別の人物がギルドマスターだというのも時折あるため、あまり気が抜けない。
すると、
「ふふふ、わしがギルマスだと疑っているようだね」
「あー、いえ。いま、わかりました」
その女性が余裕の表情を浮かべているため、鑑定スキルを使ってみると実際にギルマスだった。
『名前:ニーナ・クラウン』
『種族:ハイ・エルフ』
LV:574 年齢:237 性別:女性
HP:3,748 MP:12,735
攻撃力:4,613 防御力:3,769
魔攻力:10,527 魔防力:11,957
素早さ:8,525 運 :89
『固有スキル』
精霊の恩恵:LV-- 森の守り手:LV--
『通常スキル』
詠唱短縮:LV9 鑑定:LV8 弓術:LV8
採取:LV6 樹木魔法:LV6 精霊魔法:LV5
土魔法:LV7 調合:LV8 水魔法:LV5
魔力操作:LV5 魔力探知:LV4 薬草学:LV7
『耐性スキル』
魔法耐性:LV8 物理耐性:LV6 毒耐性:LV7 麻痺再生:LV5
『称号』
森の守護者 ギルドマスター 殺戮のエルフ 建築技師長
本物のギルマスなのだが、なんだこのイカれたステータス。
レベルが3桁になっている上、称号の所にある『殺戮のエルフ』というのが目にとまる。この人、若い時に何をやらかしたんだろう。
「あまり人をじろじろと見るもんじゃないよ」
「あー、すみません。あなたのステータスがすごかったもので」
「よく言われるのぅ」
よく言われる事なのか。
まぁ、ステータスの事は脇に置いて話を進める。
「それで?私がここに呼ばれた理由がわかりませんが?」
「なぁに、500年ぶりに神龍が現れたとそこにいるミーナが騒いでおったからな。会ってみようかと思ったんじゃ」
「はーん、なるほどねぇ」
その後、軽く世間話とこの辺りの町やダンジョンなどの会話をしてから正式に冒険者になった。
その際に、冒険者のランクについて説明を受けた。
冒険者に成り立てはFランクになって、それ相応のクエストを受けて1人前になったらEランクになるらしい。
そしてDやCなどの上のランクになっていくと、クエストの難易度も高くなっていってSランクの冒険者になると、1人でドラゴンを倒せるほどの強さになるらしい。
だが俺の場合、その上のEXランクという今までに数えるほどの人数しか行けなかったランクにすぐにさせてもらった。
理由は、ステータスの初期値でここまで高いとなると通常のランクでは更新速度が追いつかないのと俺が神龍だからだそうだ。
神龍を見かけたら幸運が訪れると言われていて、その神龍が冒険者になるのだからこのぐらいの対応は当たり前だという。
そのため、断る理由もないから素直に受け取っておく。
「じゃあ、これを持って掲示板に行けばいいんですね?」
「もちろんじゃ。ついでに言っておくが、わしもSランクの冒険者だから覚えておいてのぅ」
「わかりました、ニーナさん」
俺はそう言って、お茶を出してくれた受付嬢とともに1階に降りていった。
~~~~~~
「ふーん、クエストって言ってもいろいろあるんだねぇ」
俺はクエストを受けるために、掲示板の前ですぐにやれそうなクエストを探していた。
その内容は薬草の採取から魔物の討伐など多岐にわたっていて、いろいろと目移りしてしまう。
すると、
「おう、姉ちゃん。新入りの冒険者だよな?」
「ん?」
と、体格のいい男が声を掛けてきた。
「はい、そうですがあなたは?」
「Aランクのグラムだ。そんな板を見ていないでいろいろと教えてやってもいいんだぜ?授業料はその体だがな」
はぁ、結局は体が目的か。
転生して金髪碧眼の巨乳美少女になってから、野郎共の目線が俺の胸に集まっているのはこの町に入ってからだ。
そのため、この男は強く出ればヤれると踏んだのだろう。
「あいつに絡まれたらおしまいだ」
「かわいそうに」
かわいそうだったら助けてくれとも思ったが、周囲にいる冒険者達の中ではグラム以上の奴がいないため、俺が対応しないと行けない。
「やめておいた方がいい。私の手出しすると高い対価を支払う事になるからね」
「このアマ、下手に出れば調子に乗り上がって!」
そのため、俺が素直に忠告すると、男は逆上して殴りかかってきた。
一方、俺は自衛のために指で軽く突くとグラムは吹っ飛んで壁に突き刺さった。
「あー・・・」
「・・・」
周囲が唖然とする中、俺がやり過ぎたかなぁと思っているとニーナが出てきてこう言った。
「このアホは以前から問題行動をする奴での。前々からどうしようかと頭を悩ませていた奴なのだが、今回の件で女性に暴行を加えた事にしておこう」
「いいのかい?Aランクなんだろう?」
「だからじゃ。それに今回の件以外にも色んな問題行動で近い内に罪状が出る手筈じゃったからちょうどよかったわい」
「じゃあ、よろしくー」
「おぅ。そっちもクエストを頼むわー」
「はいよー」
俺はそう言って、いくつかある難易度の高いクエストの中から1つを選んで受付嬢の所に向かった。