第2話 冒険者になろう
「町にとうちゃ~く」
気の抜けた声とともに、俺は門をくぐった。
家を出た俺は、気配探知で人が多く集まっている方角を割り出してその方角に向かって歩いていたのだ。
幸いにも魔物やその類いの奴らには出くわさなかったため、大規模な魔法は使わなくてすんだ。
家の周りは森林地帯だったし、途中からは草原だったから炎魔法なんかを使ったら山火事で家が全焼したかもしれなかったからだ。
初っ端からそんな事があったら心が折れて引き籠もりになってしまう。
それと俺が着いた所は、町というよりは都市と言った方がいい規模で城壁と城門によって町を守っている場所だ。
その中に入る際に、銀貨1枚を支払う事になった。
理由としては、身分証明ができる物を持ち合わせていなかったからだ。
その際に衛兵に握手を求められたため、好きなだけやらせたらその上司と思われる人に殴られていた。
聞こえた範囲で予測するならば、やり過ぎていたようだ。
それはともかく
入る時に冒険者ギルドの場所を聞いておいたので、現在は言われた場所に向かって歩いている所だ。
そして、少し歩いた場所にそれらしき看板があるので入ってみると想像していた冒険者ギルトとそっくりな内部構造だった。
そのため、受付嬢の所に行ってこう言った。
「冒険者になりたいのですが」
「は、はい。ではこの水晶玉に手をかざしてください」
受付嬢が戸惑っているように、周囲の冒険者達も俺が入ってきた事でそれまでの喧騒が別の意味でざわめき立っている。
その話題の中心が俺になっているようで、冒険者になったらどうやって誘おうかなどを検討したりしているようだ。
どうやら、俺の美的センスは間違っていなかったようだ。間違っていたら間違っていたで、いろいろと考えないといけなかったし。
俺はそう思いつつ、水晶玉に手をかざした。
すると、
「・・・っ!あ、あの!ギルドマスターを呼んできます!」
「?」
俺のステータスを見た受付嬢が、愕然とした表情で席を立って上の階に続いている階段を駆け上がった。
その様子を見ていた周囲の冒険者達が、「おいおい、どうしたんだ?」とか「何か訳ありなのか?」などと勝手な推測を立てていた。
(失礼な。こっちはただの神龍・・・あっ)
俺がそう思った時に、神龍自体が希少ステータスなのかという事に気が付いた。
これだったら引き籠もっていた方が楽だったかなぁと思いつつ、受付嬢が戻ってくるのを待った。
「お、お待たせしました。ギルドマスターの部屋にご案内します」
「はい」
そう言って、受付嬢とともに2階に上がっていった。