第11話 2人の眷属
「よかったのですか?ご主人様」
「何が~?」
「吸血鬼姉妹の所有についてです」
俺のそばにいた少女達の内、片方の少女が不安げにその事について聞いてきた。
「よくはないけど、相性が合わなかったんだよね~」
「相性、ですか?」
「そ、彼女達は自分達を貶めた奴を殺したい、と言っていたから私には手に負えないなと思った訳だよ、ティナ」
ティナと呼ばれたその少女は、吸血鬼姉妹と同じ階層にいた死にかけ奴隷の1人で、彼女と一緒の部屋にいたポプリと一緒に奴隷商から買い上げた。
そのポプリが、疑問を口にする。
「それでもちゃんと治療をして復讐を完遂させてあげれば良い手駒になったんじゃない?」
「確かにその可能性はあったが、そこに至るまでの過程の手間がとても掛かる。また、最悪の場合には反逆されて命を落とされる可能性すらあった」
「奴隷の首輪をしていれば、そんな可能性は無いんじゃない?」
「だとしても、常日頃から恨むような目で見られるのは個人的につらい」
唖然としているポプリに、俺は「それに・・・」と付け加える。
「彼女達の身体はかなり手遅れの状態まで死病に冒されいたし、奴隷として買われた場合には憤死するように呪いが掛けられていた」
「なっ・・・!」
「じゃあ、あの子達はもうすぐ・・・」
「あぁ、死ぬな」
とても残酷な話ではあるが、病気を治して呪いを取り払ってまでして彼女達の復讐劇に付き合うほど、俺はお人好しではない。
それに、付き合ってまで刺激的な生活を送ろうとも思っていないので、瀕死の吸血鬼姉妹よりもティナとポプリとともにのんびりとした生活を送ろうと思った。
そのため、まずはティナ達を奴隷として買ってその後、神龍の加護によって奴隷から神龍の巫女として生活してもらう事を約束させた。
そこまでして、ティナ達は死にたくないと思っていたのだ。
一方、俺から見放された吸血鬼姉妹はと言うと、
『何で私達よりもそいつらを選ぶのよ!私達の方が有能でしょ!?』
『そうよ!そんな雑魚よりも私達を選びなさいよ!』
と、口汚く罵ってきたので余計に買う気が失せた。
そのため、俺は奴隷商にティア達だけを買う事を伝えて先に1階につながる階段を上った。
それから、奴隷として買われたティア達は身体を洗って簡素な服を着てから取引部屋にやってきた。
その首には、奴隷の首輪というものがはめられていてそれがある限り、買った主人の命令には絶対服従の魔法が掛けられる。
多分、この世界では奴隷の首輪ほどの拘束力は存在しないだろうというのが、奴隷商の人の感想だった。
しかし、日本人だった俺はそれを見続けるのは精神的につらいため、神龍の加護をティアとポプリに施した。
すると、俺自身のスキルに加護付与のスキルが追加されて、眷属の欄にティアとポプリの名前が記載された。
『名前:セレナ』
『種族:神龍』『フォルム:ノーマルフォルム』
LV:128 年齢:16 性別:女
HP :79,000 MP :79,000
攻撃力:79,000 防御力:79,000
魔攻力:79,000 魔防力:79,000
素早さ:79,000 運 :100
通常スキル
鑑定:LV-- 薙刀術:LV-- 総合格闘術:LV--
料理:LV-- 人化:LV-- 自己再生:LV--
炎魔法:LV-- 水魔法:LV-- 風魔法:LV--
土魔法:LV-- 光魔法:LV-- 闇魔法:LV--
雷魔法:LV-- 回復魔法:LV-- 空間魔法:LV--
錬成:LV8 加護付与:Lv3(New!)
眷属(New!)
ティア、ポプリ
そこで、ティアとポプリの名前を見ていると彼女達のステータスが出てきた。
『名前:ティア』『種族:神龍の使徒』
LV:17 年齢:12 性別:女
HP :9,476 MP :8,375
攻撃力:9,386 防御力:8,475
魔攻力:15,275 魔防力:14,867
素早さ:10,738 運 :95
固有スキル
HP自動回復:LV-- MP自動回復:LV-- 気配察知:LV--
魔力察知:LV-- スキル遮断:LV-- スキル隠蔽:LV--
気配遮断:LV-- 魔力隠蔽:LV--
通常スキル
鑑定:LV-- 料理:LV-- 炎魔法:Lv--
水魔法:LV-- 風魔法:LV-- 光魔法:LV--
回復魔法:LV-- 空間魔法:LV--
耐性スキル
物理耐性:LV-- 魔法耐性:LV-- 状態異常耐性:LV--
即死耐性:LV--
称号
神龍の巫女
『名前:ポプリ』『種族:神龍の使徒』
LV:17 年齢:12 性別:女
HP :9,587 MP :7,958
攻撃力:14,637 防御力:13,768
魔攻力:8,475 魔防力:7,386
素早さ:10,769 運 :95
固有スキル
HP自動回復:LV-- MP自動回復:LV-- 気配察知:LV--
魔力察知:LV-- スキル遮断:LV-- スキル隠蔽:LV--
気配遮断:LV-- 魔力隠蔽:LV--
通常スキル
鑑定:LV-- 薙刀術:LV-- 総合格闘術:LV--
料理:LV-- 炎魔法:Lv-- 土魔法:LV--
闇魔法:LV-- 雷魔法:LV-- 回復魔法:LV--
空間魔法:LV--
耐性スキル
物理耐性:LV-- 魔法耐性:LV-- 状態異常耐性:LV--
即死耐性:LV--
称号
神龍の加護
ティアとポプリは、同時に加護付与をされたために似たようなステータスになったが、ティアは魔道士タイプに変化してポプリは戦士タイプになった。
その事を伝えると、2人はかなりびっくりしていた。
何故なら普通、奴隷になった人物は所有している主人がお金を払って奴隷から解放しないと、奴隷からは解放されない。
それなのに、加護を付与しただけで奴隷から解放されたという噂が立てば多くの国や人からクエストが来て大変な目に遭うため、俺達はこの事については黙っておこうという共通認識で収まった。
そして今、俺達は冒険者ギルドに到着した。
「で?なんで冒険者ギルドに来たわけ?」
「まぁ、単純に言えば町の出入りを簡単にするためかな」
その事に関してポプリが聞いてきたため、俺がそう答えると今度はティアが聞いてきた。
「出入りを簡単にする、ですか?」
「そう。単純に言えば、クエストを通して自分の力を把握することが目的かな」
俺がそう返すと、2人は納得したようなので冒険者ギルドに入っていった。