第1話 俺が金髪美女な訳がない
目が覚めると、窓から光が入ってきているのがわかる。
そして体を起こして辺りを見回すと、どうやら一戸建ての一室で仰向けになって寝ていた事がわかった。しかも全裸で。
この状況が日本だったら通報ものだな、と思った所である事に気が付いた。
胸がやたらと重く感じるし、股の間がやらたと寂しい。
そこで、全身が写る鏡を探して自分自身を写してみると鏡には金髪碧眼の美少女が立っていた。
「ほげえぇ、ここまで美人になると俺じゃない感が物凄い勢いででている」
日本での俺は決してイケメンじゃなく、モブキャラ程度の顔面偏差値しかなかった。
そのため、こんな出る所は出て引っ込んでいる所は引っ込んでいるナイスボディな美少女の姿に慣れるのにはしばらく掛かりそうだなぁと思ってしまう。
それはともかく、今は服を着たい。
いくら暑がりな俺でも全裸のままで公共の場に出たくはないし、周囲にいるイヤらしい男どもから痴女扱いを受けてひどい目に遭わされそうだからな。
そう思って家の中を探索していると、俺専用の個室に設置されているタンスの中や洋服掛けに沢山の種類の洋服があった。
その中には、どう見てもおしゃれ専用の洋服からダンジョン攻略用の装備までがあるため、いろいろと着こなしてみるのもいいかもしれない。
とは言え、ファッションセンスはあまり高くないので最初は冒険をせずに1番似合っていそうな服装にしてみようと思う。
そう考えて、慎重に服を決めていった。
10分後。
「まぁ、こんなものかな」
俺がそう言って、鏡の前で服装をチェックしている。
何を選んだかというと、手荒に扱っても破けないような服装だった。
そのため、数多くある洋服の中で言えばやや地味になってしまったが背に腹はかえられない思いでこの服装にした。
そこで落ち着いたため、近くにあったベットに腰掛けてステータスと唱えた。
すると、
『名前:セレナ』
『種族:神龍』『フォルム:ノーマルフォルム』
LV:1 年齢:16 性別:女
HP:15,000 MP:15,000
攻撃力:15,000 防御力:15,000
魔攻力:15,000 魔防力:15,000
素早さ:15,000 運 :100
と、こんな感じで半透明な画面が出てきた。
そのため、スキルや称号は意識して出さないと出てこないし、持ち物なんかは空間魔法で収納できるので持ち運びには困らなさそうだ。
よく見ると、持ち物の項目には回復用のポーションやら日用雑貨などが入っていて当面の生活にも困らないだろう。
そして、何よりも薙刀が空間魔法で収容されていた事に驚いた。
そこで薙刀を空間魔法から出してみると、ゴトリという音とともに床に柄の部分から刀身の先端部までの長さが2.4メートルほどの薙刀が出てきた。
刀身の幅が細く、反りも小さい事から静型の薙刀だろう。
出てきた薙刀を持って、握った時の感触や重さを確かめてみるとこの薙刀が本物だという事がわかる。
今まで日本で持った事のある薙刀はすべてが木製のため、体を鍛えればそれほど重さを感じなかったがこれは刀身だけではなく、柄の部分にも金属が入っているのがわかる。
理由は木よりも金属の方が重いため、刀身の方が重くなるはずなのだがこの薙刀は強度を重視したためか薙刀全体が金属でできていて、柄の部分に木の覆いがある感じだ。
そのため、物凄く重くなっているはずなのだがステータス補正で木製の薙刀を持っている感触とさほど変わらない。
寧ろ、さじ加減を間違えてうっかり人を殺めてしまいそうで怖い。
まぁ、必要な時以外は空間魔法で収納しておけば人を傷つける事がないだろうから収納しておこう。
薙刀を収納した俺は、立ち上がって家を出て町がありそうな方角に足を運ぶ。
異世界転生したらやる事はだいたい決まっているでしょ。
俺は冒険者として生きていくのさ。